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056 四天王

 俺はパーマを連れて、転移門を利用して転移石の転移する予定ポイントに転移した。


「ここが、四天王会議があるベルド共和国のグッス城の中なのか?」


 周りを見渡すと、城の中と言うよりも真っ暗の森のような場所で屋外に感じる。


「そうだ。グッス城は異空間になっていて、城の中にこの世界がある。この森の中心に会議場がある。そこの道を真っ直ぐ行けば着くから行ってきてくれ。微笑みながら手を引っ張るな。私はいかない!」


 嫌がるパーマの手を強引に引っ張って森の奥へ向かった。


 森の開けた場所に着くと、三人?

 いや、既に人でない存在がいた。


 蜘蛛に人間のような顔がついている奴と、全身鱗に覆われてドラゴンを無理やり人型にした様な奴と、手が羽になっている全裸の美少女がいた。


「新顔の癖に、最後にやってくるとはいい身分だなパーマ」


 蜘蛛に人間の顔が付いている男が言った。

 賢者の石を触って調べるとボックという魔族のようだ。

 全身鱗がウィオクで、手が羽の美少女がヒルドだな。


「四天王の会議に、護衛を連れてくるのは禁止のはずだが、その人間は誰だ?」

「話によっては、パーマ! お前を殺すぞ」


 ウィオクとヒルドが威嚇してくる。


「えっと、実は先程、この男に私は従う事にした。お前たちも彼に従って欲しい」


「あはははは! 面白い冗談だなパーマ!」

「油断するなボック。こいつ看破の能力で能力が見えない。ただの無能者だったらゴミだが、隠蔽しているのであれば俺よりもレベルが高い事になる」

「美味しそうな人間だが、警戒する必要があるのか? 私の危険予知には警報がならぬよ」


 完全に舐められているが、人間だと思い込んでいた時と比べて、不死王(リッチ)になってしまったせいか、相手の外見ではなく気配で、相手がどの程度かわかるようになっていた。

 その為に恐怖などの感情は起きない。

 だって、本当の姿って三歳児の骨だけだし……

 賢者の石で自分を調べると、過去から常に勘違いによる幻と錬金の能力を継続して使っていたために能力が上がってしまって、俺はとんでもない存在になっている。

 成長に異世界から来た補正も入ってそうだな。

 四天王でも俺より弱く感じるとは……


 どうすれば、戦わずにこの三人?を服従させてパーマの安全を確保した後に賢者の石を譲ってもらうか考える。


 賢者の石を触って過去にこの世界で最強だった存在を調べる。

 大魔王バンプレル?

 この世界が一つの国になった時の初代皇帝。

 最後は亜神化してこの世界から去ってしまい残された子孫で国が腐敗したようだ。

 呼び出す対象が神なら却下だな。


 幻でも見せて騙そうと思ったが……

 普通に戦うしかないのか?


「ゲンワク様、隠している力を魅せれば良いのでは?」


 パーマが三人から受ける殺気に耐えかねて助けを求めてきた。


 徳を見る眼鏡で三人を見ると、ボックが赤でウィオク無色でヒルドが黄色か……

 ボックを倒して力を示すか?


「ボック。俺と戦ってくれ」


「何故お前の様な雑魚と戦わなくてはいけない。今日の集まりは恒例行事だが、新顔のパーマを襲って三人で領地を分けるつもりだったのだが? 殺せなかったらパーマを四天王として認める感じの予定だった。お前がパーマの代理なのか?」


「だ、代理じゃないぞ! 既に私は四天王を辞めたぞ! ゲンワクに四天王を譲る!」


 今回の集まった理由を聞いたらパーマが、四天王を押し付けてきた。


「そうか、じゃあ予定通り……」


 やな予感がしたので電磁バリアを発生させる。


 バリバリ! ズッサ!

 ボックが急接近して八本の足の一本で俺の腹を貫いた。


 電磁バリアが空中でスパークしたが、守りきれずに俺は串刺しになって空中に持ち上げられる。

 人間と思い込んでいた時と違うのは、不死王(リッチ)だが外見を人間に見える様にしているだけなので、単なる物理攻撃では痛みもダメージもない。


電磁バリアが無効にされるほどの強さか……


 体がボックの足に貫かれたままで、ライフルを出現させてボックに撃ち込む。


 パン! キン!


 残った足で弾かれる。

 流石、四天王だな。弾いたという事は?

 フルオートに切り替えて連射する。


 ダダダダ……

 キン!キン!キン!


 全て弾かれるが面倒になったのか俺を刺してる足を抜いて、回避した。


 避けれるのか……避けれるのであればライフでは勝てない。


「何故? 腹を刺されても平気な人間?」


「あ、人間の真似してるだけだから」


 刺された腹には穴が開いていたが、すぐに塞がり破れた服も元に戻る。

 魔法と言っても幻と錬金しか出来ないしどうするかな。

 賢者の石を触ってボックの弱点を探す。


『弱点なし。暴食の能力者で食べた対象の能力を奪う。不死と不老と急速再生の能力を取得している為に消滅以外で倒す事ができない』


 強いけどメッキみたいに消滅しても復活はしないんだな。


 仕方がない……


 賢者の石を触りながら、この世界に存在する魔剣や聖剣を俺を中心に地面に刺さった状態で、数千本出現させた。


「な、なんなんだ!」

「こ、これは! 俺が知っている魔剣もあるぞ」

「あれは、聖剣? 私でもダメージを受けてしまう?」


「ゲンワク様? こ、これは!?」


 四人の周囲が剣によって針の山のようになっていく。地面よりも剣が多く見える状態の周囲を見て驚く。


 パーマは、必死に指輪についた賢者の石を触って状況確認をしているが、ありえない魔剣や聖剣の数に判定が追いつかない様だった。


「さて、俺の実験に付き合ってもらうぞ!」


 うろたえるボックに対して、開始の合図を教えた。

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