024 ダンジョン攻略一日目
ベスタ地下迷宮は、ヒューズ王国に七ヶ所あるダンジョの一つである。
何階層あるかも不明で、最高踏破階層が八階層だ。
今まで攻略されたダンジョンは、平均して十階層の為に残り二階層だと予測されている。
一番奥にダンジョコアと言う魔力の結晶があり、未踏破のダンジョンコアは、物凄い大きいため超高値なのだ。
ダンジョコアが無くなってもダンジョンは消えないで再び小さなダンジョコアが出来ていく。
既に踏破されて攻略方法がわかっているダンジョンは定期的に大きくなったダンジョンコアを取りに行く事になる。
ダンジョンが出来る説は沢山あるのだが、一番有力な話は地下に星の魔力が流れる魔龍脈と言われる流れがあるのだが、その魔力が停滞して渦を巻いている場所に出来ると言われている。
首都であるマリファの都市から五百km南にベスタ地下迷宮がある。
そして今、旅立つ為にマリファの都市の入り口にいた。
冒険者ギルドの方には一週間の休暇願いを出してきたが、フロイデが大反対してマスターのライオスにお願いしてなんとか受理された。
一時期、フロイデが大人しかったが、最近は毎朝教えている算数が楽しいらしく夕方にも教えろとアタックしてくるので業務終了後に逃げるのが大変である。
「何でお前一人なんだ? そう言えば名前聞いてなかったな?」
筋肉隆々の男に見えるが、赤い露出度の高い鎧には、胸の膨らみが見えるので女性だとわかるキティがやってきた。
背中には俺より大きい背負い袋を背負っている。
「え? 俺一人ですけど? 名前はゲンワクです」
「え!? ムストに主君がいれば余裕ですよって言われてたから、強い部下がめちゃくちゃいるかと思ったが? お前が強いのか!?」
「いやいや、俺は弱いで……いや強いのか?」
「不安になってきたが、まぁ踏破出来なくても金になる魔獣の魔石が入るから私一人でも良いんだがな。期待して損したのか? じゃあ行くぞ。歩きで二週間ぐらいか?」
「え? 徒歩じゃなくて、すぐ行きましょう」
賢者の石からの知識を参考に、私に服従する飛竜の幻を出現させる。
想像以上に大きかった。
二人いるので二匹必要かと思ったが、一匹にキティと俺が乗れそうだ。
「え? ええええ……本当に召喚術師なのか?」
「秘密です。乗ってください」
飛竜に乗って空を飛んだが想像以上に揺れない。羽の羽ばたきは微調整で実際は飛竜の魔力で空を飛んでいるようだな。
二時間もしないで、ダンジョン入り口に到着する。
多くの冒険者がいる中で目立ってしまったが、ワイバーンの召喚は珍しいが、存在しない訳ではないのですぐに騒ぎはおさまる。
すぐに幻のを消し去って、ダンジョンの中に入った。
第一階層には、ゴブリン、オーク、トロールなど人型の魔物が多かった。
ゴブリンの色が黒かったのに驚いたが、地上のゴブリンよりも知性が低いらしい。
第二階層は、サイクロプスやミノタウルスなど大型の人型が多くなった。
キティは、危なげなく魔物を一刀両断していく。
恐ろしく強い。さすがレベルⅤ。
「クランだけの秘密だが、この先に落とし穴があるんだ。その落とし穴がどこまで続いているかわかるか?」
試されている様で、なんか頭に来たので賢者の石を触る。
『第八階層のフロアモンスターの前に落ちます』
「第八階層のフロアモンスターの前だろ?」
「な! なんで知ってる!! 私が落ちた仲間を追って行った時は運良く戻って来れたが、普通は帰還など無理だ。ゲンワクは何者なんだ?」
「おいおい話しますよ。今日はここで野営しますか?」
「そうするか」
キティが背中の荷物を下ろしてテントを作りはじめた。
目の前に小型の転移門を幻で作る。
いつも寝ているギルド本部の部屋にも対になる転移門を作り出した。
「野営は危ないと思って、実はギルド本部の俺の部屋に小型の転移門を置いてきました。家で寝ませんか?」
唖然とするキティを、転移門に通して部屋でゆっくり寝たのだった。
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キティは大混乱中だった。
決死の覚悟でお金を作る為にダンジョンに行ったはずなのに、今は部屋のベットで寝ている。
おかしい! 絶対におかしい!
死んだムストに紹介されたゲンワクと言う男がおかしい!
ワイバーンの召喚も、二人も乗れるワイバーンなど初めて見たぞ! 大きすぎるだろ!
ダンジョンに入っても何もしないで、ついてくるだけで役に立たないから途中で殺意も芽生えたが、クランしか知らない情報は知ってるし、やたら軽装で何も持ってないからどうするのか訳がわからなかったが、転移門だと!
何度か利用した事はあるが、通行料も非常に高価の上に個人で維持できる魔力ではない! 部屋に設置とかあり得ないから!
言いたいことが山ほどあるのだが、死んだムストがいる自体で理解することをもはや諦めた。
主君? 私も主君と呼んだ方が良いのか?
明日から荷物どうしよう……持ってく必要性が……




