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021 海賊と将軍

 洞窟に入ると、奥に十人程の死体が転がっていた。

 ニュンが倒したのだろうか?


 それにしても人数が多い。すれ違った人や今見えてる人だけでも三十人以上いる。


 これは、潰すのに苦労しそうだ。

 洞窟の奥に進むと、外に出た。

 天然の入江になっていて、地上からは洞窟からしか入れないようになっている。


 海賊船と思われる武装した速度重視の船が十数隻見える。


 入江に黒鎧のニュンが木の支柱に磔にされて、弓の練習の的になっていた。


 矢が身体中に刺さっていて、綺麗な顔にも数本刺さっていた。確実に死んでいるのがわかる。


 矢を射っている三十代ぐらいの貴族風の男がこちらを見た。

 貴族が何故ここに居るんだ?


「お前が、この辺をうろついていた男か?」


「いや、散歩していたら呼ばれてここに来ただけです」


「ん? それが本当でも、これを見られちゃったら帰せないな? でもそこに居る黒鎧の奴の情報を知ってたら見逃すかもしれない」


「そいつが何かしたんですか?」


 何故だろう? 冒険者ギルド本部で荒くれ者達の対応をしていた為なのか、いつ殺されてもおかしくない状況で落ち着いている自分を不思議に思う。


 不思議な気分だったが、それはニュンに矢が刺さっているのを見た瞬間から強くなる。

 これは怒っているのか?

 無意識下で幻の能力が発動していく。


「こいつは、今日から勇者召喚する為の資金を集めるために海賊のトップ十人と話し合う予定で、人払いしたところを狙って襲って来たらしい。私が何年もかけて作り出したレベルⅢ以上の海賊の手下の頭を全部殺しやがった!!

 絶対に裏切り者がいるはずだ!」


 いや偶然だよ。

 場所も賢者の石から得た情報だ。

 ここまで話すって事は、俺を殺す気だな。

 賢者の石を触って情報を得ると、目の前の男がスヤロウ将軍だった。

 賢者の石のおかげで、調べる手間が省けて助かる。


「あなたがスヤロウ将軍で、海賊をまとめているトップだったって事ですね? 海賊から得た利益は私腹を肥やす事に使った感じかな?」


「な、何故私の名前を! お前は犯人の一味だな! レベルⅢを容易く倒すと言う事は陸軍のボプラ将軍の手の者か? 私腹? ふざけるな国王に言われて勇者召喚の為に動いているだけだ!」


 剣を抜剣して俺に迫って来た。

 俺を斬ろうとした瞬間に、何者かによってスヤロウ将軍の剣を持った腕が切り落とされた。


「うぎゃああァァァ」


 すぐに背後を将軍が見ると、矢が全身に刺さったままで剣を構えるニュンがいた。


「主君、すみません! やられてしまいました」


「今、ニュンを不死にしたから海賊全部潰しちゃおう」


「はい!」


「な、なんなんだ!! お前達は!!」


 前世で知っていた、ロケットランチャーという兵器を出現させて肩に担いだ。

 もちろん弾は無限だ。なにかのゲームで二週目だと武器が無制限に使えると言うチートがあったが、そんな気分だな。


シューーボン! シューーボン!……


 周囲の傍観していた海賊や入江に停泊している船に撃ちまくる。


「ば、馬鹿な。お前ら逃げないて対応しろ!」


 逃げる海賊に向かって片手がなく出血を必死に押さえているスヤロウ将軍が叫んでいる。


 全身に矢が刺さったままのニュンが、叫んでいるスヤロウ将軍の首を両断した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 傷もなく普通の町娘の服を着たニュンと俺が、冒険者ギルドに向かって歩いている。


 海の方に何かが燃える赤光と煙が見える。

 街灯がないので、月明かりだけで歩いている。


「暗いから主君! 危ないですよ」


 ニュンが俺の手を掴んで手を繋ぐ。

 なんか幸せを感じるなぁ。


 そういえば、いつもなら寝てる時間だが、消えないムストが困惑してないと良いが……


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