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012 幻の冒険者

 冒険者ギルド本部に来てから二ヶ月が経過した。

 ゲンワクが冒険者ギルドの受付を任されるようになった。


「お兄さん、この依頼って報酬低すぎない?」


「適正ですよ。この料金設定のマニアルを見てください。この条件とこの条件ですから適正ですね」


「本当だ!」


 報酬と料金設定の表を渡して次の冒険者の対応をする。


「オークの討伐終わったぜ! 換金してくれ」


「討伐証明部位は、オークであればこのマニアル本の十六ページに書かれているんで参考にしてください。まずは、ギルド裏の解体場に持って行って、解体証明書をもらって来てください。証明書を持って来たら換金します」


「おう! わかりやすくて助かるぜ! 前は訳がわからなかったからな」


 各部署ごとに役割分担をして、細かい報酬の明細をマニアル化してから、冒険者達の混乱も不満も少なくなり順調である。


 もうそろそろ、塩漬け案件を処理する幻の冒険者を出現させようと計画をする。

 問題は、人間の幻は不可である。

 例えば俺の幻を出現させると、幻が真実と等しい程の能力の為に、どちらが幻かわからなくなり混乱する。その上、本当の自分が寝たら消えるのだ。

 消える方にとっては余命が相手が寝るまで!

 消える幻の事を考えると安易に出現させれない。

 優秀な冒険者の幻も、同じ人に出会ったら危険であるし余命宣告が可哀想だ。


 そうすると、人型の魔物が有効である。

 賢者の石から情報を集めると、彷徨える鎧のデュラハンの首を手に持ってるバージョンが適正だ。


 武器や防具の調達も不要!

 外見も鎧! 中身も見えない以前に空っぽ!

 強さも強い!


「おいおい! 何ボーッとしてんだよ。この依頼受けるから受理してくれよ!」


「あ! すみません。 この依頼ですとクラス ブロンズからですが、貴方のクラス アイアンでは受けれないですよ」


「そこをなんとかしてくれないか? もうすぐ子供が産まれるんだよ! 金が必要なんだ」


「依頼受諾のここを見てください。一段上のクラスの依頼はパーティーを組めば受理可能です。ちょうどアイアンで依頼を探している優秀な方がいるので、ご一緒にどうです?」


「おお! それで良い! 助かるぜ兄ちゃん!!」


「では、こちらにサインして……」


 考え事してると業務に差し支える。

 夜に実験しようと業務をテキパキと再開した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 仕事が終わって住み込みの冒険者ギルド三階の部屋に戻った。


 まずは、首を持ってるデュラハンを幻で出現させる。


 目の前に身長二mの首無しの黒いフルプレートで、大型の剣と盾を持ったデュラハンが現れる。


 首は!?

 賢者の石を触って調べる。


『この世界のデュラハンは、魔物などではなく悪に堕ちた妖精が鎧を動かしているだけです。この姿であっています』


 うむ、別途で頭の部分の鎧を幻を出現させて、首がないデュラハンに乗せてみるがしっくり来ない。


『妖精も呼ばないと動かないですよ』


 そうか、この世界では妖精が動かすんだよな。

 デュラハンを動かしている妖精も幻で出現させるとデュラハンが喋った!


「人間だ……殺し…」


 突然、デュラハンが襲ってきたので幻を解除すると、幻のように消えていった。

 駄目だ! 制御できん!


 まてよ、俺が想像していた前世のデュラハンと、この世界のデュラハンが異なるなら前世のデュラハンを出現させてみよう。


 早速やってみると、身長百七十cmぐらいの黒いフルプレートの首無し死体と切断された頭部鎧を装備した頭が床に転がり、血を吹き出して部屋を赤く染めた!


 うおぉ!

 急いで、前世のデュラハンで首が着いた状態の幻に変更した。


 そうすると黒いフルプレートを装備した両手剣を持った人物が立っていた。


「What happened ?」


「喋った!」


 英語で喋ったよ! 急いでこの世界の言葉が話せる幻と言う条件を加えた。


「な? ここは何処だ?」


 すんなり意味が通じるようになった。便利だな。


「私は首を斬られて処刑された筈だが? 何故生きている?」


 こっちが聞きたい!

 賢者の石を触る。


『異世界の事なので正確にわかりませんが、前世のデュラハンの元になった人物ではないでしょうか?』


「私の名前は、ニュンペー・テミス・ゼウスと言う」


 そう言って鎧の頭部を外すと赤毛の長い髪が現れて、俺がボーッとなるほどの美女が現れた。

 女性!! ゼウスって? 神の名前では!?

 とにかく状況を整理しよう。


「お、俺の名前はゲンワクと言います。貴方を呼び出した者です。よければ俺の計画に参加していただけませんか?」


 これが、彼女との初めての出会いだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 朝になったので、ゲンワクが寝ている部屋へ急ぐ。

もはや、毎朝ゲンワクから算数を教えてもらうことがフロイデの日課になりつつある。


 ドアを叩こうとしたら、今日はドアが微かに開いていた。

 ゲンワクの寝顔? 少し興味があってドアを音を出さないように開けてゲンワクが寝てるベットへ近ずく。


 何か違和感を感じた。

 ゲンワクが寝ているベットにゲンワクではない、違う存在がいる。

 ベットにかかっている掛け布団が人間が一人入っている膨らみがなく人間よりも小さな物が入っているように見える。

 ベットの掛け布団を一気にめくった。


!!!!


 何かを見たのだ。


「キャアアアアアアアァァァ!!」


 思わず悲鳴をあげてしまったら、ゲンワクが眠い目を擦りながらベットの上でこちらを見ている。

え? さっきまでいなかった!?


「フロイデさんおはようございます。悲鳴はこっちがあげたいんですけど?」


「あ、すみません! なんか寝ぼけてたみたいで」


 急いでその場を取り繕ったが、ゲンワクは何者?

いや、普通に寝てたわね。

どうして悲鳴をあげたのかしら?


 自分でも何故悲鳴をあげたかわからなくなってしまった。

 そのまま起きたゲンワクから、今日もギルドの食堂で算数の勉強を教えてもらった。


 それからだった。深夜になるとあの時に見ていないはずのあり得ない思い出が思い出される。


 あの時シーツを捲った瞬間に、中には……

 だが、朝になると今思っている事を忘れてしまう……

 私は病気なのかもしれない。


 それから、ゲンワクと距離を置いて算数を勉強しに行っていない。

 実家の治療師に相談してみようかしら。

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