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プロローグ

 小説も漫画も、映画もアニメも、もちろん人生自体だって終わりのないものはない。

 たとえ死後の世界を描いたストーリーだって、一見終わりがないように見えたって必ず死後の世界での死が存在する。

 不老不死のキャラクターでさえ、最後はやっぱり死を迎える。そんなもの不老不死ではなくてただ他の生物より寿命が長いだけではないか。


 気に入らない。本当の意味での不老不死がどこにも描写されていないのが気に入らない。

 俺は絶対に不老不死の方法を見つける。見つけて、死ぬのが怖いなんて甘えだ、無駄なことを考えるなと言ってくるやつらを見下してやりたいから。日々、無意味なのが分かっていても無意識に死を恐れる自分自身を救いたいから。


「ねえ奥さん聞いた?あの外れにある神社の噂」

「えーと、あのボロくて不気味だから誰も近寄らない場所の?」

「ええ、なんでも神社の裏にある扉はどこか別の世界に繋がっているのだとか」

「あらまさか、どうせ夢見がちな子供が作り上げた話かなにかじゃないかしら」

「それもそうね、おほほほほほ」


「……ふーん、別の世界ねぇ」


 確かに最近は異世界モノが人気だからそんなデタラメが流れててもおかしくない。厨二病を拗らせたやつらならすぐに飛びつきそうな話題だが、あいにく俺は不老不死の方法探して忙しい。


 とは言っても、図書館、ネット、噂や都市伝説を頼りに、彷徨い迷って早四年。ここら辺で思い当たる場所や方法は全てあたったが何もなし。他人からしてみれば俺の方が色々拗らせたおかしいやつだろうね。


「気分転換に覗いてみるかなぁ」


 今日はバイトも学校もなく、とくに行くあてもないし暇つぶしくらいにはなるだろう。そう考えた俺は神社へと足を進めた。


「っはぁ、と、とおい……むり」


 歩き始めて早3時間、街の外れとはいえこんなに遠いとは思ってもいなかった。出発した時には眩し過ぎるくらいに辺りを照らしていた太陽も、神社に到着する頃にはもう沈みかけていた。

 通りで誰も寄り付かないわけだ、下手したら隣町に行く方が早いよ、と心の中で愚痴りながらほぼツルに覆われている鳥居を見上げる。


 流石はボロ神社と呼ばれるだけはある。鳥居はもちろん、参道の両側に生えていたはずの木や植物は枯れ果て、手水舎の水は緑色だし拝殿は今にも崩れそうだし。

 しかし、一応仮にも神社なのだからと拝殿で軽く手を合わせる。流石に緑の水で身を極めるもなにもないから手水舎はスルーしたが許して。


「さーてと、神社の裏ってどこの裏だろ」


 やはり本殿の裏だろうか、と思い足を運ぶといかにも怪しいですと言わんばかりの金色の薄汚れた巨大な扉が裏にあった。

 いやいやいくらなんでも場違い過ぎるでしょ、昔この場所に来ていた人たちは疑問に思わなかったのだろうか。

 不気味すぎて帰ろうかとも思ったが、それでは何のために貴重な時間と労力を使ったんだってことになってしまう。不老不死関連のものはなかろうとも多少珍しいものはきっとあるだろうと自分を説得し、扉に触れる。


 その瞬間、目が眩むほどに輝きだしだ扉は勝手に開き、俺を真っ暗な空間に吸い込んで行って……


「なーんてことが起こるわけないよねぇ」


 ファンタジーの見過ぎ読み過ぎのせいか、少しでもそんな展開を期待した俺がバカだった。現実には触れただけではビクともせず、ただ手が汚れただけだ。


 いや分かっていた、分かっていたけどもやはりここまで何もないと怒りがこみ上げてくる。

 八つ当たり半分、ここまで来たらドアだけでも開けてやるぞと言う意地が半分の俺はとりあえずそこら辺に転がっている石や木の枝などを片っ端から投げつけていく。


 すると、ギギギッと嫌な音がし、手を止め扉を見つめると驚くことに開いた……もとい、地鳴りのような音を立てながら奥に倒れていった。


 どんだけ建て付け悪いんだよ……それより器物損壊しちゃったんだけど、どうしよう。いやでもこの神社ってまだ誰かの所有物なのか?

 色々と思うところはあったが、扉の奥に洞窟のような道が続いていることに気付く。


「うーんまぁここまできたら行くしかないよね、あー怖い怖い」


 見たところかなり長そうな道、この先になにがあるのか楽しみ1割、恐怖3割、やけくそ6割くらいの気持ちで、スマホの光だけを頼りにゆっくり進んで行ったのだった。


 頑張れ、俺。死ぬなよ、俺。


新連載開始しました、よろしくお願いします!

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