表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしかしたら俺は賢者かもしれない  作者: 0
十五章 反撃の狼煙 下
218/286

瓦解

 爆破によって飛び散った防壁の一部は、『壁』でなくなった瞬間に魔力の供給が絶たれ砂となり、爆風に運ばれ舞い上る。

 エルピス出入り口付近の広場は、まるで砂嵐の中にいるような状態だ。ただでさえ視界が悪いのに、その原因である砂によって、もはやほぼ視界ゼロの状況。

 油断していなかったとはいえ、あまりに唐突で、あまりに予想外過ぎた。それ故に、魔法都市の防衛陣地は混乱した。


 「うわあぁああ!見えねぇ!見えねぇ!!」

 「なんだ?!なんだ?!何が起こった?!」

 「クソ!!目に砂がっ!!」

 「攻撃か?!敵が仕掛けてきたのか!?」


 一人二人ではなく、この場にいた殆どが混乱し、恐怖した。

 さらに大勢の声が通路の先から聞こえてきたのだ。その声は勝鬨のように、既に勝利したと言わんばかりに嬉々としている。防壁を破壊し、王国兵が歓喜の声をあげていた。

 だからか、魔法都市の兵士たちは理解した。攻撃され、壁が突破されたのだと。

 見通しの悪い中で大軍に攻め込まれるという状況に陥った場合、混乱した人間が取る行動は逃走か、反撃に備えることしか出来ない。兵士という職にある人間でもそれは変わらないが、どちらかといえば反撃に備える方が多い。

 魔法都市の兵士たちの多くが取った行動は、『剣を抜く』だった。味方を誤って斬ってしまうかもしれないという考えは、すでに頭の中にはない。

 とある兵士が恐怖に耐えきれず、砂煙の中から脱出しようとした。しかし、ほぼ視界ゼロの中で移動しようとすれば、当然誰かにぶつかってしまう。


 「うわあっ!敵か?!斬れぇええ!」

 「やめっ、ぐあああ!!」


 当たった()()は運悪く剣を抜いており、敵と勘違いされ斬られてしまう。戦による魔法都市の初の負傷者は、同士討ちだった。

 似たようなことが、そこら中で起こり始めていた。

 だが唯一、クリークだけは違っていた。

 目を細めながら静かに辺りを見渡して「チッ」と舌打ちした後、スーッと息を吸い込んだ。


 「やめねえか!!てめえら!」


 大勢の叫び声や悲鳴を掻き消す、大音量の怒号。

 クリークの声だと分かった兵士たちは、わずかにだが冷静になり、辺りを見渡す程度の余裕ができた。

 しかし、完全に恐怖心を拭うことは出来ない。騒いでいる兵士はまだまだいた。


 「俺はクリーク!!魔法都市の兵士たちよ聞け!!今から騒ぎ、混乱を広げる者がいれば、仲間だろうと俺が斬りに行く!それが嫌なら静まれ!!」


 恐怖は感染する。それを経験で知っていたクリークには、怯える兵士は邪魔以外の何者でもないのだ。

 残酷な物言いに反抗されるかと思いきや徐々に静まって行き、防衛陣地は砂煙の中で無言という不思議な空間になった。

 結果的に、クリークのしたことは正解だった言える。

 クリークはしばらく無言状態のまま待ってから口を開く。


 「ほらみろ。まだ敵は侵入なんてしちゃいねぇじゃねーか」


 クリークがこう言うと、兵士たちは「本当だ」「俺たちが混乱していただけか」「じゃあ今斬ったのは……」と段々と冷静になっていく。


 「まだ敵は侵入していねーけど、もうすぐのはずだ。今の騒ぎで誰かを斬った奴は、そいつを連れて下がれ!責任持って治療させろ!他の野郎共は、しっかり声を掛け合って持ち場に戻れ!もう同士討ちなんてすんじゃねぇぞ!!王国のクソどもはすぐ突っ込んで来るぞ!備えろ!」


 クリークの指示で、兵士たちが一斉に動いていく。

 兵士たちが指示に従って行動したのを音で判断したクリークは、天井を見上げて再び舌打ちをする。


 「くそ……、やべぇな。冷静にさせることは出来たが、このまま戦闘になればまともに戦えねぇ」


 クリークは焦燥感で空を見上げたわけではない。砂煙の規模を確かめる為だ。

 砂煙は天井近くまで上がっていて、すぐに落ち着きそうにない。その上、どの範囲まで砂煙が広がっているかもわからない。この状況で王国の大軍に突撃されれば、まともに戦えない魔法都市はすぐに防御を崩されるだろう。

 もちろん視界ゼロという状況は王国も同じだが、ただ街に雪崩込むのと、敵か味方かを判断して防衛するのとでは難易度が桁違いだ。

 それを瞬時に理解したクリークは、急いで伝令を呼ぶ。

 視界が悪いからか伝令はすぐに来ず、自分から探しに行きたい気持ちを我慢してその場から動かず待つ。

 そして、ようやく伝令が自分の前に現れ、指揮官であるタザールに伝えてほしいことを捲し立てるように言った。


 「すぐにタザール……、大臣にこの状況を伝えろ。あと、俺が防衛装置の4段階目を使用すると言っていたともな!」


 「へ、へい」


 「急げ!」


 「へい!」


 伝令が走り去ったのを見届けると、クリークは入り口に向かって歩き出す。クリークの目的地は、防衛装置を起動するレバーだ。

 目的の場所に着くまでの間、何度か兵士たちにぶつかったが、さっきのこともあってか斬られることはない。

 押し退け、声を掛け、なんとかレバーのある所まで辿り着き、手探りでレバーを掴む。

 レバーを下げようとして、一瞬だけその手が止まった。

 クリークがここで考えたのは、一度レバーを上げて下げれば再び魔法防壁が作れるが、そうすべきかどうかだった。

 しかし、その案に意味がないことにすぐ気づく。

 破壊されるまで余裕があると思っていた防壁が壊されたのだ。再び展開した所で、同じ方法で壊されるのが目に見えている。

 すぐに魔法防壁再展開の案を頭から追い出して、レバーを最後まで下げた。

 直後、出入り口である通路内に大量の砂が降り注ぎ、あっという間に埋まっていく。

 ギルの作った防衛システムの4段階目は、通路を砂で埋めることだった。


 ――――――――――――――――――――――――


 「……何を言っているのだ」


 「見たままを言っているだけですが……」


 伝令はすぐタザールの下へと辿り着き、クリークの言葉を伝えた。

 だが、状況を理解出来ていたのはクリークの頭の中だけで、伝令には『壁を突破された』と教えていなかったのだ。それもあって、伝令の報告は「激しい音がしたと思ったら砂が舞っていて、不安になって、同士討ちが起こりました」という、意味不明な内容になっていた。

 さすがに賢者の称号を手に入れたタザールでも、この内容ではどんな状況なのかすぐ理解はできない。

 意味はわからないが、同士討ちが起こるような、何か重大な問題が起きたのは分かる。が、どんな問題かはわからない。自分の目で確かめるべきだろうかと考えていると、伝令がまだ何かを言いたそうにしているのが目に入った。


 「なんだ?まだあるのか?」


 「へい……、えー、防衛装置の4段階目を使うと言っていました」


 「それを早く言え!!」


 「へ?」


 「4段階目は撃退の魔法ではなく、時間を稼ぐための最終手段なのだ!つまり、防壁を突破されたということだ!」


 「?」


 伝令は自分の目で見てきたというのに、説明をされても意味がわかっていない。

 しかし、これは仕方のないことだった。魔法に詳しくないと、構造を理解できないからだ。

 石の壁が壊されれば、飛び散る破片は石だと考えるのが普通だ。魔力の供給がなくなった土属性魔法は、砂に戻るのが当然と考えるのは魔法士だけ。

 経験してきたこととはいえ、伝令が覚えていることは凄まじい音、砂煙、同士討ち。見たことを正確に伝えていたとも言える。

 だが、タザールには理解できている。これは一刻を争う状況だと。

 今だに理解できていない伝令を部屋から追い出すと、考えをまとめるためにこめかみを抑えてブツブツと独り言ちた。


 「どういうことだ?早すぎる。魔法の不具合か?いや、馬鹿な。あのギルだぞ。魔法陣の文を大陸言語以外で書くのと、偽装もない直接的な文言以外は完璧だ。魔法に関して不具合など起こさせないはずだ」


 部屋の中をうろうろしながら、タザールの独り言は続く。


 「激しい音……。何かの攻城兵器のような破壊力のある攻撃を受けたのか?それによって防壁が崩され、飛び散った破片が砂に戻った。その後、舞った砂煙の中、混乱した兵士たちは近くに居た仲間を敵と勘違いし、互いに斬りあってしまった……?そういう事なのか?」


 タザールは正確に言い当てていたが、実際に見ていないからか確信が持てない。さらに突き詰めようと、深く思考しようとしかけた所で頭を振った。


 「いや、今は原因を突き止めている場合ではない。砂で通路の全てを埋めてしまう、防衛装置の4段階目が使用されたのだ。防壁が破られたのは確実で、切羽詰まった状況だということだ。エルピスから魔法都市側へ急かさないよう避難させていたが……、裏目に出てしまった」


 砂で通路を塞ぐのは時間を稼ぐ最終手段。排除するのに時間と労力が必要な岩などの重い物の方が適しているが、プールストーンの魔力が枯渇しても効果が残るようにわざと砂にしたのだ。

 分厚い石壁を破壊するのと、砂を運び出すのとでは全く別の作業で、それはつまり壁を突破した方法で排除出来ないということでもある。

 それでも狭い通路の中で3メートル近い石の壁を、2、3人でツルハシを振るよりは、砂を運び出す方が早い。適した道具があり、大勢で運び出せば、それこそ一日程度の時間稼ぎにしかならない。

 まだ三日ほど余裕があったのを、一日に減らされたのだ。タザールが焦るのは仕方のないことだろう。


 「4段階目を使用したということは、防衛陣地で防ぐのが難しいという意味でもあるか。それだけ現場は混乱している、もしくは、防御に適さない状態なのだ。なんせ、4段階目は敵に防衛陣地を突破されそうになった時の保険だったからな。通路内にいる敵兵を生き埋めにしている間に、兵士たちを退かせる為だからな」


 しかし、兵士を退かせようにも、住民たちすら避難が済んでいない。

 当然、スケジュールのズレは生じるものとして一日余分に計算している。それでも『一日の余裕』から、『一日足りない』はさすがに予想外。

 タザールは帳尻を合わせなければならない。そして、当然それは敵を防衛陣地で押し止め、街へ侵入させないことだ。


 「エリーは元々防衛だ。避難の邪魔にならないよう街の端で待機させているが、防衛陣地に向かわせるか……?いや、混乱している中で、これ以上の増員はさらなる混乱を招きかねん。それよりも、エリーが率いる兵士たちで、避難を手伝ってもらったほうが良いかもしれんな……。となると、少人数でそれこそ大軍を押し止める力を持つ誰かが向かうしかないが……」


 適役がいるかを思い出すためにウロウロするのを止め、天井を見上げる。

 エリーは避難誘導させるから除外して、シギルは裏で作業。スパール老は薬の調合。魔人は人数が多すぎるし、何よりまだ頼りない。そうブツブツ言いながら、指折り数えていく。

 「残るは……」と口にして、今度は地図が広げてあるテーブルへと近づいていく。

 魔法都市とエルピス、二枚の地図をしばらく眺めた後、魔法都市の城とエルピスの防衛陣地の両方をトントンと指で叩く。


 「俺しかいないか」


 テーブルをドンッと叩いた後、椅子に掛けてあった白いローブを羽織る。


 「指揮官としてあるまじき行為だが……、俺が直接行くしかないな」


 基本的に指揮官は戦いたくとも戦ってはならない。それだけ指揮系統は大事だし、もし指揮官が戦死ともなれば更に混乱するからだ。

 もちろん、そのことはタザールも理解している。だが、手が空いていて、敵の多くを一度の魔法で殲滅できるのは、タザールしか残っていないのだ。

 賢者のローブを着てシワが無いことを確かめると、タザールはふと笑う。


 「しっかりと睡眠を取っていて良かった」


 そう呟くと、防衛陣地に向かうために走り出すのだった。


 ――――――――――――――――――――――――


 エルピスの街の中まで砂煙が漂って来たことで、住民たちや魔法都市に訪れていた者たちは異変に気が付きつつあった。

 始めはざわついただけだったが、次第に自分から先に避難させろと騒ぎ始め、最後はエルピスから魔法都市に繋がる通路へ押し寄せた。

 そんな騒ぎの中、エルピスのとある商店では一人の男が苛立ちながら椅子に座っていた。

 机を指でトントンと小刻みに叩き、苛立ちの典型的な仕草をしている。

 そんな男に、また別の男が声を掛けた。


 「アレクサンドル王子、何をそんなに苛立っている?」


 苛立っている男は、王国第2王位継承権を持つアレクサンドル王子だった。

 声を掛けた男は、片目が眼帯の強面商人であるヴァジ。

 アレクサンドルは、ヴァジを睨むように見てから溜息を吐く。


 「何をそんなに苛立っていると言ったのですか?それは当たり前でしょう!王国へ連れ帰ってくれると約束してから、もう何日過ぎたと思っているのですか!」


 アレクサンドル王子は、ヴァジに王国へ帰れるよう手配してくれと依頼したが、それからずっとエルピスにあるヴァジの店で待機させられていた。


 「もうすぐだ」


 「もうすぐ?その言葉を何度聞いたと思っているのですか?」


 「聞こえるだろ?」


 「何がですか?!」


 ヴァジの意味不明な言動で、ついに我慢の限界に達したアレクサンドルは、机を叩き勢いよく立ち上がる。

 だがヴァジは、アレクサンドルを無視して自分の耳を軽く叩く。


 「混乱の音だ」


 「何を……」


 何を言っている。すぐに魔法都市から脱出させてくれ。そう言おうとしたが、アレクサンドルの耳にも外の騒ぎが聞こえ、眉をひそめるだけになった。


 「これは?」


 「防壁が破られた、と考えるのが自然だ」


 「防壁というと……、あの魔法で塞いでいた石の壁ですか。ですが、それがなんだと?いつか突破されるのは、分かりきっていたことではないですか」


 アレクサンドルの言葉を聞いたヴァジは、「論点がズレている」と言いながら首を横に振る。


 「自分の目的を忘れるな。我々は魔法都市から脱出しようとしているんだぞ」


 「……それはつまり、この混乱に乗じて抜け出すと?」


 「そうだ。お前は王国の王子。魔法都市の住人の中には顔を覚えている者もいる。見つかればどうなるかわかるだろう?それに、壁で塞がれていては脱出など出来んからな」


 壁が破られ、魔法都市の住人が避難したあとが絶好のチャンスなのだとヴァジは仄めかした。

 それに気が付かなかったアレクサンドルは驚く。ヴァジに対してではなく、自分が思っていた以上に冷静さを欠いていたことに。


 「まさか、始めからこの機会を狙っていたと?」


 「予定より、少しだけ早くなったがな。どうやら王国にはまだまだ隠し玉があるようだ」


 今度はヴァジがアレクサンドルを睨む。それに対して、アレクサンドルは申し訳無さそうに縮こまった。

 アレクサンドルは全く関わっていないことだが、自分の父と兄弟がやっていることは、ほぼ自分の責任でもあるからだ。

 さらに攻め込まれたのは、ヴァジの店があるエルピスである。


 「まあ、いい。それより支度をしろ。今日、いや、明日にはこのエルピスに王国兵が雪崩込んでくる」


 「では、すぐに出ましょう。問題はありません。いつでも出られます」


 「そうか。では、もう少しだけ待機だ。今のうちに休んでおけ」


 「へ?い、いや、すぐに出ないと危ないですよ!僕が王国の第二王子だとしても、まさか攻め込んでいる街に単独でいるとは思わないでしょうし、見つかれば殺されてしまう可能性がありますから!」


 王であればすぐに判断できるだろう。だが、どれだけの兵士が自国の王子の顔をしっかりと覚えているのか。

 自分は王子であると説明したとして、どれだけの兵士が信じてくれるのだろうか。

 そっくりなのを良いことに騙していると思われるだろう。もしかしたら、その場で斬り伏せられるかもしれない。

 それだけ他国にいるアレクサンドルは危険なのだ。

 だがヴァジは首を横に振る。


 「これから王国兵が雪崩込んでくるというのに、それに逆らって出ていくなんて自殺行為だろ」


 「ではどうするのですか?!」


 「魔法都市の住人の避難が終わり、エルピスが占領された時だ。その時には、出入り口である通路内の人通りは少ないだろうからな」


 「いったい、いつになるのですか!」


 「さあな。魔法都市のトップが俺の知っている奴なら……、いや、その確率は低いか。あいつなら、既に王国はこのダンジョン内にいないだろうしな。ふむ、賢い奴が指揮を取っているならば、すぐに避難を開始するだろう。この混乱から予定外なのは予想できる。魔法都市としては時間稼ぎをしたいはずだ。だとすれば、徐々に防衛ラインを下げていき、最後にはエルピスを放棄して魔法都市に閉じこもるだろう。もしくは……」


 ヴァジはブツブツと独り言ち、しばらくしてから大きく頷く。


 「一気に引いて、閉じこもる。それが最も被害が少ないな。が、その場合は行軍速度を抑えるような『何か』をしなければならないが……。さて、どうだろうな。魔法都市にその隠し玉はあるかどうかだが。それは流石に俺でもわからんな」


 今まで黙って聞いていたアレクサンドルもとうとう我慢できず、ヴァジの独り言を遮るように止めた。


 「そ、それで!いったい、いつ脱出できそうですか?!」


 「……そうだな。明日か、明後日」


 「またですか……。それからまた伸びたりするのでしょう?予定が狂ったとか、魔法都市の指揮官が優秀だからとかで」


 「いや、それはない。明後日が期限だ。もし、明日出発できれば、魔法都市の指揮官に拍手してやれ。非常に優秀だ」


 「そ、そうですか。では、明後日には出られるということですね?」


 「ああ」


 アレクサンドルはほっと息を吐く。だが、アレクサンドルは脱出することだけが目的ではない。その後こそが、アレクサンドルの目的なのだ。

 王国を滅亡させないこと。

 今から王国の滅亡を考えるのは気が早すぎるだろう。誰がどう見ても、王国が優勢なのだから。

 だが、アレクサンドルには予感があった。近い将来、王国にその危機が訪れると。

 アレクサンドルは魔法都市の住人の無事を祈りながら、「早く占領されてくれ」と願う。

 そして、その様子をまるで値踏みするように、ヴァジは見ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ