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もしかしたら俺は賢者かもしれない  作者: 0
十二章 王国西方の戦い
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能力分析2(おまけ)

 魔法都市へ帰るためにオーセブルクダンジョンを進んでいる。

 今は6階層を歩いているところだ。


 「ギル、何唸ってんの?っていうか、それ戦闘中することなん?」


 俺は仲間たちが一生懸命戦っている中、そっちのけで羊皮紙を眺めている。

 だが、もはやオーセブルクの1階層から20階層までの間なら、俺が手伝う必要は全く無い。それほど仲間たちは強くなっている。

 俺が手伝わなくとも魔物は瞬殺だが、手伝った方が仲間たちの負担が軽減されるのもわかる。でも、戦闘に参加していないからといってサボっているわけでもない。


 「んー、気になってな」


 「気になるって、さっきの?」


 「うん、ステータスとスキル」


 ナカン共和国を後にした俺たちは飛空艇に乗って帰ってきたが、そのまま魔法都市へ向かうことはせず、オーセブルクで数日休もうという流れに。

 疲労が溜まっていたし、精神的にも休暇が必要だった。それにやりたいこともあった。

 休む以外にやりたいこと。それはパーティのステータスとスキル確認だ。

 俺のステータスとスキルは自分で確認することが出来るが、仲間たちは違う。冒険者ギルドで確認する必要がある。

 そこで王国の依頼達成報告もあったから、ついでにステータスとスキルを見てもらうことにしたのだ。

 したのだが、あることを思い出した。ティリフスがスキルを持っていることを。

 ティリフスを法国から助け出す時、どうして俺を選んだのかと聞いたら、俺に知力の高い者だからと言った。

 ティリフスがステータスを見ることが出来ると思い出したのだ。

 だったら、わざわざ他人に見せる必要はない。どこから情報が漏れるかわからないからな。

 やっとティリフスの有用性が、鎧を楽器のように鳴らすこと以外に証明されたということだ。

 まあ、そんなことに気がついてしまったせいで、ギルドに依頼達成報告をしたすぐあと、休暇を切り上げてすぐ魔法都市に帰ることになってしまったが。


 「ふーん?」


 ティリフスが俺を冷たい目で見ている……、気がする。俺に不満を持っているってことだ。身体的疲労はないが精神的な疲れはあったから、オーセブルクでの休暇を楽しみにしていたのだろうな。


 「不満があるのはわかるけど、魔法都市に早く帰ってゆっくりした方が良いだろ?」


 魔法都市が安心できるのもあるが、ティリフスにとっても友人が多い街だ。知り合いがいないオーセブルクよりは過ごしやすいし、気も楽だろう。


 「それはそうやけど……」


 「だったら、さっさと17階層まで行っちまおう」


 「……そう、やね」


 ふん、チョロい奴だぜ。

 俺たちは長い間魔法都市を留守にしていた。帰ったとしてもそれほどゆっくりは出来ないだろう。それはティリフスも例外ではない。まあ、俺もだけど……。

 でも俺たちにとって最も安全なのは間違いない。ティリフスの身体がないという事情もあるしな。


 「それはわかった。でも唸るほど悩む?」


 数値をそのまま書いたのだから俺が唸って考えるまでもなく、見ただけで全てがわかるとティリフスは言いたいのだろう。


 「いやぁ、久しぶりに能力を数値化してもらったからさ、どうしてこう成長したのか分析したいんだよ」


 それだけではなく、俺が把握することで仲間たちをどう使うか、仲間たちにとって何が危険かを知ることができるのだから、これは大事なことなのだ。

 まあ、戦闘中にする必要は全く無いが……。だって、暇だったんだもの。大量のアンデッドが襲ってきてはいるけど……。


 「ふーん、まあウチが危なくなった時に、ちゃんと助けてくれたらええわ」


 本当はそれが心配だったか。仲間たちが戦っているのだから、必然的に俺がティリフスの護衛になる。

 ティリフスも前に比べたら戦えるようにはなったが、アンデッドの苦手意識だけはそう無くならない。トラウマのようなものだしな。

 だからステータス確認に集中してほしくないってことか。

 相変わらずのビビリっぷりだが、俺としてもティリフスが壊されたら嫌だから、その辺はしっかりしなければな。

 よし、じゃあ没頭し過ぎない程度に集中するか。

 久しぶりのステータス確認だが、面倒で怠ったわけではない。昔からの癖だ。

 地球にいた頃、ゲームでキャラクターがレベルアップしてもその時は確認せず、後でどれだけ強くなったかを見るのが好きだった。

 とあるゲームでは、戦闘後にレベルアップはせず、宿屋に泊まるとまとめてレベルアップするというシステムがあった。それはかなり俺好みで、一気にステータスが上がるのを見て快感を覚えたものだ。

 もちろん、俺の趣味を仲間たちに強要はしていない。

 冒険者ギルドがある街に滞在する時は、各自確認している。俺が把握しなかったというだけで。

 指揮する者が能力を把握していないのはどうかと思うが、数値を知らないだけで強さは理解できているから問題ない。

 じゃあ、その楽しみを満喫するとしようか。

 まずはリディアか。

 俺はちょうど魔物と戦っているリディアに視線をやる。

 リディアは飛び出してきたアンデッドに対し、一瞬で抜刀して首をはね、また一瞬で納刀して戦闘を終わらせた。

 もはや神業だな。斬撃は言うまでもなく、抜刀と納刀すら芸術的な速さだ。凄いのは、一瞬に見える納刀の動作中に、血振りもしっかりやっているところだ。

 ブルートと戦ってから更に自信をつけたようだな。

 そんなリディアのステータスは、どんな感じに成長しているのかな?


 【リディア】

 『ステータス』


  レベル 42


  生命力 3190

  魔力  1755


  力   176

  速さ  220

  知力  81

  精神  119


  ユニークスキル  妙技


 『スキル』


 剣術    レベル9

  ・斬鉄

  ・受け流し

 魔法理論  レベル6

 魔法    レベル2

  ・魔力放出

 料理    レベル4

 鑑定    レベル3


 めっちゃ成長してる。

 知力の伸びがいまいちだが、これが頭の良さではないはずだ。知力はおそらく魔法に関するステータスだろうな。

 精神も他に比べて伸びていないが、この項目が何に影響しているかわからんから分析しようがないな。意志の弱さとかだろうか?

 しかし、注目すべきはスキルだろう。予想していたが、剣術スキルがかなり成長している。それに以前見た時にはなかったユニークスキルも発現しているな。


 『妙技』……剣技の速度、精度が大幅に上がる。


 これはリディアの強さの根源だ。技術の隠しステータスがこのユニークスキルに集約されているようだ。

 剣術の速さや精確さはこのスキルのおかげだろう。

 ブルートと魔法剣を使わずに戦いきったのも、これのおかげかもしれない。

 次はエル。


 【エルミリア】

 『ステータス』


  レベル 28


  生命力 1158

  魔力  1884


  力   56

  速さ  140

  知力  103

  精神  56


 『スキル』


 魔法理論  レベル6

  ・魔力操作

 魔法    レベル6

  ・魔力放出

 弓術    レベル8

  ・精密

  ・鷹の目

  ・連射

  ・超長距離射撃

 料理    レベル6


 リディアと同じだけ戦っているのにレベルが低いのは、前回が低かったのもあるがエルフという種族だからだろうな。レベルアップしにくいが、長い年月を生きることが出来るから、最終的にはとんでもないステータスになりそうだ。

 精神の成長が遅いのは、ステータスも同様らしい。

 ただ、スキルに関しては良い具合に育っている。特に弓術のレベルと派生スキルだ。これだけのスキルが揃っていれば、エルに近づける魔物や人間は、そういないはずだ。

 それに魔法関係も順調だ。そろそろ次の段階に移行しても良さそうだな。

 次はシギルか。


 【シギル】

 『ステータス』


  レベル 34


  生命力 2600

  魔力  1044


  力   208

  速さ  41

  知力  64

  精神  109


 『スキル』

 鍛冶   レベル9

  ・特殊鍛冶

 細工   レベル6

 裁縫   レベル5

 剣術   レベル6

 格闘術  レベル5

 鑑定   レベル8

 魔法   レベル2

  ・魔力放出

 魔法理論 レベル2

  ・魔力操作

 料理   レベル2


 予想していたが、体力馬鹿だな。

 速さの成長が悪いが、これは気にすることはないだろうな。種族独特の小さな身体は、速さに関係なく攻撃が当たりにくい。潜り込んで殴る格闘術と相性が良いはずだ。

 何より、シギルの良さは生産スキルだろう。

 最近は鍛冶だけではなく、色々なことに挑戦している。それがスキルに影響しているし、そのうち生産スキルを全て覚えそうな勢いだ。

 それにスキルレベルの上昇も早い。やっぱり生産向きなんだろうな。

 シギルがいれば、俺のパーティは安泰だ。

 次はエリーだ。


 【エリー】

 『ステータス』


  レベル 44


  生命力 3528

  魔力  2128


  力   220

  速さ  86

  知力  103

  精神  180


 『スキル』

 剣術   レベル3

 槍術   レベル9

 盾術   レベル10

  ・鉄壁

  ・受け流し

 魔法   レベル5

  ・魔力放出

 魔法理論 レベル6

  ・魔力操作

 料理   レベル2


 エリーは万能型だな。レベルも高いし、ステータスも安定している。

 伸びが悪いのは速さだが、重鎧で大盾持ちだからそこまで気にならないし、本人も気にしていないだろう。

 もしかしたら精神ステータスは意志の硬さではなく、何事にも動じない精神力という意味かもしれない。エリーはまさにそうだしな。

 スキルは盾術が凄いな。スキルの上限レベルは10らしいからカンストだ。巨人の一撃を耐えられるのも頷ける。

 後は料理をもう少し勉強してくれたらなって思うけど。

 さて問題のティリフスだ。


 【ティリフス】

 『ステータス』


  レベル 25


  生命力 1225

  魔力  1825


  力   75

  速さ  100

  知力  175

  精神  50


ユニークスキル  危険予知


 『スキル』


 魔法   レベル8

  ・魔力放出

  ・自然回復

 魔法理論 レベル8

  ・魔力操作

  ・魔法陣転移

 気配察知 レベル9

 能力鑑定 レベル8


 ティリフスは精神を鎧に移された存在だから、ステータスやスキルはないと思っていた。しかし、試しに鑑定したら意外にも表示されて、本人も驚いていた。ステータスやスキルは魂に刻まれているのかもしれないな。

 でも、成長はしないみたいだ。理由は短剣を持たせたのに、スキルを覚えていないからだ。やっぱり肉体がないと成長はできないのかもしれない。どうにかならないものか。

 知力がかなり高い。知力は魔法に関係するという俺の予想は当たりかもしれない。こいつ、そんなに賢くないし。

 驚いたことに、速さもまあまあの伸びだ。鎧なのに。逃げ足の速さか?

 ティリフスにもユニークスキルがあったようだ。


 『危険予知』……気配察知の範囲をさらに拡大させる。


 どんな距離でも魔物の存在を把握出来るのは、これのおかげらしい。

 天性のビビリだからレベルが違う。危険の察知ではなく、予知だ。そんなものはもう超能力と言っていいだろう。

 それに魔法関連も凄いな。精霊というのは皆が皆、高レベルなのか?ほかに出会ったことがないから比較はできないが。

 後は魔法スキルの派生にある自然回復か。

 ティリフスはほぼ無限に魔法を使える。それは自然界からマナを吸収できるかららしいが、これがそのスキルなのだろう。

 ふむ、仲間たちのはこんなもんか。

 さてさて、最後は俺だが……、どれだけ成長したのだろうか。


 「ステータス」


 声に出すと目の前に数値が表示される。


 レベル 51


 生命力 5100

 魔力  5100


 力   241

 速さ  292

 知力  392

 精神  392


 ユニークスキル  勇往邁進


 うわ、なんだこれ。自分で言うのもなんだが、圧倒的じゃないか。成長しやすくなるユニークスキル『勇往邁進』のおかげだが、ここまで来るとチートだな。

 まあ、最初が弱かったんだからこれぐらいの成長率じゃないと、とも思うが。

 どれも凄い伸びだが、中でも知力と精神か。

 精神は意外だったが、どんな状況下でもぐっすり眠れるのはこれのおかげかもしれない。

 次はスキルを見てみるか。


 「スキル」


 スタンド

  ・自然体 レベル9

 走法

  ・スプリント レベル9

 歩法

  ・忍び足  レベル7

 話術  レベル9

  ・詐術

 料理  レベル9 

 細工  レベル8

 鍛冶  レベル8

 鑑定  レベル8

 暗殺術 レベル6

 弓術  レベル5

 剣術  レベル6

 気配察知レベル4

 瞑想  レベル5

  ・魔力回復

 魔法理論 レベル10

  ・魔力操作

  ・魔法陣転移

  ・魔力感知

 魔法  レベル10

  ・魔力放出

  ・連続魔法

 ・合成魔法

  ・帯魔力


 これもまた凄いな。スキルの成長は才能によるところが大きいはずだが、俺のは全てに上昇補正がかかっているようだ。

 魔法関連はカンスト。まあ、あれだけ魔法を使っていればこういうことになると納得はできる。

 しかし、他のもカンスト間近がちらほらある。それだけでも『勇往邁進』がチートだと言えるだろう。

 ん?魔法スキル派生に帯魔力というのがあるが、これはなんだ?ちょっと見てみるか。

 『帯魔力』スキルを注視すると説明が表示された。


 帯魔力……魔力による肉体強化。


 ああ、無属性魔法のことか。魔力を帯びるって意味なのね。

 ふむふむ、中々に素晴らしい成長を遂げているじゃないか。

 話術スキル派生の詐術っていうのは意味不明だがな。こんなにも正直者なのに。

 ……『スタンド』スキル、お前には触れんぞ。

 こんなものか。ステータスのことを大体分かってきたな。

 ステータス能力値の伸びは、各々の個性と関連しているようだ。シギルは力で、俺は知力と言った具合に。

 シギルが今後速さを意識したとしても伸び率は変動しないだろうな。

 つまり能力値の低さを嘆くよりも、高い能力をどう活かすかを考えるべきだということか。

 スキルに関しては、経験したものは習得できそうだ。これからは色々な事を進んで体験すべきだな。

 まあ、得意不得意でレベルの上昇率は変化しそうだが。

 しかし、やっぱりドンと一気に成長したのを見るとテンションが上がるな!

 ただ、俺のこのステータスでもシリウスには勝てないだろう。あいつどんだけ強いんだよ。上がったテンションが下がるわ。

 だがまあ、まだまだ成長途中だし、これからに期待だ。


 「ギルー!後ろからゾンビー!!」


 おっと、ティリフスがピンチだ。

 俺は羊皮紙をマジックバッグにしまうと、ティリフスを護るために走り出したのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公がスキルを習得し、剣術、刀、武術に関連するスキルのレベルを上げる時が来たと思います。
[一言] アンデットや兵士大量に殺してる割にレベルが低いような(´・ω・`)
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