三人の指導者
地球にいた頃でも予想通りと満足気に頷いた直後に、想定外の事件が起きることは稀にあった。そんなことは、人生長いのだから何度か起きるものだ。
だが、異世界に来てからというもの、稀になんて言葉を忘れてしまいそうになるほど、想定外の出来事がよく起きている。
今日もそんな日だった。
王国の軍勢が攻めて来て、それを撃退させ魔法都市へ戻り、仲間たちと三賢人、半魔たちにこんなことをしたと説明した。
が、労いの言葉など一切なく、ある意味お叱りとも言えるお小言を頂いてしまった。
ティリフス以外の仲間たちには、今回のような出来事で連れて行って貰えないのなら自分たちが仲間である意味があるのかと悲しまれる始末。
たしかに大きな戦いほど仲間を頼らなければいけないのだ。大虐殺の片棒を担いでほしくないという気持ちがあったとはいえ、仲間たちがどう思っているかを蔑ろにしていたかもしれない。
いずれ話し合いをしなければならないかな。
ちなみにティリフスは、臆病な性格もあって参加できなかったことを喜んでいたようだが……。
次に半魔たちの反応。彼らは『引いた』。
ごく当然の反応だなと感じつつも、白い目で見られないことが有り難いとも思えた。
仲間たちが話したのか、半魔たちで俺がやった所業が共有されていて、『あいつならこれぐらいの無茶はやりかねない』と認識されているのも要因であるかもしれない。
怖がられるよりはいいよな。
最後に三賢人。彼らは酷かった。
魔法都市を救った功労者に対して冷たい言葉を吐く。
とある賢人曰く。「もっと上手くできんかったのか」と。
とある賢人曰く。「魔法都市の価値が下がりますね」と。
とある賢人曰く。「情けない」と。
最後の酷くない?
約4万人を虐殺した俺にとって、怒ってくれる人がいるというのは感謝すべきなのだが、三賢人が口を揃えて「暫く外に出るな」と子供を怒る母親のように叱るのは勘弁してほしい。
実は、三賢人が俺を叱りたくなる理由は理解している。いや、嘆いているという方が正しいか。
三人が所属していた魔法学会は、スパールが去ってからはラルヴァが頑張って存続させてきた。
そのラルヴァがいなくなった今、他の賢人では存続させるのは難しいとか。魔法学会はゆっくりと衰退し、そのうち名前も聞かなくなって自然消滅するはずだ。
三賢人も既に未練がないとはいえ、大昔からある魔法学会が無くなってしまうのは、流石に思うところがあるのだろう。
なんとも自分勝手な理由で俺を叱れるなと思う一方で、ラルヴァや大虐殺について、何も言わない彼らなりの気遣いに感謝していたりもする。
とまあ、俺に近い者たちは怯えるより違う反応を見せてくれたことが、俺にとっては少しだけ嬉しい誤算だったと言える。
4万人を虐殺した者に対して、どうして恐れずにいてくれるのか。これも三賢人が教えてくれた。
ひとつは、魔法都市にとっては英雄的行為になるから。
虐殺者とは、された側が見た俺であって、やった側にとっては救世主なのだそうだ。
さらにもうひとつ。この異世界では死は珍しいことではないのが理由なのだとか。
地球の日本では、数えることができる死者数は一日に約3千人。その中でも病気が殆どなのだ。
だがこの異世界では何者かに殺された上に、その数は不明だとか。もしかしたら一日に1万近いかもしれない。
王国は今戦争をしていて、この大陸だけを見ても日本の十倍近い死者が出ているかもしれないと三賢人は言っていた。
そういう理由もあり、俺の仲間たちや魔法都市の住人は気にしてないらしい。
しかし、今俺が外に出ると面倒になるというのもその通りで、俺は三賢人の助言通り自粛して城に籠もることにした。
仕事をしたり、半魔たちに料理を教えたり、賢人たちと会議をしたりで二十日を城の中で過ごし、そろそろ外に出ても良いかなと感じ始めた今日。
俺の手元に2通の書簡が届いた。
ひとつは予想通り、レッドランス領主から。
しかしもうひとつは、帝国の王からだった。
そして、冒頭に繋がるわけだ。
「想定外過ぎるだろ」
俺の声は静かな会議室に響いた。
書簡が届いた時、全員を会議室に招集し、今は全員が会議室の机のど真ん中に置いてある2つの書簡を静かに見つめていた。
俺が発言したのもあり、ようやく知恵を借りることができる男が口を開いた。
そう、スパールだ。
「帝国はまずいのう」
ちがう。聞きたかったのは助言であって、お前の感想ではない。
スパールは三賢人の中でも、いや、現在生存している賢者の中でも最年長で経験が豊かだ。帝国の王とも面識があるそうで、俺としては最も期待していたのだ。
「助言とかは?」
「助言も何も、まだ中を見てもいないのじゃろ?しようがないわぃ」
たしかに。帝国からの書簡がまずいのは分かる。が、少々焦りすぎていただけかもしれないな。
帝国の歴史は戦とともにあるとも言われ、建国から王の代替わりに至るまで戦争だらけらしい。
今は落ち着いているとはいえ、帝国とその他の国は非常に険悪。よく戦争に発展しそうになっているというし、実際に戦争になってもいる。個人的には関わりたくない国だ。
戦争が得意という評判通り、兵の強さは異常だとか。その上、王は英雄クラスで手が付けられないとくれば、避けたいと思うのも仕方がないだろう。
しかし、落ち着いているというのが気になる。言い方を変えれば、安定しているとも言え、いつでも戦争できる状態であるとも言えるのだ。
そういう考えが片隅にあって、帝国に目をつけられたと、少々焦りすぎたかもしれない。
まずは書簡の中身を見なければな。
「よし、とにかく書簡を開けてみろ」
俺がそう言うが、誰も動こうとしないし、誰も俺と視線を合わせない。
こういうことに鈍感なエルは、タイミング悪くおネムのようで、こっくりこっくりと船を漕いでいる。
むぅ、名指しした方が良いな。
「キオル?」
「え?!い、嫌ですよ!不遜王の書簡を開けるなんて!」
不遜王?ああ、そう言えば帝国の王様はそんな呼び方されてたな。俺も良く不遜王に似ていると言われるから覚えてる。
……今更だけどどこが?
それにしても、キオルは喜びそうだと思ったんだけどな。帝国の王に名前を知ってもらえたら商売だってもっと上手くいきそうだし。
ま、いっか。俺が行動するとしよう。
俺は書簡のひとつを手に取る。
「旦那?それ帝国の方じゃないッス」
「知ってる。まあ、まずは予想できる方から」
一つずつ問題点を解決していく俺の姿に、なぜか皆が呆れ顔だが俺は負けない。
書簡筒から中身を出し、封蝋を切り広げて読む。いや、読もうとしたが、字が読めないから隣に座るリディアに渡す。
すると、一瞬困惑していたが俺の意志を読み取ったのか俺から書簡を受け取ると、リディアが顔に負けない美しい声で読み上げてくれた。
内容は予想通りだった。
簡単に言えば、準備が出来次第、数名を引き連れてレッドランス自身が魔法都市に来るそうだ。攻撃の意思はないから、警戒しないでほしいという一文まで書かれていた。
「ギル様の読み通りですね。それにレッドランス公爵は噂通りのお人のようです」
「みたいッスね」
読み終わった後、リディアがこんなことを言い出し、シギルが相槌を打つ。
「なんだ、二人ともなんか知っているのか?」
「知っているも何も、あたしの店がある街はレッドランス領ッスよ」
「私が冒険者として拠点にしていたのも、シギルがいるヴィシュメールですね。ギル様とエルを案内した日が懐かしいです」
シギルがしたり顔で頷き、リディアが懐かしそうに顔を綻ばせている。
ヴィシュメールはレッドランス領だったのか。
俺といると問題ばかり起きて大変だけど、どうやら二人は俺と出会い、共に行動することに後悔はしてないようだ。それだけは良かったと思えるな。
噂というのも聞いてみた。
なんでも、手堅い自治でレッドランス領の住民からは殆ど不満が出ていないのだとか。
なるほどね。でも、だとすれば何故無闇に魔法都市へ攻め込んだのかわからないな。
その辺を聞くのに、うってつけの奴がいる。王国の貴族がな。
「キオルの貴族目線では、レッドランスはどうなんだ?」
キオルはやっぱり聞いてきたかと言いたげな表情をした。
その表情は、困ったような喜んでいるような複雑な顔だった。
おそらく、知識を披露するのは嬉しいけれど、王国を裏切っている気分になったといったところか。
「どうだろうね。僕からしたら気難しい御方だって感じたよ。まあ、陛下や他の貴族がいる場でお会いしたから、そうだっただけかもしれないけど。だけど、レッドランスの立場や歴史は教えることはできるかな」
そう言ってキオルは説明してくれた。
レッドランス領は王国の中で最も大きい領土で、3つの国に隣接している。他国が攻め込んできた場合、レッドランス領が防衛の要と言っていいそうだ。
レッドランスは数百年前から存在し、元々は平民だったそうだ。
戦争で武勲を立て名を挙げ、貴族の仲間入りを果たしたのが始まりだった。
一方で、領地の自治でも目覚ましい活躍を見せる。荒れ果てた土地を豊かな農地にし、外交で交易網を整備。
現在の公爵まで上り詰めるのはあっという間だったらしい。
指導者として一流と言っていい功績だろう。それを歴代続けていて、今も評価は変わらないそうだ。
「なんだよ、住民からの評価もよく、文武両道って。ほんとになんで魔法都市に攻めてきたのかわからなくなるな」
間抜けな貴族ってわけでもなさそうだしな。
「それは王国がナカンと戦をしているからじゃないかな。英雄の召喚で有利だったのが、今では不利に傾き出した。それでもっと兵を出せってせっつかれたんだと思うよ」
なるほど。そこでラルヴァが魔法都市の話を持ち込んだのか。
新しく出来た国で、兵の数も揃っていない。そして、占領した暁には魔法戦士や新魔法の技術が付いてくるとなれば、飛びついても仕方ないか。
「大体はラルヴァが悪いってことか。となると、やっぱり謝罪かな」
「だと思う。ギル君はレッドランスに何を求めるのかな?」
「もちろん、慰謝料だ」
俺が即答すると、キオルはやっぱりねと苦笑いした。
それ以外に何があるよ?魔法都市は財政面でもまだまだ頼りないんだから、ここは一気に稼ぐチャンスだろうに。それはキオルもわかっているはずだが……。
「それ以外にも、もっと色々あるでしょ。それにそう簡単に金を出すかな?」
「出すね。魔法都市に兵はいないが、5万を殲滅できる魔法士がいると知った。ナカンと戦っている今、その魔法士を相手にするのは分が悪いだろ。全魔力使えば、城や街の一つや二つ壊滅させることも可能だしな」
その場合は魔力切れを起こして、今度こそ仲間たちの手助けをしてもらう必要があるけどな。
さて、そうは言ったものの、魔法都市の首脳陣には王国出身者もいる。それもあって、あまり街やその住民には手を出したくないのはあるな。
上手く話を運んで、これ以上の犠牲者を出さずに手打ちにしたいところだ。
後は本人と話してどうするか決めるしかないようだ。
「レッドランスの話はこんなものだな。さて、次は問題の帝国の書簡か……」
帝国の話に移ると、全員が視線をそらす。
本当に帝国が怖いみたいだ。いったいどんな国なんだよ。
とはいっても、このままでは埒が明かない。さっさと終わらせるためには書簡を読む必要がある。
俺は勢いよく書簡を持ち上げ、乱暴に中身を出していく。
皆がぎょっとするも気にしない。封蝋を切り、書面をバッと広げると隣のリディアに渡す。
字が読めないのって情けないよね。
リディアは受け取ると、さっきとはまた別の意味で困った顔をしたが、なんとか読み上げてくれる。
内容はなんとも簡潔だった。
『魔法都市の王に興味が湧いた。帝国の王である我が直々に会いに行ってやろう』
そんな内容だった。
簡略して言っているわけではなく、そのまま読み上げた内容だ。
たった一文。これだけで、不遜王と呼ばれる意味が理解できた。
皆も困惑しているのか、頭を抱えたり、深い溜息を吐いたり、目頭を押さえたりしている。
「凄い自信だな。それになんとも横柄だ」
「それが感想かの?ワシとしてはそんなこと言っている場合ではないと思うのじゃが」
髭を荒く撫でていたスパールが、俺の感想にダメ出ししてきた。
感想にダメ出しするなよ。まだ帝国の王がどんな奴かわかってないんだから、書簡を読んだ印象でしか言葉にできないんだって。
「そうは言っても、帝国の王がどんなんだか俺は知らないんだよ。そう言えばエリーは、帝国の元王族だったな。帝国の王の事を教えてくれ」
エリーは帝国の元王族の血筋だ。だとすれば、帝国の事も調べてわかっているのかもしれないと思い聞いてみる。
「詳しく知らない。王族だったのは曽祖父。ずっと前だから」
それもそうか。曽祖父の時代って言っていたよな。だとすれば、今の王を調べることもしないか。
新たな情報が得られず困っていると、思ってもいない人物が教えてくれた。
「ふむ、曽祖父というと100年以上も前か。そうなると二代は王が交代しているな」
タザールだ。タザール自身の事を聞いたことはないけど、もしかして帝国出身なのかな?
「タザールは帝国に詳しいのか?出身とか?」
「そうではない。知識として知っているだけだ。魔法を調べるには歴史を知る必要があるのでな」
なるほど、タザールらしい理由だ。たしかに、魔法を覚えるのも進化させるのも過去の知識を知る必要がある。そのついでに、もしくは必要に迫られて帝国の歴史を学ぶ機会があったのだろう。
「タザールの知っていること、簡単でいいから教えてくれ」
「役に立たんぞ」
「それでもいいから」
「……わかった」
タザールの知っていた情報は興味深いものだった。
タザールは帝国の魔法士について調べていたそうだ。
なんでも帝国方面は魔法士の数が非常に少ないみたいだが、歴代の帝国の王は魔法の力が非常に強力らしい。
魔法士の数が少ないのは土地柄らしく、そのおかげか戦士の強さは異常だとか。
魔法士が少ないのもあってか、平民の中に強い魔法士が生まれると、王を打ち倒すために革命が起きるらしい。
それが帝国は革命の歴史と言われる所以だ。
エリーの一族が王族でなくなったのもそれが理由だろう。
そして、現在の不遜王。
彼がその歴史通り、前王を打ち倒し自らが王になったのは、弱冠16歳の頃。
その圧倒的な強さと、慢心した性格。そして、不遜な態度で不遜王と呼ばれることになったのだ。
「不遜王と言われているが、その実、指導者としても優秀な存在のようだ。10年王でいるが、革命の気配はない」
そうタザールは締めくくる。
不遜王が王になってから革命の気配がないってことは、強さが圧倒的過ぎるか、国民が満足しているということ。
またはどっちもか。
なるほど、厄介そうだ。しかし、強い魔法士が生まれると王が変わるのか……。
「その不遜王?は、どれくらい強い魔法士なんだ?」
「その辺りは謎だ」
「情報がないのか?」
「いいや、魔法士としての実力が噂にならんのだ」
んー?強い魔法士が王になる歴史といってもいいのに、その魔法の実力が噂にならない?意味がわからん。実力があって、それが圧倒的であるということもわかっているのにだ……。
「ますます分からなくなったな。スパールは直接会ったんだろ?どうだった?」
質問すると、スパールは思い出すように天井を見上げて、髭を撫でだす。
「賢人を恐れもしなかったのぅ。相手が賢者クラスの魔法士だとしても、かの王は態度を変えんじゃろう」
「つまり、会っただけでは魔法士としての実力は分からなかったと」
「そうじゃな。じゃが、強さは感じたわぃ。アレは手を出してはいけない存在じゃ。それがわかっておるから他国が攻めないのもあるんじゃないかのぅ」
スパールは戦闘向きの魔法士ではない。だが、戦闘ができない魔法士でもない。そのスパールがこう言っているのだから、帝国の王の強さは本物なのだろう。
魔法士としての強さは全くわからなかった。だが、革命が起きないほどの強さ。
それは国民として不満がないのか、不満があっても口に出来ないのか。
どう国を治めているのか。力でねじ伏せている可能性もあるが、内乱が起きないのはそれはそれとして優秀な指導者だと、俺個人は思う。
しかし、いったい何をしにこの魔法都市に来るのだろうか。
問題は戦争の火種として見ている可能性。これだけは避けなければならない。英雄クラスと正面切っての戦争は、俺達にも甚大な被害が出る。
どんな話をしにくるかは、ぶっつけ本番で知ることになりそうだが、それでもやはり、もう少し帝国の王を知る必要があるな。
「帝国に詳しい奴いないのか?帝国の王についてできる限りの情報を頭に入れておきたい」
なんなら好物だとかでもいいんだ。できれば、魔法について知っておきたいが……。
俺がこう言うと、スパールは何故かニヤリと笑い、髭を激しく撫でだした。
「ふむ、ところでギルよ。アニーは知っておるな?」
……なんでこの流れでアニーの話題?
アニーは魔法学院で学科の授業を教えている教師で、キオルの弟子だ。
「知ってるよ。時々、何故か城でケーキ食ってるし」
「そのアニーじゃが、明日からの休みを利用してオーセブルクに行きたいそうなんじゃ」
「……で?」
「じゃが、流石に二日間でオーセブルクに行き、魔法都市に戻ってくるのは難しい」
たしかに2日では行って帰ってくるだけで精一杯になるだろう。普通の強さの冒険者でも、無理をして一日かかるのだからな。
「それで?」
「あと一日休みをやろうと思う」
「良いじゃないか。オーセブルクで一日ゆっくりできるだろうしな」
「つまり、代わりの教師が必要じゃ」
嫌な流れだ。
「ギル、頼むぞぃ」
「なんでだ!なんで、今の流れでこの話になる!」
「ほう?ギルらしからぬ、勘の悪さよ。生徒の中には帝国出身者がいる。つまりじゃ……」
くっ、そいつらから聞けってことか!
「しかし、俺が呼び出せば、ほいほいと来る奴を知っているぞ」
エミリーたちならば、俺が呼び出せば来てくれることは間違いない。それでいいじゃないか。教師はスパールがやればいい。
「それには理由があるのじゃ。まずはそろそろ生徒たちにも、王国とのいざこざを説明してもいいと思ってのう。そして、今教えている授業内容が、火の魔法についてなんじゃが、アニーも理解出来ていない部分があって、それを教えてほしいんじゃ」
それならまずアニーに俺が教えるべきだろうが。
が、たしかに王国との件は知らせておくべきか。混乱させない為に情報封鎖したのも俺だしな。
仕方ない。もう一度、教師ギルが教壇に立つか。
「……わかった。今回限りだぞ?」
「ほほ、わかっておるわぃ」
よし。ちょっと納得いかない所はあったが、あれだけ生徒がいるんだから情報も手に入るだろう。
しかし、二人の指導者との面会か。
俺も一応、ひとつの都市で代表をしているのだから、学ぶべきところもあるだろう。
危機管理はしっかりするとしても、ネガティブなことばかり考えても仕方がない。まずは余裕を持てるぐらいの情報を手に入れる所から始めよう。
そうして、緊急会議は終わったのだった。