皆殺し編10
病院に向かう車内で子供たちの声が耳から離れなかった。
あの子たちはどうなるんだろうか?
何の罪もないあの子たちは帰らないケン兄達をどう思うのだろうか?
止められなかった自分が今になって憎く思う。
誰かの願いじゃなくて、誰かの意見じゃなくて自分がそう思った。
揺れる車内で俺の心は固まり始める。
俺はゴーレム化の問題を解決できないかもしれない。
だけどやるべきことは明確になり始めた。
・・・・。
車は病院にたどり着く。
トウヤは物資を下ろすため、A棟前に車を止める。
A棟の前には不安そうにナツミとアイが待っていた。
トウヤは車から降りる。
ナツミ「お兄ちゃん、あの人たちとちゃんと話はつけられた?」
トウヤ「ああ、その問題はもう終わったよ。」
アイ「先輩ホントですか?」
ヒカル「ごめん。俺は・・・・何も言えない。」
二人に顔を向けず自分に与えられた部屋に戻る。
ナツミ「ヒカルさん・・・・。」
トウヤ「ちょっと問題があって。ヒカルは疲れてるんだ。」
ナツミ「何があったの?」
トウヤ「あの襲撃者の拠点がゴーレムに襲われていてパニックになったあいつらが次々と噛まれた。拠点のゴーレムを全部倒したんだけど誰一人残っていなかった。」
それっぽい話をトウヤがでっち上げている。
ここから先もナツミにだけはそんな話をするのだろう。
俺はそれを認める事は出来ないし、そんなことを二度とさせるつもりはなかった。
誰かに偽善と言われても嘘だと言われても俺は人が人を殺すことを認めない。
そう心に深く刻み込んだ。
・・・・。
自室のベッドで横になっているとドアがノックされる。
ヒカル「はい?」
部屋の中に暗い顔をしたアイが入ってきた。
アイ「先輩、ちょっといいですか?」
ヒカル「ああ、どうしたの?」
アイはしばらく思い悩み、言うのをためらっていたが重い口を開いた。
アイ「私、ここから出て行こうと思います。」




