お題:桜
某チャットグループにて「20分で構想し30分で書く」という無茶ブリをやった成れの果て。途中までなので最後まで書いたものも上げる予定。
『出会い芽吹きて別れを惜しむ、人と桜はよく似たり』
春という季節になると、いつも脳裏に蘇る言葉がある。その言葉に誘われて、今年もまた、私はこの桜の木にやってきた。河原沿いに生えている、何本もある桜の木の一つ。他と違うところなど、私以外の誰も知る由は無いと思う。
始まりは、私が大学に入った時だった。田舎から一人、友人も連れずに出てきた私は、色々な不安に押し潰されそうだった。それでも自分から動かないと何も変わらない。そう思って私は、同じ不安を抱えているであろう新入生たちに不器用ながら声をかけていった。どこからが友達なのか分からないけれど、少なくともメールアドレスを交換する仲に発展するまで、そう時間はかからなかった。
そうやってできた知り合いの一人から、あるサークルのお花見会に行かないかと誘いを受けた。またもや不安を抱えながらも、知り合いと一緒という幾ばくかの安堵と共に会場へ足を運んだ。
緊張する私たちを迎えたサークルの人達。その中の一人が貴方だった。挨拶の時に貴方が言った。
「出会い芽吹きて別れを惜しむ、人と桜はよく似たり……てなわけで、一期一会のこの機会――」
初めて聞いた不可思議な語調、その言葉の得も言われぬ美しさに、私は魅了された。自己紹介が終わった後、貴方に詰め寄って質問攻めをしてしまったことを思い出すと今でも少し恥ずかしく思ってしまう。そんな私に嫌な顔一つせず、貴方は丁寧に教えてくれた。都都逸というものの存在、そのリズム。いつそれを知ったかとかどうして趣味にしているだとか、そんなことはもう忘れてしまった。ただ初めて聞いた時のあの感動だけは、今でも明確に思い出せる。あの日あの時この場所で受けた、あの強い衝撃は。
結局私はそのサークルに入ることは無かったけれど、あの人との交流はその後も続いた。季節に合わせた風流な物から、言葉遊びの駄洒落まで。色々な作品を教えてもらって、自分でも作ってみたりして。本当に楽しかった。そうして交流を重ねるうちに、いつしか私は、貴方の人柄に惹かれていった。日が経つごとに大きくなっていく気持ちを抑えきれず、行動に移したのは次の年。やはり季節は春だった。良い返事が返ってきたのをしばらく信じられず、ようやく理解した時には嬉しさで泣き崩れた。
其の後逢瀬は回数を増やしていった。その度に、私と貴方の距離も縮まり、楽しく過ごせる時間も増えた。
……それがあの日、一瞬で崩れ去った。貴方は唐突にこの世を去った。どちらが悪いとかもう何も思い出せない。私にとっては、貴方が事故で死んだという衝撃はあまりにも大きかった。
涙が涸れるまで泣き続けた。後を追うことも考えた。結局怖くてリストカットも出来ず、現実を見ようと葬式に参列した。
親御さんは、貴方から