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FORSE  作者: 巫 夏希
『総ての平和を求める人へ』――世界トライアスロンの14日間
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2-2

「さぁ! 一日目の本日は『水泳』です! 総距離13.047kmのこのコース、今回は都合により彼方に見えるハテノ島がゴールとなります!」


海に浮かぶクルーザーに乗るのは、昨日いたレナであった。たぶんもともと声量がないのだろう。時たま声が裏返りながらも懸命に役目を果たしているのは、やはり彼女も彼女でアイドル魂というのがあるのだろうか。


「おっ、始まるみたいだな」


ブランドものの黒いタートルネックに、ジーパンを着たリーフガットは海を一望出来るテラスにやってきていた。


ちなみに今回彼女は完全に非番で20代最後の夏を楽しむためにやって来たんだとか。エンパイアー家と言えば伯爵の爵位を持つ大変立派な家系なのだがどうしてこうなったのか。理由はいくつもあって話し尽くせないだろう。


「あいつらはこの中応援かー」


リーフガットは昼からよくあるメーカーのビール缶を開け、一口うまそうに啜る。


「……ま、彼女がいるから大丈夫か」


リーフガットは口から漏れ出したビールを口で拭き、テラス脇に設置したアンティーク調の木の椅子に座った。





そのころ、サリドとグラム。


「このクルーザーで行くのか……?」


「うん。そうだね。一応僕達は主催国の代表扱いだから、このクルーザーを貸してもらったんだよ」


「……サリド、お前運転、」


グラムが言い切る前にサリドは、


「出来るわけないじゃん。僕は運転免許を持ってないし、第一未成年だし」


「だぁーっ!! 解った!! 解ってるよ!! どうせそういうと思ってました!!」


グラムはクルーザーなんて運転したことねぇぞまったく、とか愚痴を溢しながら、クルーザーの中へ入っていった。


ふと、空を見上げると太陽が文句ありげにギラギラと輝いている。文句が言いたいのはこっちだ、と言い返したかったが、


「操縦は私に任せて下さいな♪」


ふと声が掛かり、その声のする方を見た。


そこは甲板から少し出っ張っているところ。俗に云う“操縦席”のところだ。


グラムは顔を見ようとする。しかし、空が眩しくて何が何やら解らない状況だった。


「……自己紹介は顔と顔を見たほうがいいでしょう? とりあえず上に上がってきてください!」


女はそう言って、また操縦席の方へもどっていった。

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