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FORSE  作者: 巫 夏希
『総ての平和を求める人へ』――世界トライアスロンの14日間
79/207

1-3

恐るべきことに、初日はこれで終わりである。


「意外とゆるいスケジュールなんだな……。次の競技は明日の午後2時からだとさ。つまり丸一日休みってわけだ」


サリドがグラムの言葉を聞いて携帯端末の時計を見るとまだ午前11時を過ぎたばかりだった。


「あ、フランシスカが出てきたよ?」


サリドが言ってグラムは振り返る。そこには確かにフランシスカはいたのだが、


そこには他の別の人間もいた。


なんだか軽い口論をしているようである。


「だーかーらっ! あんたからぶつかってきたんでしょ?!」


「違うよ。僕はただ適当に歩いていただけさ……。ぶつかったようなら謝るよ」


「おいおい、二人とも一体何をしているんだ?」


二人の口論にサリドが言葉を入れる。


「君は……、彼女のボディーガードかい?」


フランシスカではない方が、小鳥の嘴のような小さな口から爽やかな声を紡ぐ。


「えぇ……。彼女がすいません」


「いや、僕の方も悪かったよ。……時間もちょうどいい。一緒にお昼でも如何です?」


少女はちょうど胸のあたりまで伸ばした茶髪をかきあげ、言った。


彼女の髪は茶というよりかはブロンドに近い。オレンジ色のノータ専用軍服も彼女にとってはまるでファッションショーでモデルが着用しているような、ドレスに見間違えてしまう程であった。


「……なにか?」


じろじろ見ているのがバレてしまったのか、彼女は少し苛ついているようにも見えた。口をへの字に曲げ、なにか言いたげでもあったが……それは彼女の姿形を鑑みてもなぜか可愛く見えてしまうものなのであった。


「あ、いや……そうですね。しかし、あなたのお供は大丈夫なのですか?」


サリドは、訝しげに彼女にたずねた。


「お供? ……あぁ。ボディーガードのことですか? 彼らなら何の心配もしないでしょう。むしろ僕が居なくてせいせいするくらいでしょうし」


「そうですか? しかしこれは不可侵条約を違反することにも……?」


「オリンピアドーム理事局は不可侵条約なぞ只の紙切れだと思ってますよ。それに我々は“互いの利益を尊重し合うために結成”された資本四国の一員ではありませんか?」


資本四国の目的は彼女が言ったように“互いの国の利益を尊重し合うため”に結成された組織である。


まずはレイザリーとライバックがLL.ウェイロック条約を礎とした軍事条約同盟の締結を行った。


そしてそれにライアニア、シャルーニュが参加して現在の形になったとされている。しかしその後の参加国は増え、結果として現在は7か国ほどあるのだが。


「……わかりました。では、お名前をお聞きしたいのですが?」


「ロゼ」短く告げ、「正式にはロズベルグ・アーケンド・リボルティーなのですが、長いのでみなロゼと呼びます。それで結構です」


少女、改めロゼは笑って言った。

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