表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
FORSE  作者: 巫 夏希
『総ての平和を求める人へ』――世界トライアスロンの14日間
78/207

1-2

「ついに、始まりました~!」


直後にマイクで拡声された女性の声が会場に響いた。


「わたくし、今回の実況と進行役を務めさせていただくレナ・ポールウェルトで~すっ! この二週間宜しくお願いしま~すっ!」


レナの言葉の後、会場を何故か先程よりも大きな黄色い声援で包み込まれる。


「なんだありゃ……。すごい人気だな……」


今度はサリドが驚く番であった。そして今度はグラムが意気揚々と説明を始めるのだった。


「なんだ? 知らないのか。ありゃ、資本四国一のアイドル、レナちゃんだぜ。彼女が動くとそれこそ金が動くって言われてる。今の資本四国のテレビは彼女がいなきゃ成り立たないだろうな」


「……なんだい。グラムって意外とミーハーだったのか?」


「なんかお前に言われると心底腹が立つな」


グラムはそう言って再び会場を観る。


「それではっ」


レナはそれを持つのに抵抗を示さなかったのだろうか。拳銃を持っていた。


もう古い拳銃だ。かつて警察という治安維持を目的として設置された組織が愛用していたもので、警察廃止後、おもにヒュロルフタームによる戦争が認められてから、その拳銃は使い物にならなくなっていた。



しかし、むしろそれを見てサリドは疑っていたのだ。


今やあの拳銃は治安維持のためではなくむしろその逆に使われてしまっている。


URUという組織を知っているだろうか。


正式にはUnderground Resistance Unionと呼び、その頭文字をとったものである。なるべく単語に近い訳し方をするのなら『地下抵抗連合』とでも言うべきだろうか。


それらはかつて使われていた所謂『文化の遺物』を用いる傾向にある。


彼らの目的はあまりよく解ってはいない。


だからこそ、各国もURUの動きに慎重になるのである。一つの誤った働きが彼らに好影響を与えては困るのだ。


「第十回世界トライアスロン、開幕ですっ!!」


刹那、レナが拳銃を構えた腕を高く掲げ、三発ほど銃弾を撃った。


それを合図と言わんばかりに射撃場まわりから花火が何発か空に咲いたのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ