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FORSE  作者: 巫 夏希
『人は何故平等を嫌う?』――リフディラ反乱軍弾圧戦
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23

そのときだった。


『何やってんだよ。貴様ら』


空から声が響いた。


それは子供のような声であって、しかし声のところどころには大人っぽさも感じられた、そんな声。


『ここまで来るのに時間食っちゃったからてっきりもういないと思ったら……ククク。定時にいるんだもんな? リーダーの予言もアテにするもんだな?』


「貴様……! 何者だ!」


そう言ってサリドは銃を構える。


しかし声は怯まずに、


『おっと。そんな武器じゃ僕には効かないよ。そうだねぇ、もっと……』


「何か来るぞ!! 逃げろ!!」


グラムが叫んで三人が急いで走り出した束の間、


『こうじゃなくちゃ!!』


轟!! と空気を吸い込んで今までサリドたちがいたあたりが炎で覆い尽くされた。


「っ……!! なんだあれは?! 新種の火薬器か!!」


『……そんなautomaticなものじゃないさ。これは“僕自身が放った炎”だよ』


「……いい加減にしろ!! さっさと出てこい!」


サリドが威嚇のために銃弾を一発撃ち放つ。


しかし、当たる気配などもなく、近くの岩に――正確には岩壁に――激突した。


『……やれやれ。解ったよ。この姿は見せたくなかったんだけどね?』


なぜかって?


『この姿を見せたものは……生かして帰しちゃいないからだよ!!』


刹那、岩壁の一部が破壊されそこもまた炎に包まれた。


炎が一番弱いものは水でなく土である。現に燃え盛る炎に水をかけると大抵は消えるもののその一部は例外として水に浮いた僅かな油を利用して水を駆け上がり、さらに被害が拡大する。


それに対して、土は火の元にかけてしまえば、純粋な土であれば燃え広がることはそうない。


しかしながら、その人間が何処からともなく放ったと思われる炎は違った。


岩壁を破壊しただけでは飽きたらず、その岩壁の破片を糧にさらに炎上するに至ったのだ。しかし意外と長く点くことはなく直ぐに消えてしまっていることは、常識として存在する炎の知識とは別物になっているのだが。


「やぁ、はじめまして」


そしてその炎が完全に消え去ったときに、人の影が、その炎の中心に見られた。最初は陽炎に依るものかと思われたがその少年と思わしき声――さっきサリドたちが聴いた天井から放たれた声と酷似している――が聞こえたのでそれは本当にそこに存在しているものなのだということがわかった。


そこにいたのは小さな子供だった。しかし目は子供のようなキラキラと目に光が入って輝いてはなく、まるで死神のような、目をしていた。


「……貴様、何者だ……?」


サリドがまだ銃を構えたまま、呟いた。


「僕はフィレイオ。『オリジン』の四天王の一人さ」


「フィレイオ……。オリジン……?」


「そうさ」


「オリジンとは何をする組織だ?」サリドは銃を構え、銃弾を一発放った。


「脅迫かい? そんなものは僕には聞かないよ。だって僕が使ってるのは『魔術』だもの」


そう言ってフィレイオはサリドたちの方に手を向けて、


「お返しだよ」


短く呟いた。まるで玩具を初めて分け与えられた無垢な子供のように、楽しそうな表情で。


そして、まるでコイルガンによって放たれたレーザーのように一直線に炎の柱がサリドたちの方に向かってきた。


「……なんだよありゃぁ! 逃げるぞサリド!」


「え、あ、グラム……!! まだ敵は……」


「敵前逃亡じゃねぇ!! 戦略的撤退だ!!」


とグラムはあまり意味の変わらない熟語たちを提示して、サリドを強引に引き摺り、走り去った。


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