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一先ずの作業が終わり、ライズウェルトはほっと一息ついていた。
「お疲れさま」
後ろからリーフガットがコーヒーを差し出す。
「ありがと」
ライズウェルトはコーヒーを受け取り、一口飲んだ。
「アメリカンでよかったよね?」
「えぇ。砂糖は?」
「あなたは蜂蜜をスプーン一杯分」
「正解」
「ところでライズ」
「ん? なに?」
ライズウェルトはコーヒーにふうふうと息を吹き掛けながら、言った。
「あのハッキング……。あなたならどう見る?」
「あれは私はリフディラ軍じゃないと思ってるわ」
ライズウェルトは特に考えるような素振りもせず、答える。
「どうして?」
「だってリフディラがそれをするメリットがない」
「個人の軍隊がやってる可能性も否めないでしょう?」
「だからとしても今回の襲撃は国際問題よ? しかもリフディラが10割悪いんだからリフディラは周囲の資本主義国に袋叩きにされて領土を分割されるのがオチ」
ライズウェルトはコーヒーを飲み終えたのか、カップをもって立ち上がった。
「じゃあどうして行動に移したのかしら……。ヴァリヤーも未だ見つかっていないし」
「もしかしたら私たちの知らない間に大きな外の意志が働いているのかもしれないわね」
ライズウェルトは小さく呟いた。