表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
FORSE  作者: 巫 夏希
『人は何故平等を嫌う?』――リフディラ反乱軍弾圧戦
63/207

18

そんな平和な一時を破壊するかのようにけたたましいサイレンが鳴り響いたのはレイデンがカップに入ったお湯を丁度飲み終わったところですこしその余韻に浸っているところだった。


最初は何のことだったが訳が解らなかったようだったが直ぐにその状況を理解し行動を開始した。


先ず行ったことはコンピュータには絶対に触らないようにして小さな画面を確認することだった。


リーダーが機械に疎いレイデンの事を解っていたために最低限のマニュアルを作ってくれていたが為の行動だ。レイデンは基本何も信じずに基本自分の考えを信念として動いているのだがこの時に限っては例外で彼はこのマニュアルに従って行動する。それほどリーダーを信頼している証拠なのだろう。


「畜生……。いったいなにがどうなってるんだ?」


レイデンはマニュアルを見ながら目の前のキーボードを丁寧にひとつひとつ打っていく。


「……エラーコード74438? ……まさかハッキングだってのか?」


レイデンはマニュアルに書かれた表と照らし合わせたのだろう。その表と画面を目が行き来し、その度にレイデンの目は丸くなっていった。


「どうやら失敗のようだね」


レイデンの背中に声がかかった。その冷たい声はまるでナイフでも突き立てられているかのような錯覚を呼ぶ程であった。


「リーダー……。なぜここに!! ……いや、違うな?」


レイデンは少し違和感を感じた。それはたぶん普通の人間なら感じ得なかっただろう僅かな違和感だったが、それを読み取れたのは彼が傭兵だからであろう。


「……流石だね。僕を見破るなんて。初めてじゃないかな」


レイデンは妙な感じを覚えた。


それは、熱。


背中からじわじわと熱が感じられる。それと考えられないほどの緊張感も合い重なって、レイデンはそこを振り返ることが出来なかった。


「君は用済みだよ。だが、その後ろのコンピュータはまだ利用価値があるから大切にしろ、との上からの命令でね? だから退いてくんないかなぁ」


声はレイデンに答える隙を与えずにまた話を続ける。


「僕としてはここを全て燃やしたいんだよ? でもね、仕方ないよね。彼らには逆らえないし、逆らってもメリットなんてないし」


「……それを素直に従うとでも?」


レイデンは後ろを振り向き、背中のベルトにかかったナイフを引こうとして、


ふと、息を呑んだ。


何故ならそこにいたのはレイデンの腰ほどしかない小さい子供だった。しかし目は所謂子供らしい目などではなく光の消えかけた目。腰の据わった目とも云えるそれはつまらなそうな感じにレイデンを見つめていた。


髪は炎のように真っ赤で服は仄かにオレンジ色のポロシャツ、他は……あまりよく見ることができない。しなかったのではなく、できない。


何故ならここは戦場。一瞬の油断が命取りに為り得る場所。だから、レイデンはナイフを引き抜いた。少年の姿を一瞬でも見つめた時点で油断していたことに気付かずに。


「敗けだよ」


少年はぽつりと呟いて手をレイデンの目の前に向ける。


そして、轟!! と炎が渦を巻いてレイデンの方に恐ろしいスピードで向かってきた。


レイデンは避けようとして……それをやめた。


そしてレイデンは少年が放った炎に包まれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ