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「首都へ……!! 姫様に何が? ただの風邪じゃないんですか?」
「まあ、ただの風邪ではないことは言っておこう」
サリドの問いにやんわりとリーフガットは答える。
「……透明病、じゃないですか」
「……グラム。お前それを何故」
「……サリドが持ってたミリタリー雑誌に書いてあっただけです」
グラムの話を聞いてリーフガットは思考する。
「とりあえず」
口を開いたのはリーフガットではなくサリドだった。
「姫様を助けるために医者が必要なんですよね?」
「あ、あぁ。そういうことだ」
「行きます」
サリドはあっという間に即決した。
「サリドおまえ……。少し考えるとかしねーのかよ! 普通なら態々敵のスパイがいるであろう国を回ろうなんて思わねーよ!!」
「じゃあグラムはほっとくんだね? 姫様を」
サリドの問いにグラムは言葉を失った。
答えられる言葉が、彼には浮かばなかった。
そして浮かんだ彼なりの言葉は至極ベクトルを変えたものになった。
「……それって好き嫌いの感情抜きなのか?」
「うつらないとは限らない。危険と隣り合わせよ。透明病になるのは確実。それでも?」
「リーフガットさん。任務を断る理由なんて僕らにはないですよ」
サリドは笑って答える。