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「なるほど。……しかし軍医」
「なんでございましょう?」
「なぜそれを知っている?」
「私とて昔はシスター部隊に関わりのある医者だったのですよ。その際仲のいいシスターから聞かされましてね」
なるほど、とリーフガットは呟いた。
「にしても……。誰に姫様の警備を頼むか……」
とリーフガットが虚空に目をやった。
そのときだった。
ドアのノックが部屋に響いた。
そして。
「どうやら来たみたいですね」
笑って、言った。
「失礼します。氷水持ってきました」
一人目はサリド=マイクロツェフ。さっき彼が言った通り、氷水をここに持ってきたのだ。
「失礼します。ちょっと用があって」
丁寧な口調になれていないのか、少しイントネーションがおかしい二人目はグラム=リオールだった。
「サリド。グラム。ここで待て。すこし話すことがある」
リーフガットの平坦な口調に思わずサリドとグラムは肩を震わせた。
「……なんですか」
サリドがようやく口を開いてリーフガットに尋ねる。
「……まさかまたあの生物兵器を俺らだけで片づけろとか言うんじゃないですよね?」
グラムがサリドの発言に付け足したように言った。
「違う違う。もっと重要な任務よ」
「?」
「リフディラの首都ウェイロックに行って、姫様の診断が出来るシスター部隊を探しに行くのよ。出来るだろう?」