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「『フォービデン・アップル』ねぇ……」
第三世代を安全に停止させたのち、サリドはリーフガットとグラムに今までのことを話していた。
「なにかわかります? リーフガットさん」
「たしかヒュロルフターム・プロジェクトの管理団体がフォービデン・アップルという名前だったわ。でもあの団体は三年前に解散させられたと聞いたけど」
「もしかしたら、今回の一連はフォービデン・アップルが関係あるかもしれないんです」
「……だろうな。ヴァリヤーが国を裏切ったのではなく、フォービデン・アップルそのものが裏切った、ということなのか。いや、そもそもそれはなんなんだ?」
「たしか『知恵の木の実』と言ったあのとき、『それさえ解っていれば正解は近い』などと言われましたけど」
「それを早く言え馬鹿」
リーフガットは言葉よりも先に拳をサリドにぶつけていた。
リーフガットは一回咳払いをして、「……ともかく『知恵の木の実』。まためんどくさいものをヒントにしたわね」
忌々しそうに呟いた。
「そういえばノータはどうした?」
グラムは、話の話題を変えようと半ば必死に尋ねた。
「ここにいるけど?」
サリドは後ろを指差す。するとそこにはサリドの肩くらいの身長の少女が恥ずかしそうに立っていた。服はノータが着るものだが、それが原因なのだろうか。
「……名前は?」
リーフガットは笑いながら、丁寧に、最大限の優しさ(自称)で尋ねた。
「……フランシスカ」
「フランシスカ=リガンテ=ヨシノ」
彼女は泣きそうな声ながらもはっきりと、自分自身の名前を言った。