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そのヒュロルフタームはヴァリヤーを手のひらに乗せて、ウオオオオオン、と“雄叫びのような音”を出した。
その衝撃波にリーフガットは思わず足がすくんだ。
「……まさか、ヒュロルフタームをも操っていたなんて!!」
「ヒュロルフターム・プロジェクトの創始メンバーであった私を見くびってもらっちゃ困るなぁ」
ヴァリヤーはそう言って、コックピットの中に入っていく。
そして今度は、その声がヒュロルフタームに内蔵されている拡声器から発せられた。
「今まではこれを封印していたが……。もう我慢が出来ぬ……!! こいつを使ってレイザリーを中からつぶし、私だけの国家を作り上げる……!!」
「……そんなこと、ほんとうに出来るとお思いで?」
リーフガットは乱れた髪と服装を整えながら、さも戦場ではない、ここは日常空間であることを意識した上で言った。
「私にはヒュロルフタームを倒す馬鹿野郎どもがいましてね」