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FORSE  作者: 巫 夏希
『蝶のように舞い蜂のように刺す』――プログライト戦争
27/207

13

そのころ、リーフガット・エンパイアーは書類の山と格闘していた。


「……怪しい」


リーフガットは書類の山からとある書類を取り出し、言った。


そこには『ヒュロルフターム・プロジェクト第85次報告書』と達筆なコンピュータ字体でかかれていた。


そこにはこう書かれており――



――1年前、ゼロ号機の暴走により死去したヨシノ博士の娘はヴァリヤー氏が引き取ることとなり、我が委員会の案件もようやく一つ減った。


――次はヒュロルフタームの量産である。これは機械さえあれば出来ることだが、“もうひとつの”核がない限り難しい。我々が最初から望んでいた『十二使徒をヒトで作る』ことはできないのか……。まだまだ試行錯誤が必要だ。



――なので、我々はもうひとつの方法を思いついた。それが『チルドレン・ノータシステム』だ。これは、ヒュロルフタームの量産機に装着されない『オーレズ』の代用のため、人間のノータをたてて、そのまま操舵などを出来るようにし、オーレズ無装備でも装備したヒュロルフタームに事変わりなく使えるようにするということだ。


――直ぐ様、我らは既に完成割合を満たしていた一号機から四号機のノータを決めることとした。決めるには、全人類から無作為、というわけにもいかない。寧ろ問題はそこなのだ。そこで派遣・調査院を設置し、そこのメンバーがノータに足る能力を持つ子供を選別していった。


――そして、ようやくノータが決まった。彼ら彼女らはまだ幾ばくもない年齢の者達だが、ヒュロルフタームとの同調を考えればそれでいい。


――彼らのことは、育成機関に任せておく。どうせこれから軍の狗だ。ちゃんとした教育もする必要はない。軍に必要な教育さえしておけばいい。



文書を読み終えたリーフガットは、眠そうな顔をしていた。


(さすがに30時間はきついわね……。少し仮眠でもとろうかしら)


とふとリーフガットは立ち上がって、


異変に気づいた。



「やけに、静かね」



そう。今まで外ではヒュロルフタームたちがドンパチ、コイルガンを放ったりしているはずなのに。


まるで何もないかのように静かだった。


(……終わった?)


リーフガットは思って、そばにあった扉を開けた。




しかしそこには、リーフガットが予想したとおりの状況があったわけで。普通の通路、青軍服の人間たちが慌ただしく歩いていた。


「私の思い違いだったのかしら」と呟くようにリーフガットは言って、自分の部屋に戻っていった。


ただ、それだけのこと。


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