12
「「行くぞっ!!」」
二人は叫んで、その“魔神”に突っ込んでいく。
まず、二人は小型の銃を取り出しそれを魔神に向けて撃ち放った。
ズドン!! と何らかの衝撃で車のバンパーがへこんだような音を立てる。
しかし、それはびくともしなかった。
「ならばこれなら……!!」
そう言ってサリドは手榴弾の安全装置を引き抜きそれに向かって投げ棄てた。
「……っておい!! こんな狭い空間で手榴弾なんか爆発させたら俺たちまで被害を被るぞ?!」
グラムが手榴弾を投げる前にそんなことを言っていたような気もしたが、それは完全に無視をした。
刹那。
目映い光とともにサリドたちは後ろへと衝撃で押された。
「いたた……」
サリドは目を覚ました。
グラムたちも気を失ってはいないものの、倒れていた。
「メタモル……フォーズは?」
サリドは立ち上がり、あたりを見渡した。
まわりは、手榴弾の爆撃によってもたらされた土煙で視界を遮られていた。
ポタリ。
どこからか地下水かなにかの雫が落ちたような、そんな音がした。
そう遠くない距離と判断して、サリドはその雫が落ちるほうへ向かった。
そこまでいって、サリドはふと思った。
『ここはヒュロルフタームの戦いが見れるほどの高さなのになぜ水の雫が落ちているのか』ということに気がついたのだ。
「……なんで雫が……?」
その答えは、直ぐそばにあった。
そこにいたのは。
傷を負って、そこから大量に血が出ているニンジャと、
それに押さえ込められているメタモルフォーズの姿があった。
「おい!!」
サリドの声にニンジャは気付いたのか、傷付いて血にまみれた顔で笑った。
それは太陽が輝く畑で育てられた一本のひまわりのように。
無垢な、表情。
メタモルフォーズは、もう動かないようだった。
「……大丈夫か?」
サリドの問いかけにニンジャは僅かに頷いた。
「なら、いいんだが。えーと……」
「ストライガー」
「?」
「ストライガー・ウェイツ」
「あ、あぁ。名前ね。因みに俺の名はサリド・マイクロツェフ」
「よろしく」
「ああ。もう終わったがな」
そう言葉を交わして、二人は握手をした。