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そのころ。
「遅かったじゃない!!」
集合場所にフランシスカたちとサリドたちが合流していた。
「いやぁ、悪い。悪い」サリドは駆け出して、笑う。
「で? 待たせたならそれほどの情報を掴んだんでしょうね?」
フランシスカは冷たく、突き放すように言った。
「ああ、勿論さ」そう言ってサリドは先ほど修一から聞いたことについて話した。
「……なるほどね。それならあれはこの世界を滅ぼそうとしている、と」
「ああ。たぶんそうだと思う」
サリドはフランシスカに話をして、ひとつ溜息をついた。
「どうしたのかしら?」
「ああ、いや、これで終わると思ったら気が……」
「そうね……。確かにそうなっちゃう気持ち、解らなくはないわ」フランシスカは笑う。「でも、まだこれからよ! 戦いが終わったらバカンスなり何なりすればいいじゃない!!」
「……、」サリドはずっとフランシスカの顔を見て、その照れを隠そうとして、顔を沈め、「……これ、あげようと思ってさ」
サリドが差し出したのは二、三本の鼻。桃色の、小さな花だった。
「……これは、アネモネ?」
フランシスカが呟き、サリドはゆっくりと頷く。
「アネモネの花言葉……」それを思い出そうとしてフランシスカは気付く。
刹那、フランシスカは顔を顰めてヒュロルフタームへと歩いていった。
だが、花を手放すことはなかった。
後を追ってロゼ、ウィンド、リリーの三人もそれぞれのヒュロルフタームに乗り込んだ。
「あの馬鹿、何が言いたいんだか……。『薄れ行く希望』だと?! 馬鹿も休み休みにしてほしいよ……」
フランシスカはひとり、ヒュロルフタームのコックピットで愚痴を言っていた。
『ちょっといいかな。フランシスカ。最終的な作戦を立てようと思ってだね』
突然通信が入った。その主は――ロゼだった。
「えぇ、いいわよ」フランシスカは了承する。
『ありがとう。では簡単に説明しよう。ウィンドもリリーもよく聞いてくれ……』
そう言ってロゼによる作戦の説明が開始された。