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FORSE  作者: 巫 夏希
『世界を、変えるのは我々だ』――ディガゼノン聖軍討伐戦
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36

ヒュロルフタームについて調べていくうちに不思議な記述も発見された。


ヒュロルフタームはもとは開拓地を切り拓くためのロボットであった、と。だが、試作品は開発途中で事故が発生し断念、その後は廃棄処分となっている。


もしも、廃棄処分されていなくて何処かにまだ保管されているとしたら?


またかつてサリドが持ってきた肉塊の解析データが公開されなかったのも、彼女は疑問に思った。そこで独自にルートを形成し解析を行った。


結果は、ヒトのDNAに99.97%一致している、との評価だった。


それは即ちヒュロルフタームと同じだった。


そして彼女はとある仮説を立てる。


まずヨシノ博士がヒュロルフターム理論の論文を解りにくくした訳は、彼自身もヒュロルフタームという存在について謎が多かったからだろう。


恐らく、メタモルフォーズが生み出され、そしてヨシノ博士はそれをベースにヒュロルフターム『エヴァード』を作り出したのだ。


だが、これはあくまでも仮説に過ぎなかった。証拠がないというのもあるが、メタモルフォーズについてまだ解らないことが多いというのもあるからだ。


ただ、リーフガット自身はこれは確信の持てる説であることを自画自賛していたのは明らかだった。


「メタモルフォーズは勿論のこと、ヒュロルフタームだってまだ解析は三割も満たない。……ヒュロルフタームがそう簡単に増産出来ないのもきっとそれが理由よ。解析が簡単に出来るならこの世界はヒュロルフタームだらけになってしまう」


リーフガットは今までの話をずっと、アルパに話していた。アルパはつまらなそうにする顔も一切見せず、ずっと無言で聞いていた。


「つまり……リーフガットさんが考えるにメタモルフォーズのモデルはその“吸血鬼”で、ヒュロルフタームのモデルがメタモルフォーズ……だと?」


「あくまでも推測、証拠はないわ」リーフガットはつまらなそうに、「証拠があるならまだ信憑性はあるんだけどね。……そう、例えば写真とか。それがないから推測の域を出ないし、軍のタブーの一つにもなってるからもしかしたら口外した瞬間処罰されるのも充分考えられる」自嘲するように笑った。


「でも、その処罰が為されることもあるならそれで確定なんじゃ? 早く……」


「何処に、言うかな?」


リーフガットはアルパよりも先にその言葉を放った。


「言っておくとそれは無理だ。社会主義国は神殿協会の息がかかってるし、資本主義国はレイザリー王国の連合組織ととっても過言ではない。……つまり無意味ってわけだ。世界のどの国も敵だらけなんだよ」


「いや……。まだありますよ。リーフガットさん。資本主義国にも社会主義国にも属さない空白地帯であるにも関わらず、そのどちらも手を出せない場所が」


「……まさか、」


「えぇ」アルパは咳払いをして一呼吸おいて、「シノビの国、ジャパニアです」言った。

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