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FORSE  作者: 巫 夏希
『世界を、変えるのは我々だ』――ディガゼノン聖軍討伐戦
148/207

15

「……解ったわ。あなたも真実が知りたいわけ……ね」


そう言うと部下は改めて頷いた。


「えぇ! このアルパ・ロステリオ、地獄の果てまでお供したく存じ上げます!」


そう言ってアルパは小さく敬礼した。





その頃、サリド。


LSSの排水が終了し、ノータもコックピットから出た後に待っているのは、


「……じゃ、頼むよ。こっからここまで。ず~っと、ね」


……ヒュロルフタームが置かれている部屋の掃除だった。何時もならばガンテや他の人間も手伝うのだが、今日に限ってはサリド一人のみであった。


「畜生……。なんで俺だけなんだ……」


サリドはデッキブラシを用いて床を力一杯擦った。こうでもしないと機械油とかの油脂は落ちやしないからだ。


因みにこれにはちゃんと理由がある。いつもはガンテと他の機械整備班の人間とで掃除を行うが、新型LSSの交換を行う為にその全員がもう一つある倉庫に向かっている。その為か、この第一倉庫も少し静かだ。


だから今サリドはその皺寄せでここを一人で掃除するに至っているのだった。



「あぁっ……、畜生。落ちねぇもんだなやっぱり!! もう少し落ちる効率のいい油を開発してくんないかな!!」


乱雑にブラシを操り、何度も何度も同じ場所を擦るサリド。だが、落ちる気配は見えない。


「……無茶苦茶疲れる……。あと三人くらい人手が欲しいぜ……」


もう自分の今いる地位を糧にイライラするのは馬鹿らしく思えてきたらしく、サリドは何も言わずに黙々と磨き続けた。ただ、空気はピリピリとしていて、その中に入りにくい空気を醸し出していた。





その頃、グラムは仕事が一段落したため外に出て缶コーヒーを飲んでいた。


「やっぱりコーヒーがいいよなぁ。甘ったるいカフェオレとかは飲めないから、やっぱりあそこの自販機は誰しも飲めるものを取り揃えているだけはあるな」


グラムはそんな独り言を呟いていると、


「おや、グラムじゃないか? どうしてここにいる?」


「リーフガットさんこそ、どうしてここに?」


「私は仕事の休憩だ。……つまるところそれを見た限り、仕事が終わって一段落、ってところか?」


「えぇ、まぁ、そんなとこです」


グラムは恭しく笑って言った。


「ちょうどいい。その息抜きが終わってからでいいから、第一倉庫で清掃作業に明け暮れるサリドを手伝ってこい。たぶんあのままだと今日中には終わらないだろうからな」


リーフガットはそう言って煙草を加え、火をつけた。


「……まじかよ。だが、今回ばかりはお断りだな。何せ先程の仕事で疲れちまった」


「行かなかったらお前の給料1000%カットな」


「行きます。行かせてください」


「解れば宜しい」


リーフガットは微笑んで、言った。


「あぁ! なんでだろう! 微笑まれても全く優しさが浮かんでこない!」


「……イッテコイ」


「ひ、ひいっ! 俺は任務もとい雑務をすることを強いられているんだ!」


そう言ってグラムは一目散と基地へ戻っていった。

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