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その頃、リーフガット。
「神殿協会から手紙が見つかった?」
「はい、」
リーフガットは自分の部屋でこの前の世界トライアスロンの始末書を書いていた。そして唐突に――ノックもなしで――部下が入ってきた。
「神殿協会がいた王都の廃倉庫を調べました結果、驚くべきことが解りました。フォービデン・アップルと書かれた手紙がありまして……。それにヴァリヤーと書かれたのも」
リーフガットはそれを聞き、思わず鳥肌が立った。
「……そう。そして、手紙の内容は?」
「今此方にあります。ご覧になられますか?」
「えぇ」
リーフガットが頷くと部下は持っていた半透明の袋を開け、その中身をリーフガットの目の前にある机に丁寧に一つづつ置いていった。
「ご苦労様。もう下がって大丈夫よ。勝手に仕事を頼んでしまってごめんなさいね」
リーフガットは手紙を一枚一枚丁寧に見ながら言った。
「えぇ。大丈夫ですが……、どうして今フォービデン・アップルについて調べているんですか?」
部下は部屋を出ず、尋ねた。その眼は、ふざけているようには見えなかった。
「……あなたには、関わりのないことよ」
「どうしてですか? ヴァリヤーがいる組織を、何故私が調べてはいけないのですか……」
「……そうか。思い出した。君はクーデターの時に母君を亡くされているんだったな。……思い出させたようで、申し訳ない」
「いえ、私はもう大丈夫です。母親の分も合わせて“生きよう”と思ったからです。あのときの私は正直なところ生きるためにがむしゃらになって自分の命というものを軽視していました。でも、あのクーデターで母が……大事な人が目の前で亡くなっていった時に漸く気づけたんです。『自分の命は、自分の為にあるものじゃない』と」
部下は、少なくとも悲しみに暮れていることはなかった。
どちらかといえば、希望を取り戻したような……そんな感じだった。