表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
FORSE  作者: 巫 夏希
『世界を、変えるのは我々だ』――ディガゼノン聖軍討伐戦
144/207

11

「αパルスがコンマ72秒早いな。ライラ。βパルスに合わせてくれ」


『りょーかい』


ガンテがマイクを通してライラに指示を送る。それをサリドはただ見つめることしか出来なかった。


「……この進行波、赤と青がありますよね? これは一体……?」


「赤が、ノータの脳波を示すαパルス。青は……そうだな。ヒュロルフタームの“鼓動”を示すβパルス、と呼んだ方がいいかな? んで、これらは仮に噛み合わない……例えば山と谷が逆さになってしまえば、これを重ねてできる波はどうなる?」


「プラマイゼロになりますね」


「そういうことだ。つまりは、αパルスとβパルスの位相誤差をコンマ05秒以内でなければ完璧なシンクロ……ヒュロルフタームの力を最大限引き出すことは出来ないってわけだ。……おっと、ライラ、後少しだ。コンマ41秒だからそれを目安にずらすんだ」


「……でも、そんな簡単に脳波を操ることなんて、出来るんですか?」


「無論、訓練は必要さ。だが、それでも出来ない人間が多いからな。正直な話ノータはそう簡単になれるわけはない。まっ、天才だけが世界を救うヒーローになれるわけだ。ライラ、それでいいぞ」


ガンテはモニター――そこには脳波とヒュロルフタームの鼓動のパルス波が描かれている――を見て、マイクに向かって言った。


「ライラ、居心地はどうだ?」


『結構いいわよ。もしかしてこれってLSSの最新型? 結構酸素が取り込みやすくなったような……』


「君には敵わんな。あぁ、そうだ。今日の整備で他のヒュロルフタームにも最新型LSSを注入しようと思っていてね。君がそれの一番乗り、ってわけだ」


「最新型LSS……ですか。従来のやつとはどう違うんですか?」


サリドがガンテに尋ねる。


「生命のスープ、って聞いたことあるか?」


「えぇ。……かつての海は栄養が沢山含まれていたんでしたっけ? だけど何故か今や痩せ細った栄養しか含まれてなくて、生き物がもう殆どいないんでしたよね」


「あぁ……。そしてLSSはその生命のスープに限りなく近い構成元素で成り立っている」


「……ってことは、古代の海と限りなく同じ、ってことですか?」


「あぁ。そして研究を進めていて、さらにその誤差は減りつつあるらしい。……つまりは、海を生命の母として復活させる時もそう遠い未来ではない、ってことになり得る」


『……ガンテさん。私はこれから何すりゃいいの?』


「……そうだな。狙撃とかはダミーを用いてやらせたからな……。一先ずは疲れたろう? とりあえず休んだらどうだ?」


ガンテの指示に従い、ライラはコックピットからLSSの排水を開始した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ