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FORSE  作者: 巫 夏希
『総ての平和を求める人へ』――世界トライアスロンの14日間
129/207

4-17

確かに倉庫には誰も居なかった。しかしながら、リリーたちの事に気付いて逃げ出したのか、つい先程まで人がいた形跡はあった。例えば食べ掛けのパン――賞味期限が切れていないので、開封もつい先日のように思える――や、温もりが未だ残る布団、など。しかしそれらが計画の重要事項とは到底思えず、リリーたちは力が抜けたように落胆した。


「……やっぱり、無かったわね……」


リリーは――やはり心の中に期待もあまりなかったのだろう――最初から用意してたかのように、その言葉を呟いた。


「まだ一抹の希望がある、と思ったけどやっぱりそう簡単には残す訳もないものね……」


と呻くように呟くフランシスカ。


「まぁ、諦めて追撃を防ごう。にしても……おかしいな」


ロゼはフランシスカを慰めるように言ったが、その後半から何故かこの自然な現象に違和感があるかのように、考えるような仕草を見せた。


「……ロゼ? どうかしたの?」


フランシスカはそのロゼの異変に気付き、言葉を投げ掛けた。


「いや……何かがおかしいんだよ。さっきから。……君達も気付かないか? 彼らが反ヒュロルフターム推進の勢力とはいえ、先ずは僕たちのヒュロルフタームを潰しに……は無理だろうけど活動停止くらいにはさせられるはずだ。なのに、今のところそんなものは感じられない。……どういうことなんだ?」


ロゼはそう言ってまた、首を捻った。


「……それも解らないけど、ひとまずの収穫はあったわよ」


そう言ってリリーは何処かから何かを取り出した。


取り出した物は、一枚のフロッピーディスクだった。


「今更フロッピーディスクとかどんだけ古いのよ……」


フランシスカはそんなことを言いながら、リリーからそれを受け取る。


「まぁ、科学技術を嫌う神殿協会の事だし、何世代もグレードを下げたものが最先端なんじゃない? まぁ、フロッピーディスクなんて資本主義国では化石に近い代物だけどね」


リリーは珍しく長い言葉をフランシスカに投げ掛けた。


「……そういや、機械がそこにあるわね。とりあえずそれを利用してみようかしら」


そう言ってリリーはパソコンにも似た機械に手を掛け、プログラムを始動させた。


ブゥン、とノイズにも似た音が発せられ、パソコンの画面には青いウィンドウが表示される。


「……そんな、見た感じは変わりないけどね?」


「とりあえずフロッピーディスクを入れてから、よ。ここで何も無かったら話にならないわ」


「確かに、そうだね」


そう言ってリリーはフロッピーディスクを挿入した。その後まるで黒板を爪で引っ掻くような音(要するに、不快な音である。)がパソコン内部から聞こえてきたので、彼女たちはパソコンが壊れたのかと一瞬思った。

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