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FORSE  作者: 巫 夏希
『総ての平和を求める人へ』――世界トライアスロンの14日間
128/207

4-16

「まぁ、そういうことで……。つまりは、これは囮、って事でいいのか?」


彼女たちは今、ビデオチャット機能を用いて会話をしていた。リリーの話を聴いたフランシスカが満更でもないような顔で呟いた。


「たぶん、それであってると思う。……何故ならこれがホントに目的なら、もっと周りに戦力を置いておくはず。それがいないってことは……」


「陽動、ってことか……。うちら三人は見事に騙された、って事になる」


「まさか僕も騙されるとは思わなかったよ。未だ信じられないくらいだ」


フランシスカにロゼ、それにリリーはそんな会話を交わしていた。


「……にしても、どうする?」


「なぁに、ひとまず神殿協会の奴等がいる場所を叩き潰せばいいんだ」


そう言ってフランシスカは得意気に一枚のマイクロチップをカメラの前に見せる。


「……それは、チップ?」


「そう。それ以外に何があるっていうの? これはチップ。さっきリーフガットさんから貰ったやつ。さっきのサリドとの会話を録音しといたから場所もはっきりと解るわ」


「なるほど。……あなたにしては上出来ね? フランシスカ」


「ロゼ。……あなたと私って知り合ってまだ全然経ってないわよね?」


そんな漫才紛いな事をしながら、フランシスカはチップを読み取り機にセットした。




オリンピアドームが軍用施設だった頃、戦争の時には物資を備蓄・供給する中継基地の役割を果たしていた。今も、その名残として北側には、無論今では使われる事はないのだが、空のコンテナばかりが無造作に置かれていた。また、無理に増築して建物全体が歪みつつあるため、現在の立入を禁止している、倉庫などもあった。


その、倉庫の一つにリリーたちはやってきた。ヒュロルフタームに乗ると当たり前の如く狙われてしまうために、乗らずにやってきたのではあるが、彼女たちは一応のため銃を一人三台程持っている。だがしかしそれでも不安になってしまうのが人間の性というものなのかもしれないのだった。


「……静かね」


不意にフランシスカがそう呟いた。


「人は居ないんじゃないかしら? 全員駆り出されてしまって、ね」


リリーは警戒心は解こうとはしなかったものの、先程とは違った、もしかしたら安堵していたのかもしれない、感情で言った。


「人は、居ないかもしれない。でも、何か資料が残っていることもあるかもしれない」


「まぁ、可能性としては大いに有り得ることですね。大抵の戦争ならば処分してしまうか、一人の人間に全てのデータを託しておくか……」


そう言いながら、三人は倉庫の扉をゆっくりと開けた。


次回更新:01/27


いいところですが、ストックの都合上、ここまでの掲載となります。次回更新をお待ちください。

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