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FORSE  作者: 巫 夏希
『総ての平和を求める人へ』――世界トライアスロンの14日間
127/207

4-15

その頃、リリー。


辿り着いたフランシスカとロゼに全てを話していた。


因みにではあるが、フランシスカが乗ってきたヒュロルフタームには爽やかなスカイブルーのカラーリング、ロゼはオレンジのカラーリングが為されていた。これは彼女たちのパーソナルカラーにもなっているらしいが、それにリリーはあまり賛成は出来なかった。


よく考えてもらいたい。ヒュロルフタームとは戦争などに使われる謂わば兵器である。勿論、秘匿性はないよりある方がよく、どちらかといえば目立たない方がベストである。


しかし、しかしながら、今はどうだろうか? 先程の二人のヒュロルフタームのカラーリングはオレンジとスカイブルー。決して目立たない、質素な色とは思えない。しかし今はそういう秘匿性よりも会社の広告を何処に張るか、が重要視されている。


戦争は巨大なショービジネスだ。


だから、資本主義国はヒュロルフタームに民間企業が生産・斡旋した武器を持たせるし、軍隊にもそのような措置をとる。リリーはそれにも不満を抱いていたが、それを変えようとすると資本主義のカタチそのものが崩壊することにも為り得てしまうのだ。それもリリーは解っていた。だからこそ批判もしなかった。


ヒュロルフタームが要らないとは言わない。それによって戦争の造りは大きく入れ替わり、また世界のシステムすらも変えてしまったのだから。


しかし、


それに根付くスポンサーが、資本主義の象徴にも近いそれが、戦争に影響を及ぼすのは何故なのか?


戦争は今や世界中にテレビ配信やネット配信で見ることが出来る。即ち、見ようと思えば誰でも戦争は見ることは出来る。昔ならば、ヒトとヒトが戦う意味での“戦争”ならば撮すことは出来なかっただろう。


しかし、今はヒュロルフタームとヒュロルフタームの戦争であり、ヒトの出る幕は完全に(まだ完全に、とは言えない。何故ならばサリドのような特攻隊に近い存在も時折戦争に登場するのもあるからだ)裏方に回ったといえる。


即ち今テレビで撮されているのは近いようで遠いような、ヒュロルフタームという戦闘兵器同士の対決で、決してヒト同士の対決ではなかった。


即ち今流されている事実は事実とは言えない。“事実の複製を程よく改竄して作り上げた新しい事実”であって“事実そのものの複製”とは言えない。


でもそれに国民が影響されるのはやはり『現実味を帯びない』から。


レイザリー王国の国民ならばまだヒュロルフタームがいることに現実味を帯びていると感じられるかもしれない。現にヒュロルフターム開発の最先端を往く国家でもあるし、ついこの前にヒュロルフタームを用いたクーデターも起きた国だからだ。


しかし他の国はヒュロルフタームを秘密裏に開発していたりしているのだ。だからヒュロルフタームと呼ばれても知名度が薄いのは愚か、何も解らないとたじろぐ国民ばかりでもあることが容易に解り得ることだった。

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