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その頃、リーフガット。
彼女たちは、予兆のない攻撃を受けていた。
魔法。
それは科学では説明することの出来ない未知なる力。
魔法。
それはかつての旧時代、限られた人間が使うことが出来たとされる、禁じられた力。
それが、今彼女の目の前で起きている。
それは彼女にとって理解しがたいことでもあった。
「リリーにフランシスカは無事にヒュロルフタームに乗って発進した!?」
「なんとか大丈夫! ……にしてもまさか本陣を直接狙ってくるなんて……!!」
ライズウェルトは苦々しそうに呟いた。
「……やり過ぎちゃったかな?」
そこにはサリドの予想通りフィレイオがいた。
炎のような紅い髪をもつ少年。
リーフガットはそれだけを見ただけであるのに、憎悪さえ感じた。
「……見とれちゃいました?」
フィレイオが笑いを交えて言った台詞に、リーフガットはのせられてしまい、
「……!!」
命取りとなる緊張の感情を一瞬ながらも解除してしまい、
「……ヒトは何でも、遅い」
フィレイオに呟く隙を与えた上に、
「少し、黙ってていただきますよ?」
また、同じように悪戯を含んだ笑みで、彼女の鳩尾を的確に突いた。
「……う、ぐ……!!」
彼女は苦しそうな顔をして、静かに倒れていった。
「……貴様、何を?」
「何を? と言われても困るんだけどね。別に僕は魔術を用いていないし、ただ普通に人間としての急所を突いて気を失わせただけ。それの、どこに責められるポイントがあるというんだ?」
「……待って?」
ここでライズウェルトはとある事に気付いた。
「……まさか、独りでここまで?」
ライズウェルトが呻いたにも似た声を出し、言った。