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しかし、これについて、結構骨の折れる事柄であることについて――少し説明しておくこととしよう。
一つ、今回の事項は全世界にさらけ出される程の大騒動にならない限り世界トライアスロン参加者のノータには知らせないこと。フランシスカは尚更だ。せめて事情を話してロゼだけには伝えておきたいところだが……流石にそうも行かないだろう。
二つ、戦争はあくまでも秘密裏に、決して明かしてはならない。これはサリドが戦争に社会主義国も参加させるよう嘆願した理由と同じで、スパイがいると考えたからだ。
この二つの事項だけだが、それでも二人には十分すぎる重荷だった。
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そのころ、とあるホテルの一室。
「部隊を最小限しか送れない?! 一体どういうことですか!!」
軍服に着替えたリーフガットは、電話を手に取り、激昂していた。
『リーフガットくん。君の言いたい気持ちも解る。だがな、君が嘆願した開戦宣言相互承諾のせいで社会主義国がレイザリーに攻め込もうとしているらしいのだ。開戦宣言相互承諾なしで、な。だから、君のいるオリンピアドームだけに人員は割けない』
電話の向こうの声は、とても冷たかった。
「だがしかし!!」
『君も軍人ならばけじめをつけたまえ!!』
その声を聞いて、リーフガットは言葉を失った。
『……申し訳ないことは解っているさ。だが、仕方ないんだ。代わりに第三世代、そして復活した彼女とクーチェもセットだ。フランシスカには仕方ないが戦いに参加してもらう。この際スポンサーなんぞ仕方あるまい。スポンサーばかりに構っていてはレイザリーが持たない』
「……解りました」
短く告げて、リーフガットは電話を切った。
そして彼女は直ぐに電話を繋いだ。その人間とは、
「あ、もしもし。サリド・マイクロツェフに繋いでもらえる?」