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「一回しか言わないから驚かないで、よく聞いて。実はAMWADEMが施行決定となりましたが、それの施行開始は今晩21時に変更となりました」
「今日許可を求めてその日中に開戦とかどんだけ暇なんですか」
サリドはライズウェルトの報告にツッコミを入れながらも緊張を走らせ始めていた。
AMWADEM……Ask Make a WAr on DEclarative statement Mutualの略でその名の通り、『開戦宣言相互承諾』の略である。上手く略せていないのがちょっと惜しいところではあるが『開戦宣言相互承諾』だと少し長ったらしいところもあるので、このようになっている。
「ちょっと待てよ。21時といったら……、あと数時間もねぇぞ?! 観衆とかはどうするんだ?」
「そこは安心にお守りします。ノータも数名来ますし、第三世代のヒュロルフタームも見れる、貴重なチャンスと思った方がいいと思いますよ? 良く考えようとも悪く考えようともどうせ開戦宣言相互承諾が施行された今、私たちに戦争を回避させることなんて万がひとつでも不可能だと思った方がいい。……これは軍からの報告ではなく、私個人からのアドバイスよ」
第三世代のヒュロルフタームをサリドとグラムは以前にも見たことがあった。フランシスカに至っては操られてはいたものの、それを操縦した人間でもある。
ヴァリヤー・リオール……グラムの父親が謀反を起こし個人所有していた第三世代のヒュロルフタームを用いたクーデターがあった。
サリドとグラムはそれから首都を守るため、健闘し、第三世代を無事凍結、パイロットを管理下におくことに成功した。
「……第三世代……。まさかそんなに早く完成するものなんですか? 確かヴァリヤーが個人所有していた一機だけだったような……」
「それが、何処に隠してたのか解らないけどレイザリーは秘密裏にさらに一機制作していたようなの。まぁ、国の情報は鵜呑みにゃ出来ないから、きっとまだまだあるんだろうけど」
ライズウェルトは呟くように言った。
そして、
「さ、報告は終わり。残りの時間は……あと74分程といったところね。さっさと神殿協会なんかぶっ潰してしまいましょ。私だってさっさと休みたいからね?」
そう言ってライズウェルトは振り返り、フランシスカのマンションがある方へ歩いていった。
次回更新:01/18予定
ストックが予想以上に溜まったので6話分更新しました。次回もこれくらい更新できたらいいなあと思っております。