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そして、
午後4時。
射撃場には多くの人間が集まっていた。
「さぁ! 二日目は射撃! ノータたるもの視力もよくなくては! 動く的に狙って、射撃していただきます!!」
昨日一日休んだのか、昨日と同じく元気いっぱいであのアイドルは司会をこなしていた。やはり彼女もプロなのだな、と観に来ていた観客にそう思わせた。
「フランシスカたちは大丈夫だろうか……。一応ライズウェルトさんが軍に伝えておいてくれたらしいけど……」
「あぁ……。流石に今は世界トライアスロンの真っ最中だ。ここで兵器を持ち込んで攻撃が他国の部隊にあたってみろ? 直ぐに戦争が始まって、世界トライアスロンもパァさ」
サリドは、グラムがおおよそ何も考えずに言ったであろう言葉を聞き、何かを思いついた。
「なるほど……!! 神殿協会はそれが目的なのか……!!」
「グラム!」
グラムがサリドの異変に何があったのか尋ねようとする前にサリド本人から話を始めた。
「……どうした? サリド」
「もし、神殿協会の目的が僕の考えた事なら、もうすぐこの射撃場で何かが起きるはずなんだ! だからグラムはここを見張っててくれ!」
サリドは語気は強めながらも、他の人に知れてはパニック状態に陥る人間が出てきて現場の混乱が予想されるとして、聞こえないように静かに言った。
「……そういうが、お前は?」
「僕はリーフガットさんに説明して休暇の返上を。あと、なんとか上に通してヒュロルフタームの使用許可、更に皮相軍隊もね」
「……俺たちが慌てているうちにそんなに事態は深刻だったのか?」
「まぁ、そうだね。とりあえず電話してくるよ」
サリドはそう言って席を外した。