エピローグ
エピローグ
1
「きれいだね」
青空にきらめく光のカーテンを眺めながら、小夜は呟いた。
隣にいるローエンは、呆然と地面を見つめながら、力のない相槌をうつ。
「ちょっと、せっかく平和になったのに、この世の終わりみたいな顔しないでよ」
ローエンの落ち込みように、小夜は困り果てる。
小夜たちは最初の神殿に戻って来ていた。小夜を元の世界に戻すためだ。
神殿の入口の前で、小夜とローエンは並んで石段に腰かけていた。優しく吹く潮風に乗って、心地良い波の音が耳に届く。
小夜は大きく息を吸って、潮の香りを胸に閉じ込めた。寂しくなる気持ちを抑えるように。
「元気出してよ。魔力が戻ったら、また呼び戻してくれるって、魔導師も言ってたし」
「そんなのいつになるかわかんねぇだろ」
と、ローエンは口を尖らせる。
「俺は、一日だっておまえと離れたくねぇんだ。おまえは違うのかよ?」
「そんなわけないでしょ! 私だってローエンとずっと一緒にいたいよ」
「だったら行くなよ!」
「そういうわけにはいかないって言ってるでしょ。家族や友達がきっと心配してる。帰らなきゃ」
小夜が言っても、ローエンは不貞腐れるようにそっぽを向く。
「もう、わかってよ。私だって、辛いんだから」
「どうだか」
そっけないローエンの返事に、小夜は堪忍袋の緒が切れた。
「わからずや! もういい! もう知らない!」
勢いよく立ち上がると、小夜は荒い足音を立てながら、神殿の中に入っていく。
開いた扉をくぐったところで振り返ったが、座り込んだローエンが追いかけてくる様子はなかった。 大きなため息をついて、小夜はみんなの待つ奥へと進む。
相変わらず薄暗い部屋の中では、柱で燃えている松明の火だけが頼りだ。正面の壁にかけられた巨大な絵画が、オレンジ色の灯りに照らされて、ぼんやりと浮かび上がっている。
白い尖った石に、女性が黄金に光る丸い球を差し出している不思議な絵だ。もしかしたらこれは、結界の真実を表す暗示だったのではないかと、今更ながらふと思ってみる。
「サヨ様!」
薄明かりの中から、ユラが長い髪をなびかせて駆け寄ってきた。ずっと瀕死の状態だったが、結界が張られてからその浄化作用で病状が軽くなり、動けるまでに回復した。体に刻まれた汚染の痕も徐々に消え始めているという。
ユラの後ろには、彼女を守るように二人の王子が控えていた。ゼーンとエルデだ。エルデは左目を覆うように眼帯をつけていた。怪物に左目を汚染され、傷が消えずに残っているのだ。一時は、両目の視力を失っていたが、右目だけはようやく生活に支障がないくらいに回復したらしい。
「サヨ様、もうすぐ儀式の準備が整いますわ」
「そう、ありがと」
ユラの言葉に、小夜は力なく答えた。
「お兄様と、何かございましたか?」
心配そうに、ユラは顔を覗き込む。
込み上げてくる涙を我慢して、小夜は小さく首を横に振った。
「相変わらず、こういうことに関しては未熟ですね、ローエンは」
ローエンの背中を横目に、ゼーンが呆れたように嘆息した。
「心配なさらずに。寂しさのあまり、すねているだけですから。まあ、でも、あの態度はいただけませんね。私が言って聞かせましょう」
ゼーンはそう言うと、ローエンのもとに歩み寄る。
「お兄様、サヨ様とお別れすることがよっぽど辛いのですわ」
外でうなだれているローエンの背中を、心配そうに見つめながら、ユラはこぼした。
「私もとても寂しいですもの。もっとサヨ様といろいろお話したかったですわ」
「私も。特に……ゼーンとエルデ、どっちとくっつくのかとか」
と、小夜が耳打ちすると、ユラはみるみるうちに顔を紅潮させて、両手の人差し指を合わせてもじもじし出した。その仕草は、抱きしめたくなるほど可愛らしい。
「さ、サヨ様ったら、何をおっしゃるのですか」
「だって、気になるんだもん。ねぇ?」
顔をにやにやさせながら、小夜はユラとエルデを交互に見やった。
ユラは赤面してうつむき、エルデは眉一つ動かさずに視線だけ返してくる。その目は「何のことだ?」と疑問を投げかけているようにも見えて、小夜は苦笑した。
(この二人が進展するには、けっこう時間がかかりそうね)
そうこうしているうちに、準備が整ったようだ。魔導師が曲がった腰をかばいながら、ひょこひょことやってきた。
「儀式を始める。おまえさんはあの魔法陣の中へ入れ」
魔導師が指をさした方向には、巨大な絵画があった。そのすぐ前方の床に、円を描くように刻まれた魔法陣が見える。
この世界にやってきた最初の頃を思い出しながら、小夜は魔法陣の中に立った。
右も左もわからずに、一刻も早く帰りたいと思っていたあの頃。今では帰ることをためらっている自分がいる。
見送ってくれるユラたちを眺めて、小夜は胸がつまる思いだった。
ローエンは相変わらず外で不貞腐れていたが、ゼーンが無理やり腕を引っ張って、神殿の中につれてきた。
ローエンの仏頂面の横顔は、なんだか懐かしい気もする。
「サヨ様、お忘れ物などございませんか?」
「うん、大丈夫」
背負った鞄を一瞥して、小夜は頷いた。
「お元気で。またいつでもいらしてくださいね」
「うん。呼んでくれたら、いつでも飛んでくるよ。その時までに、ユラも恋を成就させてね」
「さ、サヨ様ったら、またそのようなことを……」
ユラは頬を染めてうつむいた。ユラの可愛い反応に満足しながら、小夜はエルデに視線を向けた。
「エルデ、ユラのことしっかり守ってあげてね」
「ああ」
「ちょっと待ってください。その言葉をエルデにかけるのはおかしいでしょう」
眼鏡の中心を人差し指でくいっと上げて、ゼーンが横から口を出す。
「お忘れのようなので言っておきますが、ユラは私の……」
「あー、はいはい。忘れてないから。ゼーンも頑張れ」
と、小夜は親指を立てて紛らわせた。
「なんですか、その軽い感じは。別れのあいさつにしてはお粗末ですね」
「湿っぽいのは嫌じゃん? どうせなら、笑顔で別れたいし」
「それもそうですね。ですが、さっきの言葉は冗談でも笑えませんよ」
「ごめん、ごめん」
怒気をはらんだ柔和な笑みに、小夜は苦笑した。
「そろそろよいか?」
魔導師が急かすように言う。足元の魔法陣が淡い光を放ち始めていた。
小夜は慌ててローエンに声をかけた。微妙な空気のまま別れてしまうのは嫌だ。
「ローエン!」
ローエンは顔を隠すように横を向いたままだった。
足元の光がだんだんと強くなっていく。
「今までありがとう! ローエンが傍にいてくれて、本当に心強かったよ! 私のこと好きだって言ってくれたことも、本当にうれしかった。たくさん抱きしめてくれてありがとう! たくさん愛情をくれてありがとう! ローエン、大好きだよ!」
眩しいほどの光が、魔法陣から勢いよく溢れだした。光は真上に向かって伸び、壁のように小夜を取り囲む。
体が軽くなるような感覚が芽生え、強い閃光によって、視界が遮られていく。
(体が消える……!)
そう思った瞬間だった。一瞬だけ、ローエンの顔が目に入ったのだ。
光の中に浮かんだ彼の顔は、涙に濡れていた。
2
学校から帰る道のりを、小夜はため息交じりに歩いていた。
小夜が戻って来てから、あっという間に一年が経った。戻ったときは大変な大騒ぎだったことを、今でも昨日のことのように覚えている。小夜は川に溺れて、二ヶ月間ほど行方不明ということになっていたのだ。帰ってきた際には、奇跡が起きたと新聞沙汰にもなった。
行方不明の間はどうしていたのかと、さんざん周りに聞かれたが、小夜は適当にごまかしてしのいでいた。そのせいか、神隠し説や宇宙人誘拐説など、とんでもない噂が飛び交い、恰好のワイドショーネタになってしまった。
一応、家族にだけは本当のことを話したが、ワイドショーネタと近からず遠からずで、信じてもらうにはかなりの時間を要したのだった。
あれから時は過ぎ去り、気がつけば一年だ。人の噂は七十五日とはよく言ったもので、小夜の事件はあっという間に世間の関心を失った。そして、何事もない日々がただただ過ぎていく。明日からはもう夏休みだ。だが、ちっとも浮かれた気分にならなかった。
小夜の心はずっと霧がかかったようにもやもやしていた。今いる日常が嫌なわけではない。友達もいて、家族もいて、何不自由ない暮らしができている。なのに、心が晴れることはない。原因はわかっている。誰よりも傍にいてほしい人が、小夜の傍にいないからだ。
大好きな人。連絡をとる手段もない。どうしているだろうか、元気でいるだろうか。小夜の心は常に彼のことでいっぱいだった。
別れ際に見た彼の涙が忘れられない。強くて勇ましい彼が、初めて見せた弱さだったかもしれなかった。
(ローエン……)
想えば想うほど、胸が締め付けられる。顔が見たくて、声が聞きたくてたまらなくなる。
「会いたいよ……」
遠くの方で聞こえるせわしないセミの声を、小夜は大きなため息でかき消す。
ちょうど橋のところまで来たときだった。小夜と同じくらい大きなため息が聞こえて、視線を向けた。赤いランドセルを背負った小学生が、橋の上から川をじっと眺めている。
三、四年生くらいだろうか。髪を二つに結び、プリーツのスカートをはいた女の子だ。
小さな紙箱を手に持って、思いつめたように川を覗きこんでいる。
気になって見ていると、女の子はその手をおもむろに振り上げた。
(あ!)
小夜は思わず駆け寄って、女の子の手を掴んでしまった。
ぎょっとした顔で振り返った女の子は、顔をしかめてじろじろと小夜を眺める。
「何ですか?」
「何しようとしてたのかな?」
できる限り優しい口調で、小夜は尋ねた。
女の子は仏頂面を返してくる。
「別に」
「ゴミを捨てようとしたでしょ?」
図星だったのか、女の子は目を泳がせながらうつむいた。
「ダメじゃない。川にゴミを捨てちゃ」
「だって、みんな捨ててるじゃん。一個くらいどうってことないでしょ」
口を尖らせて言い返す女の子の姿は、昔の自分を思い出す。
やっている人がいるのだからと、軽い気持ちでゴミを投げ捨ててしまった過去。一人一人の軽率な行為が、どういうことを及ぼしているのか、現在の小夜は痛いほど知っている。
小夜は女の子の真正面に立つと、視線を合わせるために少しかがんだ。
「ねぇ、その一個くらいって気持ちが、この川をゴミだらけにしてると思わない? あなたが捨てようとしてた一個のゴミは、たかが一個じゃないのよ」
「お説教なら間に合ってます」
「お説教じゃなくて、ちゃんと知ってほしいの」
小夜はヤーレスツァイトのことを思い返していた。
自分たちの捨てたゴミが、どれだけ多くの人を傷つけていたかわからない。そして、失ったものも大きかった。
「だからね、この下には別の世界があって、私たちの捨てたゴミが降って、怪物に――」
自分が見てきたことを伝えたいのだが、うまく説明できなくて、小夜はしどろもどろになってしまった。女の子は眉をひそめながら、訝しげに小夜を見据えている。
「別の世界? 怪物? そんなのあるわけないじゃん。バッカじゃない……」
女の子が言い終わるか終らないかのところで、突然、小夜の背後で激しく水がはねる音がした。小夜が慌てて振り返ると、川の中から巨大な獣が飛び出して、橋の上に着地するところだった。
「きゃぁぁぁっ! 怪物!」
真っ先に悲鳴を上げたのは、女の子だった。橋の上でずっしりとかまえている巨体を見るや否や、脱兎のごとく走り去っていってしまったのだ。
小夜は目を見開いて、唐突に現れた獣を眺めた。
虎に似た風貌に、長く鋭い牙。そして、白銀の毛並み……。
「ティーガ!?」
驚いたことに、川から飛び出してきたのは、白銀のティーガだったのだ。大人しく「お座り」のポーズでこちらを見つめている。
「え、なんで?」
夢でも見ているのだろうか。小夜が面食らっていると、ティーガは挨拶でもするかのように一声吠えた。
「おまえ、どうしてここに?」
小夜が体をなでてやると、ティーガは目を細めて気持ち良さそうにした後、小夜の頬を大きな舌でなめ返す。湿った舌の感触は懐かしくさえ思う。幻でも何でもない。本物のティーガだった。
小夜は、先程逃げて行った女の子のことを思い出した。
見たこともない異形の獣が、ゴミを捨てようとしていた川から突然現れたのだ。これにこりてむやみにゴミを捨てることはなくなるだろうが、変なトラウマを持たせてしまったことは、少し可哀そうに思える。
小夜にすり寄ってひとしきりじゃれたティーガは、川の方に向き直り、背中に乗れというような仕草をして見せた。
「乗れって? でも……」
小夜が戸惑っていると、ティーガは鼻を突き出して川を指し示す。促されるままに、小夜は橋から川を見下ろした。川底が青白く光っているのに気づく。
「これって、もしかして向こうの世界に繋がってるの?」
小夜が尋ねると、ティーガは大きく頷いた。
(またヤーレスツァイトに行ける。ローエンに会える!)
小夜の胸が高鳴る。
この先に大好きな人がいる。別れてから彼を想わない日はなかった。ずっと会いたいと心から願っていた。やっと叶う日が来たのだ。
「あ、ちょっと待って。またいきなり行くと周りが心配するからメールだけ」
小夜は携帯電話を取り出すと、母親宛てに一件のメールを送信した。夏休みが始まることだし、一か月ほどいなくても特に支障はないだろう。
「お待たせ」
そう言うと、小夜はティーガの背中に跨った。大きな背中の乗り心地は、あの頃と何も変わっていない。柔らかい毛並みから、温かい体温が小夜の脚に伝わってくる。
いざ出発とばかりに、ティーガは空に咆哮を轟かせた。そして、光る川底へと飛び込む。
小夜は目を閉じて息を止めた。冷たい水が肌を濡らすのが、感覚的にわかる。
その感覚がふっと消え、パチパチと火が燃える音が耳に入ってきたとき、小夜はゆっくりと目を開けた。
薄暗い中に、ぼんやりとオレンジ色の灯りが見える。松明にくべられた火が盛んに燃えていた。石壁の見慣れた四角い部屋が、小夜の目の前に広がる。
「私、戻って来たんだ」
ティーガの背中から降りて、小夜は足元に描かれた魔法陣の外に一歩踏み出した。
「感謝せい」
横からぬっと魔導師が出てきて、小夜は短い悲鳴を上げた。不気味さは相変わらずだ。
「毎回、驚かさないでよ」
「うるさいわ。おまえさんが勝手に驚いておるんじゃろが。わざわざ呼び出してやったというのに、なんという態度じゃ。もう二度と呼び出してやらんぞ」
「ごめん、ごめん。私が悪かったから」
魔導師の肩をもんで、小夜はご機嫌をとる。
「ま、よいわ。早く王子に顔を見せて差し上げるのじゃ。外で首を長くして待っておられる」
魔導師に言われて、小夜は出口へと急いだ。
扉の前に立って、大きく深呼吸をする。動悸がして、手が震えた。
この先で待っている人は、小夜が今最も会いたい人だ。
何と声をかけようか。気楽な感じであいさつ? それともちょっとシリアス風に?
(あ、あのときのこと文句言ってやらなくちゃ。笑顔で見送ってくれなかったから、ずっと不安だったでしょって)
そんなことを考えて、小夜は口元を緩めた。
扉に手をかけて、ゆっくりと開ける。
真っ先に目に飛び込んできたのは、満天の星空だった。きらきらと瞬く星が一面に広がったダークブルーの夜空は、地平線の果てで、月明かりにきらめいた海と交わっている。
そんな夜空の下に、一人の青年が立っていた。
潮風になびく赤い髪は、前よりいくらか伸びた気がする。凛々しく精悍な顔つきは、さらに大人らしく落ちついた雰囲気を醸し出しているように思えた。
少し見ない間に、彼は一回りも二回りも成長していた。だが、情熱的な赤い瞳は、以前と何ら変わりない輝きを放っている。
頭に浮かんでいた言葉など全て忘れて、小夜は駆け出していた。
「ローエン!」
「サヨ!」
小夜はローエンに抱きついた。ローエンもまた小夜を力いっぱい抱きしめる。
泣くつもりはなかったのに、気がつけばローエンの胸の中で泣きじゃくっていた。
「会いたかった。ずっと会いたかったよ」
「俺も。ずっとおまえに会いたかった。おまえのことばかり考えてた」
「私だって、あれからずっとローエンのことばっかり考えてたんだからね。一日だって忘れたことなかったんだから」
「サヨ……」
澄んだルビー色の瞳で真っ直ぐ見つめて、ローエンはそっと小夜の額に唇を当てた。
「戻って来てくれて、ありがとな。あんな別れ方したから、嫌われたんじゃねぇかって、不安だった」
「嫌いになるわけないじゃない。こんなにも大好きなのに」
「よかった。俺も、おまえのことが世界で一番好きだ」
見つめ合って、熱く抱擁する。
星が一つ、光を放って流れた。
「きれい……」
そう呟いて、小夜はハッとした。
輝く星をきれいだと言って、以前ローエンを激怒させてしまったことがあるからだ。
顔色をうかがうように、小夜は彼を見上げた。
「ごめん、怒った?」
「何を?」
「その……星をきれいだって言ったこと」
「バーカ。もう怒る必要なんてねぇだろ?」
と、ローンは小夜の額を軽く小突く。そして、空を見上げて呟いた。
「きれいだな」
「うん」
ローエンとともに夜空を眺めて、小夜は頷いた。
ヤーレスツァイトに星が降り注ぐことはもう二度とない。これからは、平和で穏やかな世の中が続いていくのだ。
「サヨ、左手を出してみろ」
唐突に言われて、小夜は首を傾げながら左手を出した。
ローエンはその手を取ると、小さな指輪を薬指にすっとはめた。深紅の宝石が中央についた金色の指輪だった。
「これって?」
「俺の国では、永遠の愛を誓う際に、こうして揃いの指輪をはめるんだ。そうすれば、遠くにいても気持ちは繋がってるって思えるから」
照れくさそうに、ローエンは言う。よく見ると、ローエンの左薬指にも同じ指輪がはめられていた。
小夜の胸が大きく高鳴る。
ローエンの気持ちがうれしくて、思わず涙があふれた。
真剣な眼差しをして、ローエンは小夜をしっかりと抱きしめる。
「たとえどんなに離れていても、俺たちはいつも一つだ」
「ローエン……」
見つめ合う二人の上で、また一つ星が流れる。
流れ星に永遠の愛を誓って、小夜はローエンと唇を重ね合った。