タイムスリップするぞうくん!
ふわっとしたSFなので短いです。
俺の名前は、時流するぞう!
俺の特技はタイムスリップ! 過去に戻れるんだ!
だけど、ちょっと制限がある。実は、俺が生まれた年月日までしか戻れない。
なので、親殺しのパラドックスは試せない!
多分、未来にも行けるけどやらない。生まれた時までしか戻れないなら、死ぬ時までしか行けないのではと思ったので、いつ自分が死ぬかが分かる未来には行かない事にしている。
だって怖いじゃん?
過去に戻るペナルティとかなくて、体は疲れたりしない。過去に戻る分俺が老けるとかもない。
ただ、パッと過去に戻ってぶらぶらしてパッと現在に帰るって感じ。
場所は変わらないけど、時間帯は変えられる。過去に戻る時は場所を考えないと最悪死ぬ。ちょっとやばかった時があった。
あと、別に過去へ戻って何かを変えたとしても、俺の境遇が変わるとかはない。
これ、並行世界に行ってるだけじゃね?
なんて、思ってた時もあったけど気にしない事にした! 過去に戻る前にメモを残したりとか色々試してたら考えても無駄だなって!
大人になって、ギャンブルが合法になった時、真っ先に数字をあてる宝くじや順位を競う系の賭け事を試した!
未来には行きたくないので過去に戻って購入していた結果!
だめだった!
当選番号発表の日は同じでも何故か当選番号は一致せず、開催される場所が同じなのに、ゴールした順序は違うものになっている。
もう一度同じ過去に戻って結果だけ見ると俺が購入していた番号と順位が結果として残っていた。
あ、これだめなやつなんだと俺の本能がバリバリ働いたので、二、三度試した後きっぱりと賭け事に手を出すのはやめた。
未来には行けないので試せてないが、多分同じ結果になると思う。
俺の楽して大金持ちになる計画は、俺にちょっとした恐怖を与えただけで終わった。
なんだよ、俺が購入した時だけ結果が変わるって。
俺は真面目に生きる事にした。
ちょっとした失敗をしても過去に戻ってやり直せるなんて出来ないので、何で俺は過去に戻れるのか全然分からない。
過去に戻ってやる事といったら、ただ物価の安い時に食料品や日常品を買うくらい。もちろん支払うお金には気を使っている。
過去から現在に戻っても、買った商品が腐ってたり劣化しているとかないのですっげー助かってる。
期間限定や販売終了したやつとか食べたい時に過去に戻って買えるのは優越感がある。
それに、今売ってる商品より過去で買うとめっちゃお得。
転売も考えた。だけど、賞味期限とか誤魔化せないし、劣化してない商品を怪しまれるのはマジ勘弁だなってなった。
実際、人にあげた物が綺麗すぎると騒がれたからもう過去で買ってきた物はあげないと決めた。
あと、夏とか冬とか死にそーってなった時、ちょうどいい感じの季節に戻っている。
めっちゃ快適! 現在に帰ったら死にそーってなるのは変わらないけど、少しだけ息抜きになってる。
過去に戻れると分かった時、自分の人生を変えて幸せになれると思ってた。
色々試して、俺は俺のままで生きなきゃ駄目なんだと分かった時、すっげー落ち込んだ。
普通なら、俺の人生を変える為に過去に戻れるんじゃないのかって、大泣きした。
過去の俺をどうにかしたら何か変わるかもと思って過去の俺に接触しようとした。
だって、俺は過去の俺がいつどこにいるかを知ってるんだ。どうとでもなると思ってた。
でも、何故かそこには俺はいなかった。
家、学校、遊び場、家族旅行にだって俺の姿はなかった。
だけど、俺は過去の俺がそこにいるって知ってる。というか、ちゃんと記憶がある。
家族や友達に聞いても俺がいたのを覚えてるし、写真なんかにもバッチリ俺が写ってる。
なのに、俺は過去の俺に会えない。
過去に戻った俺が誰にも見えないとかじゃない。
普通に店で買い物してるし、家族や友達とも他人を装って会話してる。過去の俺にだけ会えないのはほんと謎すぎる。遠くから見るとかも出来ない。
イタズラ心で過去の俺が使っていたノートなんかに警告文なんか書いてみたけど効果なし。
そもそも、俺が書いた警告文を過去の俺が読んでいたら、今の俺が覚えてないとおかしい。
今現在も、俺が書いた警告文を過去の俺が見たという記憶はない。何度か試したけど、なんかもういいやってなって書くのをやめた。
今も時々過去に戻ってる。現在の方が便利だけど、過去の方が俺にはちょうどいい。
懐古主義ってやつかな。違うか?
俺が過去に戻れるのは誰にもいってない。
誰も信じないだろうし、信じたやつに過去を変えてこいっていわれたくないから。
俺の境遇は変えられないのに、そいつだけ上手く変えられたら嫌じゃん。嫉妬嫉妬。
あとパラドックスが起きたから、俺が過去に戻れなくなりましたとかなったら嫌だし無理。
俺が過去に戻ってる時点で何かは起きてそうだけど、俺にそれが分からないなら起きた事にはならないよな。
なので、俺は俺の為だけに過去に戻って好きなもの食べて遊んでいつか死ぬ未来を待っている。




