一日目 クロリアの体で見る王子の姿
「ゲームオーバーだよクロリア……」そう言って笑う男は、狂っている
金色の美しい髪と緑の目が残酷に輝くように、ギラギラしていた
その顔を見たのが一回目の、私の最後の記憶だった
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さかのぼること、六日前つまり、前世の記憶を思い出した日
クロリアの美しい髪をなでながら、これからどうするかを考える
この世界には監視カメラはないが、魔法とかでやっていそうで怖いと具合の悪いふりをしてベッドに寝転んでいると、トントントンと足音が響いてくることに緊張を覚える
「クロリア、大丈夫?薬を持ってきたよ。熱はない?」と心配そうな顔をしてくる王子に私は少し罪悪感を覚える
——この世界では当たり前のことなんじゃないかと……嫌いすぎているのかもしれないとチラリっと見る
おでこに、当たり前のように触ってくることに、やはり謎の嫌悪感を抱くのを隠しながら愛想笑いを送る私は、おかしく映っているだろう
王子は、何も気に留めることなく頭をなでながら、薬を口に入れさせて水を飲ませてくる
そのかいがいしさに好かれているのか?さらうほどだしな……
(本当は、薬なんてなんだかわかないものをお断り願いたかったが、怪しまれたら、何をされるか分かったものではない)
危ない——イケメンの顔に騙されるところだった……人さらい同然に、連れてこられたのを思い出す
美しい王子、クロリアを愛している王子なのに、どうして前世のこと思い出したのだろう?
ちなみに私ゲームは苦手でほぼやったことがない、アニメみたいに異世界に来た時に、やっていればもっとうまく立ち回れていたりしたのだろうか?
そもそも、クロリアの声がつらいものだったことを思い出しながらいると
「僕も一緒に寝ようかな?君を一人にしておきたくないし、安心して眠って」
(一番安心できないんだが、じっと見てくる顔をそらしたいがそらせない)
「恥ずかしいです……移したら大変ですから」と言ってみると
「クロリア、本当にかわいいね」とおでこにキスをしてくる
(あれ、さっきは熱なんて感じなかったのに頭が痛くなってきた気がする……)
「少し、眠りますわ……おやすみなさい」
クロリアがどんな言葉使いをしててどんなしぐさをしていたのかは、流れるように頭に入ってくる
前世??を思い出してからは、もう私はクロリアではいられない
——だから、癖をなぞり擬態するしかないのだ




