思い出した前世の記憶——クロリアの体とともに
私は思い出した——御年32歳で死んだ臨床心理士だということを……
私の隣で美しく寝ている彼をみて蕁麻疹が出るかのように体にかゆみが走る
あぁ、私はこの世界ではクロリアという町娘だったのに——こいつに見初められたというか人さらいみたいなことをして私を無理やり嫁にした男だった。
クロリアもそれが当たり前かのようにほだされている
あぁこれは、完ぺきに『病気だ』と思いながら頭を巡らせる
私はこの頭のいかれた世界すなわち王子から逃げることを、今をもって決めたのだった
それに、クロリアには想い人がいた……。
町の酒場の下っ端の男の子だが性格もよく心が見ているだけで、温まる男だった
でもクロリアがいつも通りに会いに行くとその男はおらず、クロリアは泣いてしまった
まだ思いも伝えていなかったのに……そしてそれを、わかっているかのように表れる王子。
絶対何かしただろう——あとクロリアは男の見る目はまともで、むしろいいと思うほどだったのに……
ひたすら気持ち悪いなと眠っている王子を睨みつける。
いやばれたらやばいからやめておこうと睨むのをやめた私だが、普通にしてては、手放しくれなさそうだし、刺されそう……もしくは処刑されそう。
どうしようかと頭を抱える私は、気づいていなかったのだ
その様子を、気持ち悪い王子に見られていたことを…… 「クロリア、今日もよく眠れたかい」と頭をなでながら言ってくる男に虫酸が走ると思いながら 「ハイ」とだけ答える
私はクロリアのようにこの男を好きになれるだろうか?
到底無理そうだ……あぁ早く帰って、ビールと居心地のいい家と、タバコが吸いたい
こいつはクロリアを好きなのではなく、
クロリアを愛している自分が好きだということになぜ気づかないのだろうか?
これ以上この恐ろしいほどきれいな男の顔を見たくないと思いながらいると
「もう限界……苦しい助けて」とクロリアの聞きなれた声がこだまする
クロリアはもう嫌になってしまったのかこの軽薄な男が嫌になったのだろうかそれはわからない
でもクロリアである体を落ち貸せようと静かに深呼吸をするのだった
昔の日本でいう大奥に似てるのかもと問い記憶で思い出すテレビのないようを
いつでも、権力者は身勝手だ
「どうしたのリア、具合でも悪い?」と首をかしげながら聞いてくる男は美しすぎる
でも、私にとってそれは恐怖でしかなかった
クロリアの声で私は言う 「朝、寒かったからかも……」とこの可憐といってもいいこの声に自分でも驚いていると
「それは大変だ、あとで薬を用意させよう」と言いながら、おでこにキスをすると、身支度を整え外に出る。鍵を、外からかける音がする
よく確認しに行くと、外からしかカギがかけられなものらしい……これは監禁ですね、もしくは軽くしても軟禁ですね——とっても寒気がしてくる
用意してある食事も安全なものかと疑ってしまうくらいだ 鼻に香るコンソメの香りに落ち着くと食べるしかないよな……。
食べないほうがおかしいかと口に運ぶと、それはおいしい味がした
鏡が、私を呼ぶというとおかしいけれど呼ばれた気がして……のぞき込む
そこにはまごうことなきクロリアがいた。クロリアはブロンドにきれいな青い目美しい西洋人だった
栄養状態もよく体もふっくりとしているわりにはクマが余計に目立つ。
(クロリアあなたはどうしたかったのどうして私を呼んだの、これはクロリアあなたの人生なのよ)と
鏡に触れながら、頭の中で唱える




