表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

既にやらかしていた

作者: こうじ

(あ、私ヒロインになってる)


 ある日、ふと鏡で自分の顔を見て違和感を覚えたら急に前世である30代ブラック企業務めのしがない会社員だった記憶が蘇った。


(これ、所謂異世界転生よね、ていうか死んだんだ私)


 ネット小説を読み漁っていた私はなんとなくだがここが乙女ゲームの世界だとという事に気がついた。


 そして私の見た目はピンクブロンドの可愛い系の顔、これはヒロインだろう。


(そういえば、この家は男爵家なのよね、という事は男爵令嬢になるのか)


 う〜ん、とベッドの上で腕を組み考えた。


 さっきも言った通りにネット小説を読み漁った私はこれからの展開について考えた。


 王道だと浮かれたヒロインは前世の知識を駆使して王太子とその側近に近づいて逆ハーになって王太子の婚約者である悪役令嬢を断罪してめでたしめでたし、で終わる。


 ただ悪役令嬢に逆に断罪され破滅してしまう話もある。


 正直読んでいた時は『ヒロインざまぁ』なんて思っていたけどいざ自分がその立場になったら?


「逆ハーなんて論外よね……」


 うん、そりゃイケメンに囲まれて甘やかされたい、なんて妄想はするよ?


 でも、現実的に考えたらそんなの絶対に無理に決まってる。


 それに破滅するなんて嫌だし、せっかくの異世界もっと別の事で楽しみたい。


 なので早々にヒロインの役割をゴミ箱に入れて捨てました。


 真面目に学園生活を過ごそう、と決意しました。


 そして時は流れて貴族学院に入学しました。


 結論から言えば『なんでヒロイン、こんながんじがらめな状態で王太子とかに出会ったんだろう?』だった。


 そもそも私達下位貴族と高位貴族とは校舎が違う。


 そして、基本的に交流とかが無く徹底した管理がされている。


 だって入学式の時に渡された生徒手帳に校則として『下位貴族は上位貴族との接触は禁止』て書かれてるんだもん。


 それに学園内での男女交流も規制されてるし出会いの場なんてひとつも無い。


 更に1年毎に試験があり合格しなければ即退学、令嬢令息としての立場が無くなってしまう。


 そういえば婚約者も卒業してから決めれば良い、のが常識らしい。


 乙女ゲームなんて夢のまた夢、の状態だ。


 しかし、なんでこんなに厳しいんだろう、とふと疑問に思い両親に訪ねてみた。


 理由、過去にやらかした輩がいたのだ。


 その時は学園内はかなり混乱してかなりの大騒動になったらしい。


 当時の王太子が男爵令嬢に一目惚れして婚約者だった公爵令嬢を蔑ろにして卒業記念のパーティーの場で一方的に婚約破棄を宣言した。


 これに怒ったのが公爵令嬢の父親である公爵で王家に厳重に抗議をした、でも王太子を溺愛していた国王が抗議を無視した。


 結果、ブチギレた公爵は国を出て行ってしまった。


 更に公爵に賛同した貴族も国を出て行ってしまい国が分裂するかもしれない、というピリピリした緊張感が国内を漂っていた。


 国王様は流石にマズイと思い公爵家へ誠心誠意に謝罪してなんとか事なきを得た。


 元凶である王太子は身分を剥奪され幽閉、後に病死と発表された。


『多分、毒を盛られたんじゃないかな』というのは当時を知る父の言葉だ。


 元凶その2である男爵令嬢は国内を混乱させた罪で公開処刑、ギロチンの餌食となったそうだ。


 公爵令嬢は公爵と共に国を出た後、別の人物と結婚、今は穏やかに暮らしているらしい。


 で、その反省として貴族学院は校則を変更してガチガチの管理教育をする事になった、という事になったらしい。


 なんだ、もう乙女ゲーム終わってたんだ。


 急に力が抜けてしまったけどまぁ王太子とか公爵令嬢とかと交流する事も無いし勉学に励んだ結果、3年後には首席で学院を卒業する事が出来ました。


 そういえばなんか騒ぎはあったらしくて上位貴族のエリアに無断で侵入しようとした男爵令嬢がいたらしくて拘束され退学になったらしい。


『私がヒロインなのっ!』とか喚き散らしていたそうだ。


 あぁ、私の他にも転生者がいたんだ、と思いつつ彼女の今後が無事であるように、と一応神に祈っといた。


 学院卒業後は社交の場で知り合った男爵令息と意気投合してそのまま結婚した。


 やっぱり身の丈にあった幸せが良いよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ