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RITA(リタ)  作者: 虹空
24/24

END

「ハル、ハル・・・俺は、俺は、これ以上仲間が死ぬのを見たく無いんだ。それに

お前が引き金を引く姿なんて・・・見たく無い。

俺は、ここに来るまでは自分の事も含めて人の生き死になんて、関心がなかった。

だけど、みんなと出会って、オリジン計画のメンバーに選ばれてから、初めて

自分の事に関心が持てたんだ。それは

ジャックやユナや、ソン、ここにいるメンバー含めて全員がいたから、そう思えたんだ。

だから・・・だから・・・。」

ハルはケントの言葉に引き金を引く指がゆるんだ。

ハルの流した涙が頬を伝って、床にポタポタと落ちていった。

そして、ハルはゆっくりと、自分のコメカミに銃口をつけ引き金を引こうとした。

その瞬間、それを見ていたレオンがハルに飛びかかり

銃をハルの手首ごと床に抑え込んだ。

「離して!離してーーーーーーーーーーーー!っ!」

ハルの叫びはいつしか、嗚咽交じりになっていた。

「お願いだから・・・生きてくれ。お願いだから・・・。」

レオンはハルの手を握って泣いていた。

「オリジン博士!」

マリーの叫び声が響き、見るとオリジン博士は口から血を吐き

顔は真っ青になっていた。


「み、みんな・・・すまない。全て私が悪いんだ。聞いてくれ・・・。

私が研究に没頭している頃、私の妻は、リタは自分の命と引き換えにレオンを産んだ。

私は・・・研究する中、1人で育てる事が出来ずに仕方なくレオンを捨てた。

・・・私は、どこか狂っていたのかも知れない。オリジン計画が実行されてからすぐ

ユナ君は・・・レオンの首筋の刺青を見つけ、古いネットニュースで見たのを覚えていたんだろう、私にメンバーの中に殺人犯がいると・・・言って来た。

だから…私は・・・私は・・・殺した。ジャック君は街に降りて行こうと

していたから、ここの場所を知られてはいけないと・・・殺した。

ソン君はコロニーに入った時に、彼から研究所の庭にいる野鳥を打ちたいからと

嘘を言って・・・銃をもらっていたんだ。

それをソン君に問い詰められて・・・。

誰にも、君達の存在を知られてはいけなかったんだよ。」

ケントは悔しそうに拳を握りしめ下を向いた。

「レ・・・レオン…すまなかった・・・・。父さんを・・・父さんを許してくれ。

君を心から愛して・・・。」

オリジン博士はレオンの手を握り絶命した。

そこから数時間が経った頃、コロニーには

大勢の警察が出入りしていた。


警察はカプセルに入ったジャックとユナ、研究所に安置してあったソンの遺体を

運び出していた。

そして最後に、オリジンの遺体を運び出し、みんなに言った。

「いや~君達が生きていたとはね。

私達は、オリジン計画が失敗に終わってウィルスで全員が死んだと

聞かされていたからね。そこからこの辺り一帯は閉鎖地域となっていて

君達の存在すら分からなかったよ。すまなかったね・・・。

君達がレオン君とハル君?

署で事情を聞かせてくれるかな?」

「はい。」

2人は署員に連れられて出て行った。

残されたケントとマリーはコロニーのガラスの窓から

外の騒ぎを見つめていた。

「分からない事があるの。

どうしてウィルスが死滅するのが70年ってオリジン博士は、

嘘をついたのかしら?」

「それは、この星の殺人の時効だ。」

「時効?」

「さっき警察の人に聞いたけど、オリジン博士は毎年レオンのいる施設に多額の寄付をしていたらしい。その時にレオンの犯罪を知って、この計画を思いついた。

当初の計画は、ハルの両親を殺したレオンをここに閉じ込めカプセルで眠らせ

ほとぼりが冷める70年後に街に返すつもりだったんだろう。

それが、ハルのやった事で計画に狂いが出て来た。」

「それなら、レオンだけを閉じ込めれば良かったじゃない?」

「レオン1人だと、この計画は認められないからな。だから、俺達を巻き込んで

この計画を実行した。レオンの事を考えると、この計画がバレてはいけない。

コロニーから出ようとする奴を全て殺してでもな。

おそらく、ソンは自分の作った銃に撃たれた時に気づいたんだろう。

オリジン博士は生きていると。だから殺された。俺も、レオンと一緒に雪山に出た時に

違和感を感じていた。レオンはハルの両親を殺した後、しばらくこの辺りに

身を隠していたんだ。だから、誰も知らない道も知っていた。」

「そういう事だったのね・・・。これから、みんなどうなるのかしら?」

「さぁな・・・。これからも、生きていくって事だけは確かだ。」

2人は、コロニーを後にし、街に向かって降りて行った。


それからケントは・・・。

母親の元に帰り、目の見えない母親に変わって

庭の花壇の世話をして、毎日ヘトヘトになるまで働いた。

そして、年に1度だけ、ある場所に出かけていた。

ケントは大きく手を振った。

すると、犬を連れた少年がケントを出迎えてくれた。

「おい、坊主、元気だったか?」

「坊主じゃないって、何度言ったら分かるの~?

僕の名前は、ロンド!それと、相棒のピースだってば~!」

ケントはロンドの頭を撫でながら言った。

「そうか、そうか・・・お前いつまで、ここに居るんだ?

シスター亡くなったんだろ?」

「大丈夫!ほら!」

ロンドが指を指す方を見ると、麦わら帽子を風に飛ばされない様に

歩いてくる女性がいた。

ハルだった。

「どうして・・・ここに?」

「ここは、私みたいに親がいない子供達の居場所なの。」

「でも、ここは・・・レオンの?」

「知ってる。でも、子供達には罪が無いでしょ?私は運よく生きてこれたけど。

この子達は、行く所なんて無いから。」

「そうか・・・。」

ハルは遠い景色を見ていた。

「私ね、いつかは、ここのシスターになろうと思って。今はロンド1人だけど

もっと子供達を引き取って、大勢で暮らしたいの。みんなが寂しくない様にね。」

「でも、1人じゃ大変だな。」

「心配いらないわ。」

施設の方から誰かが手を振りながら歩いて来るのが見えた。

「2人とも~~~っ!こんな所でサボってるの~~~っ!」

手を振っていたのは白衣を着たマリーだった。

「どうして?」

「何言ってるの、ニュースを見ていないの?ここで新薬の研究をする事になって

私が新しく会社を作ったってわけよ。その利益を元に、ここの運営をやっていくの。

だから、今改葬中なのよ!あんたも手伝いなさいよ。どうせ暇にしてるんでしょ?」

「さ~ロンド施設まで競争よ~!ケント、あんたもよ!」

そう言うとマリーは走り出した。

「わ~待って~!ズルいよ~~~~!」

ロンドの声は、笑い声と共に草原に響いていた。


要人達が企てた計画は、白日の下に晒されその地位を追われる

事となった。

そして、要人達は投票で選ばれた新しい人達に変わり星の政治をやり直そうと言う

動きか出て来た。

そして、要人達の代表に選ばれた者が、民衆に向かってスピーチをしていた。

「人々はウィルスの事を忘れ、生活は徐々に元に戻っていっているが、

しかし、いつかは又、人間の存在を脅かすウィルスが出て来るかも知れない。

その時のために、人間達は何が出来るか、何をするべきかを考えて

協力し合って毎日を生きて行く事が必要だと私は思います。」

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