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RITA(リタ)  作者: 虹空
19/24

マリー=エンド

ハルは、みんなと別れた後、まだ研究所に残っていた。

「ないわ・・・。どこかに、あいつのデータが詳しく残っているはず。」

ハルは所長室にある机の引き出しや、本棚、ロッカーなどを調べていた。

それを陰から見ている黒い影があった。

その黒い影は、足音も立てずハルに近づき、手に持っていたピストルの

銃口を遠くからハルに向けた。

引き金を引こうとしたその時、研究所の入り口の方で物音が聞こえ

ハルがそっちに向かったため

黒い影は何もせず、そのままどこかに行ってしまった。



マリー=エンド。ルート8にある

大きな製薬工場の経営者マイク=エンドの1人娘。

母親は小さい頃に亡くなって、父が男手一人で育ててきた。

マイクは『自分の会社を後世まで残したい』と言うのが口癖で

マリーがオリジン計画に選ばれた事を知り

父親は、とても喜んでいた。

マイクが経営する製薬会社は、広大な土地の一角にあった。

工場と隣あわせに並んで建っている自宅と、その周りを囲む様に

スポーツ施設や病院、コンビニ、介護施設など

ありとあらゆる生活に必要な施設が揃っていて

小さな街と化していた。

その施設ほとんどが、社員達のみに開放し安価で利用できる様に考えられていた。

そして自宅の裏には、森林公園などがあり

その間を縫うように社員達の家があった。

それは、低賃金の者達も高賃金の者達同様

全て同じ待遇でというマイクの経営理念がそうさせていた。

その理念のおかげで、生まれた時からマリーは社員達から

可愛がられ大切に扱われ、危険な目にも合う事無く育ってきた。

我儘でプライドが高く、ある意味人を自分の意のままに扱おうとする所があった。

その性格はそういう背景があっての事かも知れない。

マイクは、そういうマリーの性格を心配し、このままでは

例え会社がこの先、続いていたとしても、誰もついてこないのでは?

ヘタをするとこんな我儘な娘と結婚してくれる相手など

この世に存在するのだろうかという不安さえ考えていた。

出来ればしっかりとした結婚相手を【外】の世界から迎え

将来に対しての安心を得たいと思っていた。

だが、それもウィルスのせいで叶わず落胆していたが

幸いな事にオリジン計画のメンバーに選ばれたと分かると

自分の目で娘の結婚相手を選ぶ事は出来ないが

少なくとも、次の世代に会社が残せると言う喜びは残った。

会社が残せるという事は、マイクにしては、この上ない喜びだった。

「良かった、会社は残っている様だわ。でも・・・誰か生き残ったのかしら?

それなら、誰が後を継いだのかしら?」

初めは敷地の手前にある門の所で遠目に中の様子を伺っていたマリーだったが

せっかちな性格のせいか人がいないのを確認すると

スタスタとと中に入って行った。

「な~んだ、やっぱり誰もいない。コソコソする必要は無かったわね。

まずは人がいるかどうかよね。手前にある工場から見てみよう。」

工場の中に入ったマリーの後ろから誰かが声をかけてきた。

「誰だ?ここで何をしている?!」

その声に驚きながらも、マリーは後ろを振り返った。

そこには警備員が立っていた。

マリーはその声に驚いたと言うよりも、人間が存在していたという事に驚いた。

「やっぱり、生き残った人間はいたのね?」

「生き残った?何を言っているんだ?あんた一体誰なんだ?」

一瞬返事に戸惑ったマリーだったが、はたと自分の父親が

ここの社長だった事を思い出し、いつもの様に言った。

「わ、私はマリー=エンドよ、この会社の創設者のむ・す・め!

ここの社長って今は誰がやってるのかしら?」

警備員はマリーの名前を聞いてもピンと来ないのか

不思議そうな顔をしてマリーを見つめていた。

「あなた、自分の会社を作った人の名前も知らないの?

ははぁ~ん、最近入ったばかり?

ま、無理もないわね。これだけ大きな会社となれば分からなくても仕方ないかもね。

この会社は私の父、マイク=エンドが作った会社なの。

そして私は、その娘の・・・」

マリーが言い終わるかどうかくらいで、その警備員は胸の所にあった

無線機を使って誰かに連絡を取り始めた。

「・・・・ハイ・・・。そうです。変な女が門の所でうろついていて、あ、おい!」

マリーは慌ててその場から逃げだした。

気が付くと住宅街にある森の中に逃げ込んでいた。息を整えながら

後ろからさっきの警備員が追いかけて来ないか

辺りを警戒しながらゆっくりと森の中を進んだ。

森を抜けると、同じ様な家が立ち並ぶ住宅街の近くに出た。

茂みに隠れて一番高台にあった一軒の家を、見つけた。

「大きな家ね~こんな家あったのかしら?

これほど大きな家だから、きっと役員クラスの家ね。」

窓下から覗いてみると

アンティーク調に揃えられた家具や、壁に飾られた有名画家の絵画

大きなシャンデリアが重そうに天井からぶら下がっているのが視界に入った。

見るからに身分の高い家だと言う事がマリーには分かった。

ただ、その家の主が長い間、旅行に行っているのか、それともいなくなったのか

部屋のあちらこちらに白い布がかけられていた。

マリーがその場を立ち去ろうとしたその時

その家の玄関先にいた、主婦らしき2人の会話が聞こえて来た。

話しの内容からすると、この家に数か月に一度訪れている家政婦の様だった。

「この家のご主人って、いつ戻られるんですか?」

「え!?あなた知らないの?あ~あなた新人さんなのね。

ここに住んでいたご夫婦って、殺されたのよ。

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