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RITA(リタ)  作者: 虹空
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懐かしの我が家-ソンー

出かける前ケントは、ソンがリストバンドに取り付けたある装置を

みんなに見せていた。

「みんな見てくれ。」

全員が手首についたリストバンドを見て見ると

赤い点が一か所に集まっているのが分かった。

「みんなの位置が、これを見れば分かる様にソンに改造してもらった。

人物を特定する事は出来ないが、メンバーの居場所は分かる。

何かあったら、これを見て協力し合ってくれ。

みんな、気を付けてな。決して無理はするなよ。何かあった場合は

すぐにここに戻って来る事。みんな、絶対に戻って来いよ。」

こうやってケント達は、危険を感じながら自分達が生まれ育った街を

見に行く事となった。



ルート46から来た、ソン・リー。母は教師、父は街に代々続く

工房で働くエンジニアだった。

母親の影響で、他の家よりも規則に厳しく育てられてきた。

母親の口癖は

『つまらない人間になっては、いけない。

誰よりも優秀になりなさい。そうすれば、将来は約束されるから』

その言葉は、エンジニアの父に向けられた言葉でもあるとソンは分かっていた。

エンジニアの父は、母親より給料が安く、何度も仕事を変わる様にと

説得をしていたが、父親は仕事を変わる事をしなかった。


母親が父親の仕事をよく思わなかったのは、仕事だけではなかった。

仕事の合間に昼間であっても、少ないお金を持ち、飲みに行っているのを

知っていたからだった。

近所の人達は、母親に同情をする一方、うだつがあがらない父親の話を

ひそひそと影で話をしていた。

そんな噂は母親の耳にはとっくに届いていて、そんな中教師を

続けなければいけないのは、針のむしろだったかも知れない。

そんな母親の元、引っ込み思案な性格も手伝って、ソンは子供の頃から

事あるごとにイジメられていた。

表現するのが下手で、人と出来るだけ関わり合いを持たない様に生きて来た。

それがソンだった。

家に閉じこもりがちのソンに、父親が教えたのは、物を作る技術だった。

今となっては、教師の母から教えて貰ったことよりは

ずっと、今の自分のためになつているとソンは感じていた。


ソンは家の前に立って眺めていた。

「ぼ、僕の家族は両親しかいないから、こ、ここに来ても、もう誰にも

会う事はないな・・・。」

ポケットからコロニーから持ってきた家の鍵を出し、今でも使えるのだろうか?

と考えながら、ドアの鍵穴に差し込んだ。

ガチャと言う音と共に扉は開き、ソンを懐かしい部屋へと導いてくれた。

「変わってないや。何もかも、あの頃のままだ・・・当然か。」

立派な暖炉に、両親と自分が食事を囲む様に座っていたイスとテーブル。

そして何よりも、窓の近くに置いてある大きなソファーがソンの

お気に入りの場所だった。

そこに座って、父親が暖炉の前で作業をしているのを見るのが好きだった。

懐かしむ様に手すりに手をかけ、二階へと通じる階段を一歩一歩登っていくと

いつも長い時間を過ごしていた自分の部屋があった。

部屋の中は綺麗なままだった。

両親が自分がいなくなった後も掃除をまめにやってくれていた事が伺えた。

「これ、ぼ、僕が子供の頃に初めて作った、ひ、飛行機のプラモデルだ。」

父親に連れられて初めて飛行機を見に行った時に

無理を言って買ってもらった物だった。

「そ、そうだ、こんな事をしに来たんじゃ、な、なかった。部品、部品。」

ソンが部屋のあちこちを探していると、一階の方で扉の開く音と

階段のきしむ音が聞こえて来た。

咄嗟に危険を感じたソンはベットの下に潜り込み身を潜めた。

《ひ、人がいる!だ、誰・・・・?》

階段を登って来た足音はソンのベットの横まで来た。

その恐怖に耐えれなくなったソンは

慌ててベッドから這い出て、無我夢中でその影を横切り階段を降りようとした。

その時、大きな銃声と共に

背中に今まで経験した事の無い、痛みと熱さを感じた。

「うっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

ソンは振り返らず必死に逃げた。

暗闇の中にところどころに点いた明かりを頼りに。

《あ、あの銃声音は・・・》

なんとか、研究所の前にたどり着くと、そのまま意識を失って倒れてしまった。

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