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詩全集3

忘却の夏

作者: 那須茄子

果てしない空の下


現れたのは

夏の真っ盛り


降り注ぐ陽光とともに霞む記憶

汗に滲む手のひらで掴もうとした言葉は

蜃気楼のように形を失い遠ざかる


君の黒髪の揺らめきは

夏風が絡む麦の穂のようであったけれど

その姿は陽炎の彼方へと消えていった

白く透ける肌の淡い温もりも

今では日差しの中に溶け込んで


心の奥に散らばる

思い出のかけら

それはひとひらと乾いた葉に軽く落ち

指先で触れるたび

熱風に巻き上げられさらに


響く声も

出会った日の鮮やかな景色も

静かに輪郭を失い始めている

君が微笑んだあの瞬間さえ

今ではささやく程度の儚さ


忘れることでしか守れない

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― 新着の感想 ―
好きです!!まるで静止画のような詩で、絵画を見ているようでした!!忘れることでしか守れない、そう言う感情が確かに存在することを感じました!!
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