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失われた記憶

先に日本に帰ってきた僕はさっそく先輩に連絡をした。


先輩はあわてて、僕のところにとんできてくれた。


「小雪さん生きててよかったな!かならず目を覚ますよ。俺は信じてる。小雪さんが、こっちの病院着いたら一緒にお見舞い行くから声かけろよ。」


「はい。最後会ったとき彼女が僕の手を握り返してくれた気がしたんですよ、だからきっと目を覚ますと思います。」


「そうだな!俺もそう思うよ!」


それから彼女は日本の病院に戻ってきた。


僕は早速先輩とお見舞いに行った。


「あんなに、元気に笑ってたのにな。まさか、ほんとに眠ったままだなんてな、俺は信じられないよ!」


先輩の目には涙がたまっていた。


「きっと、また元気になって3人で食事に行こうな!また、2人のことたくさん聞かせてくれよ!」


「先輩。。。ありがとうございます。」


-------


あれから何ヵ月も経過したが、彼女は一向に目を覚まさない。


ご両親もかなり疲れきった顔をしていたので、せめて僕は明るく振る舞った!


本当は胸が張り裂けそうな思いだった。。。


そんなある夜、僕は夢を見ていた。。。


彼女がいつかのように雪が舞う夜空から白く大きな羽を付けて僕に向かって舞い降りてきた。


「祐一さん、いつも会いに来てくれてありがとう。私、本当に幸せよ。天使に羽を借りることができてまたあなたに会えてこれ以上何も望むことはないわ。」


「小雪さん!なに言ってるんだよ!まだ約束果たせてないだろ!行っちゃダメだ!!」


「ありがとう。。。」


「小雪さーん!!行くな!!」


僕は必死で彼女の手を掴んだ!


お願いだから僕の天使を連れていかないでくれ!!


僕ははっと目が覚めた。


夜中だったが、あわてて病院に向かった!


すると、小雪さんの容態が急変したらしく心臓マッサージが施されていた。


やめてくれ!どうか彼女を連れていかないでくれ。僕は必死に願った!


僕は見ていられなくて病院を飛び出し、気づいたら街中を走っていた!


いつかのように雪がチラチラと降ってきた。


まるで僕を包み込むような優しい雪だ!


僕は街中で叫んだ!


「彼女を連れて行かないでください!!まだ約束を果たせてないんだ!」


頼む。。。僕はその場で泣き崩れていた。。。


目の前に一筋の光が見えた。


その光はとても暖かいものだった。。。


ふと見上げると、そこには彼女ではない天使がいた。


僕はお願いをした!どうか彼女を守ってください。


彼女のためなら僕はなんでもします。


すると、天使が1つ条件をだしてきた。


それは僕の記憶と引き換えに彼女を助けてくれるとのことだった。


彼女を助ける代わりに彼女との思い出を全て僕の頭の中から抹消するとのことだ。


僕はそれでもいいと言った!例え彼女のことを忘れてしまっても彼女が元気でいてくれさえすればそれでいいと思った。


-------


気がつくと、僕は自分の家のベッドの上で寝ていた。


なんだか、変な夢を見ていた気がする。疲れてんのかな?!


そして、僕の頭の中から彼女の記憶が全て消えたのだった。


次の日会社に行くと先輩が話しかけてきた。


「なんか、お前今日元気そうだけど、なんかあったのか?」


「なんもないっすよ。なんか、昨日変な夢を見てたみたいなんですけど全然、思い出せなくて。」


「なんだそれ?それより、小雪さんはどうだ?」


「小雪さん?!だれ?それ?」


「お前、なに言ってるんだよ!小雪さんのことわかんねーのか?」


「先輩何言ってるんですか?朝から疲れてるんじゃないですか?」


「どうしちゃったんだよ!お前、まじでわかんないのか?」


「わかんないもなにもそんな名前聞いたこともないっすよ。」


「そっそうか。。。」


先輩は僕が嘘を着いてるとは思えないようで、彼女の病院に行って確かめたらしい。


彼女はあれから奇跡的に目を覚まし退院したそうだ。


先輩は、今までの僕と彼女とのことを話してくれたが僕には全く思い出せなかった。


とにかく彼女に会いに行けと言われたので先輩から住所を聞いてとりあえず行ってみることにした。


ピンポーン!


「はーい!」


出てきたのは天使のような美しい女性だった。


「あのー、僕は松下 祐一と言います。小雪さんですか?」


「はい。もしかして祐一くん?」


「僕のことわかるんですか?」


彼女は僕をギュッと抱き締めてきた。


「ずっと会いたかった。もしかして約束覚えててくれたの?」


「ごめんなさい。僕、なんにも覚えてなくて。。。実は先輩に言われて会いに来たんだ。」


僕は先輩から聞いた話を彼女に話すことにした。


すると彼女は自分が見た夢の中の出来事だと思ってたと言った。


「私、ほんとに天使になったんだ!」


「私ね、手術したあとずっと昏睡状態だったらしくてね、パパとママが祐一くんが毎日会いにきて私の手を握ってたくさん話をしてくれてたって言ってたの。でも、私の容態が急変した日、祐一くんが病院を飛び出してそれっきり顔を見せなくなったって言ってたの。でもね、それから奇跡的に命を取り留めて目を覚ましたの。」


「天使??んー。頭がいたい。。。」


「どうしてあの時以来来てくれなくなったの?」


「それが、ほんとになんにも思い出せなくて。。。ごめん。」

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