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さよならは突然に

僕には彼女のことで気になることがあった。


彼女にいつ触れてもすごく冷たいのだ。最初は寒空にいたから冷たくなってたのかと思っていたけど、まるで人間ではないような冷たさだった。。。やはり、彼女は。。。


だが、それを問いただすと彼女が消えてしまうような気がしてそのことに触れることがどうしてもできないままだった。


もし彼女が人間でなくても愛していることには変わりはない。何故、彼女はここに降り立ったのだろうか。僕のそばにいて本当に幸せなのだろうか。。。


------


「そういえば、小さい頃、病気がちだったってゆってたけど、なんの病気だったの?」


「。。。私、心臓の病気で。」


「えっ!!もう治ったの?!」


「。。。まだかな。」


「治るんだよね?」


「わからない。移植するしかなくて。」


「そんなに大変な病気なの?移植しかないの?」


「そうみたい。ドナーが見つからなければ1年もつかわからないみい。」


「冗談だよね?だって、今すごく元気だよね?」


「冗談だよ!びっくりした?」


「やめてよー!そんな冗談、笑えないよ!!」


「でも、もし本当だったなら最後に私に会いに来てくれる?」


「会いに来てって、どこか行っちゃうの?」


「私はずっと祐一さんを待ってるよ。」


「小雪さん?!どうゆう意味?」


「何でもない!忘れて。。。」


------


僕はあれから小雪さんが言った言葉が気になって仕方ない。。。


小雪さんは毎日何事もなかったかのように普通に過ごしてるけど。。。


もし、病気ってゆうのが本当なら小雪さんは病院から抜け出して来たってことだよな?


僕は片っ端から病院に電話をかけて、小雪さんが以前入院してたかどうか調べたが、何も手がかりは見つからなかった。


名字もわからないし、今どき個人情報なんて簡単に教えてくれるはずもないか。。。


僕はふと、子供の頃に入院していた病院に行ってみることにした。当時の先生がまだいたので子供の頃に入院してた僕と同じ年くらいの女の子のことを聞いてみた。


すると、先生がその女の子の話をしてくれた。


「彼女は小雪ちゃんと言ってとてもかわいらしい子だったよ。でも、小雪ちゃんは心臓が悪くて何度も入退院をしてたよ。祐一くんが退院してから、ずっと会いたいて言ってたよ。次、祐一くんが会いに来てくれるまでには元気になるって言ってたかな。二人だけの約束したんだって言ってたよ。」


小雪ちゃん?!まさか、今僕の家にいる小雪さんがあの時の女の子なのか?!


「先生、小雪ちゃんは元気になったんですか?」


「あれから小雪ちゃんは発作が起きるたびに何度も入退院を繰り返してたんだけど、移植するしか助かる方法がなくてね、先月やっとドナーが見つかって今はアメリカの病院に入院してるはずだけど?!」


「先生、、、それどこの病院ですか?」


「たしか、、、どこだったかな?ちょっと調べて連絡するね。」


アメリカにいるはずの彼女がどうして空から僕の前に現れたんだろう。。。


僕はあわてて、家に帰った。


「おかえりー!そんなあわててどうしたの?」


いつもどおりの彼女がいた。


「小雪さん、もしかして君は昔、僕が入院していた時にいた小雪ちゃんなのかい?」


「。。。やっと思い出してくれたんだ!」


「でも、君は今アメリカの病院にいるはずじゃないのか?もう退院してこっちに、帰ってきたのかい?」


「私はまだ、アメリカにいます。でも、最後にあなたにどうしても会いたかったの。約束したでしょ?退院したら思いっきり外で遊ぼうって。。。」


「でも、今君はここにいるじゃないか!」


「私、先月手術したの。でも、成功する確率はたったの数パーセントだった。そして私は手術後、昏睡状態に陥った。このまま目が覚めなければそのまま死ぬだろう。そう言われてた。そんな時、私の前に天使が現れた。あーとうとうお迎えが来たんだってそう思ってた。すると、天使が羽を貸してくれて私に時間をくれたの。私はどうしてもあなたにもう一度会いたかったから。気づいたらあなたの前に降り立ってた。。。本当は会えたらすぐに話そうと思ってたんだけど、私のことなんか忘れてるんだろうなって思ったら恐くて何も言えなかったの。でも、また会ってあなたは私を好きになってくれた。私はそれで充分満足だった。でも、欲が出て、このままこの幸せが永遠に続いたらいいなって思ってしまったの。」


「。。。そうだったんだ。忘れてしまってて本当にごめん。でも、君が僕の前に現れたとき昔から知っていたような気がして何故かすぐに好きになってしまったんだ。」


「ありがとう。。。でも、もう行かなくちゃいけないの。」


「どこに行くんだよ!ずっと僕のそばにいてくれよ!」


「天使にもらった時間は永遠じゃないの。羽も返さなきゃ。また、あなたに会えて本当にうれしかった。短い時間だったけど祐一さんのそばにいられて幸せだった。」


彼女はそう言うとそのまま外に出ていった。


僕はすぐに追いかけた。


すると、彼女の背中にはあの時と同じ白くて大きな羽があった。


そして、天空から一筋の光が彼女めがけて降りてきた。


彼女はその光に向かって白く大きな羽を羽ばたかせて飛んでいってしまった。。。


彼女の涙が雪のようにチラチラと降り注いだ。


僕はその場に立ちすくむことしかできなかった。。。


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