表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんでやねんと歌姫は笑った。  作者: 烏有
第2章
87/166

第84話 早朝密会


今回少し短いです。




「おはようです。早いですね。」

「朱音も。」

苦笑いしながら朱音が近づいてきた。

「なかなか眠れなくて……。時人くんはどうしてこんな時間に?」

「俺もだよ。」

そういうと朱音が嬉しそうに笑った。

「おそろいですね。」

「だな。」

俺たちは向かい合って笑いあった。

薄暗く静かなこの廊下は声がよく通る。このままここで話していると誰かを起こしてしまいそうだ。

「……ちょっと外出ようか。」

窓から外を指差すと朱音は嬉しそうに頷いた。



少し白けてきた空が朝を知らせる。外は夏だというのに涼しい。海からの潮風にのって鳥と虫の声が届いた。

「海の匂いがします。」

「近いからな。」

ですね。と朱音がクスクス笑った。

玄関の引き戸を音を立てないように静かに引いて出た。そのまま玄関先で少し話をしていた。

ゆっくりと伸びをする朱音をなんとなく眺める。

「……どうしたんですか?」

視線に気づいた朱音が問いかけた。

「朱音は可愛いなって見てた。」

すると朱音がそのままの姿勢で動きが止まった。

「……すぐそんなん言う。」

朱音が顔を赤くして睨んだ。だが、嬉しさが隠しきれておらず口角は上がっている。

「可愛いから。」

「時人くんは……ずるいです。」

朱音は胸に頭突きをした。あまり痛くも無い朱音のそれは照れ隠しだ。

「はいはい。」

そんな朱音の髪を撫でる。

「……時人くん?」

「どうした?」

顔を胸に埋めたままの朱音に呼ばれる。

「好きです。」

ストレートな告白に面食らう。

「……うん。知ってる。」

髪を撫でながら返事をする。

「昨日より、もっと好きです。」

朱音は隠すことなく好意をストレートにぶつけてきた。

「……そういうのは顔を見て言ってほしいかな。」

そう言うと朱音はゆっくりと顔をあげる。

「……時人くん。」

「はい。」

「好きです。」

朱音が笑顔で言った。その笑顔が自分に、自分だけに向けられたものだとあらためて認識した。

「……俺も好きだよ。」

朱音の笑顔が緩く蕩けていくようだった。へへへ。と、朱音がふにゃりと笑った。

そのまま朱音が俺の腰に腕を回す。

「昨日から幸せの連続です。」

しみじみと呟いた朱音の腰に腕を回した。朱音に同意するように抱く腕に力を込める。

返事をするかのように朱音の腕にも力がこもったのがわかった。

「……朱音はさ。」

名前を呼ばれた朱音が不思議そうな目で見上げた。

「これまで色々苦労してきた分、これからは幸せにならないといけないんだよ。」

朱音は目細めて喜びを露にした。

「……幸せは時人くんがくれるのです。時人くんがいてくれるならずっと幸せでいられます。」

「じゃあ、ずっと朱音は幸せでいられるよ。離れないし離さないから。」

またも朱音は幸せそうに笑った。





ここまで読んでいただきありがとうございました。

続きが気になる方はブックマークなどしていただければ嬉しいです。


甘さ純度高めの回。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ