第74話 誕生日プレゼント
一度文章が消えてしまったので一旦ここまでであげます。少し短いです。
「あれ、時人くん、コレ……。」
スーパーで買い物をして帰った。今日の晩ご飯は事前に決めてあってカラアゲだ。
それでもお昼ご飯が多少ゆっくりだったのもあってまだ作りはしないが、さっき買った材料を冷蔵庫に仕舞っている朱音が戸惑っていた。
事前に考えていた予定では水族館のあとのカフェレストランで渡して話す予定だった。
そして帰ってきてから食べる予定だったそれ。
「あーうん。それケーキ。」
「時人くんが買ったんですか?珍しいですね。」
「……朱音に買ったんだよ。こんなタイミングでごめん。誕生日おめでとう。」
キッチンからこちらを見ていた朱音に近づいて祝いの言葉を告げた。
目の前の朱音はすっかり忘れていたのかキョトンとしている。
そのインパクトに帰り際の気まずさなど消えてしまって、普通に話をすることができた。
「……誕生日なんてしばらく祝ってもらうこともなくてすっかり忘れていました。嬉しいです。ありがとうございます。」
朱音はこっちを向いて穏やかに微笑んだ。
「本当はもっといい雰囲気で言おうとしてたんだけど。」
今日下げていたバッグから小さな箱を取り出す。
「これ、誕生日プレゼント。」
驚いて目を丸くした朱音にその箱を渡そうとする。
「……いいんですか?貰っても。」
遠慮しているのか朱音は受け取ろうとしなかった。
「貰ってもらわないと困る。朱音のために買ったんだから。」
その閉じた手に小さな箱を無理やり持たせた。
「ありがとう……ございます。開けても?」
「もちろん。」
ゆっくりと丁寧に包みをはがして箱を開く。中にはシンプルなゴールドのネックレス。
結局朱音が欲しがっているものもわからず独断で送るものは決めた。
「とても綺麗です。」
朱音は手のひらにそれを乗せて目を細めて眺めた。愛おしそうにそれを見つめていると、箱の中のもう一つ、何か残っているのに気づいたらしい。
フラワーモチーフのペンダントトップ。ネックレスと同じくシンプルなもの。
朱音がそれをネックレスに通して明かりに透かすように持ち上げた。
「こんなに綺麗な……私に似合いませんよ。」
本当にそう思っているのか、朱音は苦笑いをした。
「そんなことないって。ちょっと貸して?」
それを受け取って朱音の首に通す。つけられると思っていなかったようで一瞬驚いた朱音だったが目を閉じて受け入れてくれた。
前から通したので首の前で引き輪をチェーンに通した。その部分をうなじ側に回してストラップが首の前でいい位置になるように調整する。
「できたよ。……やっぱりとても似合ってる。」
白い首元に輝くそれはシンプルなのも相まって朱音によく似合っている。
「……本当ですか?」
朱音の手を引いて部屋に置いてある姿見まで連れて行く。そこでようやく鏡を見た朱音が嬉しそうに鏡の朱音の首元を見つめた。
「朱音に似合ってるよ。」
その言葉に満足したようで、くるりと身を翻して朱音がこちらを向いた。
「とても嬉しいです。本当に嬉しいです。……大事にします。」
ペンダントを握りながら朱音はそう言った。
「そうしてくれると嬉しい。」
朱音がずっと首元を触っていて気に入ったことが伝わってくる。プレゼントが成功したのがわかった。
「……時人くんにこんなによくしてもらえて……。私はとても幸せです。」
幸せそうな朱音をみると少し具合が悪い。とても照れる。
「時人くん。本当にありがとうございます。」
朱音の笑顔をみて俺も笑顔になる。二人で笑い合った幸せな時間だった。
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