第20話 関係性
投稿が遅れてて申し訳ありません。
内容も少し短いです。
ごちそうさまでした。二人揃って手を合わせた。
お粗末さまでした。と長月が食器を洗い場に運び出す。
おかずのタッパー等は彼女の持ち物ではあるが箸などは俺のを使った。
彼女はとりあえず全部洗ってしまって持って帰るらしい。
「水樹くんは座っててください。……何か飲みますか?」
「あ、ありがとう。……じゃあお茶。」
嬉しそうに食器を洗い出したのでもう全部任せてしまおう。
……どこか甘やかされてる気もするが、彼女も嫌々やっているわけでもなさそうだし。
彼女が洗い物をしながら鍋でお湯を沸かす。その後姿を見ていた。
時刻は九時過ぎ。高校生である年齢を考えると寝る時間には早すぎるが、人の家にいるには遅い時間だ。
今日はこっちで料理をしていないため洗い物はそう多くない。お湯が沸く頃には全て終わらしていた。
用意していたポットにお湯を注いでしばらく蒸している。そこまでちゃんとしなくていいのだがどうやらお茶の入れ方は調べてきていたようだ。
「おまたせしました。」
「ありがとう。」
コップを二つテーブルに置く。そこにお茶を注いだ。飲んで帰るようだ。
コーヒーフレッシュをまだ買っていなかったので、お茶にしておいて正解だった。
「……美味しい。」
ひとくち飲んで、ふうと一息つく。彼女はまだお茶を冷ましているようでフーフーと息をかけていた。
「ご飯作ってもらって助かる。ありがとう。」
「いえいえ。今日はもう遅いので帰りますがまた水樹くんに教えてもらいますので。」
「……やっぱり俺が遅い日は止めない?待たすのも悪いし、向こうで作って持ってくるのも手間だしさ。」
明日もバイトがある。忙しくなると帰るのも遅くなるので更に待たせることになってしまう。
「……いやです。」
「言うと思ったよ。」
やはりここは彼女も折れないようだ。だがさっきもご飯を取りに帰ったりと手間を感じる。
「俺だってシフト制じゃないから確実にこの時間に帰れるってものでもないし、時間が不確かな以上作れる料理も限られるだろ?……ご飯って出来立てが一番美味しいと思うし、長月の料理がもったいない。」
「……じゃあ。」
彼女が少し間を空けてこちらを見た。
「水樹くんの家で準備して待ちます。……帰る前に連絡もらえれば着く頃に完成させるようにしますので。それならいいですよね?」
……待つことには変わりない。それならいいことにはならない。しかし彼女は折れないだろう。
「……じゃあそうしようか。」
はあ。とため息がでてそう返事をした。彼女の手間を減らしただけ正解か。そう思っておこう。
長月はこれで完璧。といった表情で自慢げだ。
お茶を飲み終えて一息つくと長月が席を立った。帰るらしく鍋などを手に持つ。
「では、おやすみなさい。」
「おやすみ。今日もありがとう。」
玄関まで送る。扉を閉めるまで彼女の笑顔が輝いていた。
……疲れた。いや体力的には疲れていないのか。
長月とこうして関係を持って話すようになった。彼女を知っていくうちに興味も出てきた。
料理がうまくて、どこか抜けていて、頑固な彼女。
彼女が俺と話すことに慣れていなかった頃、時々でていた関西弁。しばらく聞いていない。
だが、隣から鍵盤の音が聞こえたあの夜。
『ぜんっぜん弾かれへん!なんなんこれ!』
『水樹くん、なに笑ってんの?』
『面白くなんかないんやけど?』
鍵盤を弾けないイライラと、俺に聞かれた驚きとが重なって関西弁だった。冷静を取り戻したのかその後部屋に来た際は敬語に戻っていた。
なぜ彼女が関西弁で人と話さないのか。それは知らない。知らないけれど、方言は親しみがあっていい。
彼女が普通に話すのをまた聞きたい。そう思った。
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