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なんでやねんと歌姫は笑った。  作者: 烏有
第3章
124/166

第121話 お家デート


すこし短いです。




「おかえりなさい。時人くん」

「ただいま。朱音」

家に帰るといつもの笑顔で朱音が出迎えてくれた。ぱたぱたとスリッパを走らせて。

帰るタイミングを連絡していたわけではないが帰ってきた気配を察して出迎えてくれる。それだけで俺も笑顔にさせられる。

ニコニコと微笑みながらこちらを向いている朱音は既に制服でなくシャツとジーンズのラフな格好だった。一度帰って着替えたのだろう。エプロンもつけておらずリビングの方からはいい匂いがしていることからもう晩ご飯は出来上がっているようだ。

「ごめん、待たせた」

「ちょうど出来上がったところですよ。待ってないので大丈夫です」

「ありがとう。先、行ってて」

洗面所で手を洗ってからネクタイを緩めて制服のカッターシャツを脱ぐ。洗濯機にシャツを放り込んでリビングに向かった。

キッチンで朱音が鍋に火をかけている。温めなおしているのはお味噌汁だろうか。テーブルにはすでにおかずが並んでいた。

「座って待っててください。すぐにできますから」

朱音が置いておいてくれた麦茶のグラスがある席につく。外から帰ってきたばかりには嬉しいキンキンに冷えたそれは冷蔵庫から出してすぐなのがわかった。

「ありがとう」

一気に飲み干したいところでもあるがこの後の晩ご飯のことを考えて三分の一ほど飲み込む。冷たい液体のそれが喉、食道を通っていくのがよくわかった。

「今日は炊き込みご飯です」

朱音が出したお茶碗に茶色の味がしっかりついていそうなご飯が入っている。今日もお腹一杯になりそうだ。

続けざまにテーブルに並べたお椀にはお味噌汁から湯気が立っていた。

「美味しそう。お腹すいた」

お腹を押さえてアピールをすると朱音がくすくすと笑った。朱音も席に着いて二人合わせて手を合わせる。

「「いただきます」」

炊き込みご飯を一口分口に運ぶ。おこげがいい具合に乗っていて美味しそうだ。

「美味しいよ」

「よかったです」

反応を聞いてから朱音も食べ始める。今日のご飯も会心のできのようだ。美味しそうに食べ進めていた。



「お腹一杯。食べ過ぎたかも」

「満足していただけたみたいでよかったです」

炊き込みご飯が美味しくておかわりをした。土鍋からよそう際にこっそりおこげの部分を多くとったのは内緒だ。

温かいお茶を飲みながら朱音と話す。こののんびりとした時間がとても幸せだ。

隣に座る朱音はクスクスと笑いながら体を俺に預けきっている。

「ちょっと休憩してから始めようか」

今すぐ動く気にならず食休みを挟んでからギターか鍵盤かしようかと思って朱音に投げると微笑みつつ頷いた。

「……時人くん、今日は楽しかったですか?」

「……学校?ぼちぼちだったと思うけど」

「柳さんと放課後遊んでたんじゃないんですか?」

「ああ。遊んでたというか竜の時間つぶすのにつきあわされたというか」

俺の言葉を聞いた朱音が若干苦笑いをしながらそうだったんですね。と呟いた。

「今日、萩原とデートに行くみたい」

「あ、そうなんですね。それはよかったです」

朱音も二人のことは心配していたようだった。本当に嬉しそうに笑っている。

「……ちなみに、俺たちみたいにこうやって恋人の家に行くのをお家デートって言うらしい」

さっき竜に言った言葉を朱音に伝えてみる。少し恥じもあってまるで竜に言われたかのように言葉を選んでしまった。

朱音は一瞬ぽかんとした顔をしてからくすくすと笑い始めた。

「では私たちは毎日デートしてますね」

「……だな」

笑いながら朱音がすりすりと俺の腕に頭をあてる。腕を回して朱音の頭を撫でた。しばらく穏やかな時間が流れた。いつもよりご飯が遅くなったのもあって少しだけ練習の時間は短くなった。それでも朱音は楽しそうに過ごしていた。短くなってごめん。と謝ると、朱音はそれでもお家デートですから。とくすくす笑った。





ここまで読んでいただきありがとうございました。

続きが気になる方はブックマークなどしていただければ喜びます。


半月も更新できずにすいませんでした。

重なる忘年会からコロナにかかってしまい、体調を崩してしまってようやく元の生活に戻りつつあります。

これからまた更新頑張っていきますのでおつきあいいただければ嬉しいです。

今回は生存確認と言いますか、すこし短い話ですがまたいつも通りにやっていきますのでよろしくお願いします。






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