鬼族の異才、チカゲ
投稿時間は朝から夕方にかけてが殆どになります。
父さんに稽古をつけてもらうようになって3ヶ月が経ち道着もどこか俺の体に馴染んできた気がする。
まあ稽古といっても父さんが狩りから帰ってきた後に1時間ほど体力作りや打ち込みといった簡単なものだが。
そして、今の俺のステータスは
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千景チカゲ 6歳 雄 レベル15
種族:小鬼(鬼族)
筋力82
耐久75
敏捷70
魔力0
魔防18
スキル:転生者 異世界言語 Ⅲ 身体強化 Ⅱ 任侠の徒
称号:鬼神の加護 混沌神の加護
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魔力に関しては相変わらず0のまま。これは種族特性と思って諦めることにしたが筋力などの物理系のステータスは順調に伸びていっている。
実は自分1人である程度歩けるようになってから前世の趣味が筋トレや格闘技だったこともあり暇があったらトレーニングを積んでいたのだがこの数値がこの世界においてどれ程のものなのかは対象がいない為分からなかった。
だが2歳の時に何気なく父さんに対してステータスと唱えてみたところ
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ライゾウ 35歳 雄 レベル68
種族:大鬼(鬼族)
筋力380
耐久366
俊敏120
魔力0
魔防62
スキル:身体強化Ⅳ 闘気Ⅳ
加護:鬼神の加護
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自分以外のステータスも見れてしまったのだ。
これは俺が持つスキルの転生者の効果によるものらしいのだが
転生者:ステータスを観覧できる。
……このなんともシンプルなこの説明で俺はてっきり自分のステータスだけだと勘違いしていたがこの転生者というスキル、他者のステータスやスキルの詳細なども観覧できる神スキルだったのだ。
俺が住んでいる村の人数は80人程でその内狩人を生業にしているのは20人。1度父さん達が大物を仕留めてきた時に村で宴が行われそこで全員のステータスを見てみたが狩人達の長なだけあって父さんのステータスは飛び抜けて高かった。
筋力や耐久に秀でている鬼族だが俊敏はそれ程高くなく、狩人でも今の俺のステータスよりも俊敏の値が低い者も少なくない。
というよりも今の俺のステータスは年齢にしては異常なようで稽古を始めた頃に力試しで拳程の石を軽々と握り砕いた時、父さんが目を丸くして呆然としていた。
今日も朝に父さんが出て行き洗濯や家畜の世話など母さんの手伝いをした後に日課になりつつある修行をこなし父さんの帰りを待つ。
約10キロのランニングから始まり腕立てや裏庭の木に足をかけぶら下がった状態での腹筋など現代の日本のように専用の器具があるわけではなくこういった原始的なトレーニングを2時間ほどこなした後一旦休憩を挟み次の修行へ移行するのだが
日本にいた頃は格闘技をかじっていたが基本的に俺の戦闘スタイルは我流の喧嘩殺法だったため型などは存在しない。
極道になってからも西条んとこの武闘派の奴らとスパーリングくらいはしょっちゅうしてたがこれといって明確な練習方法は存在しないのだ。
ただ闇雲に修行をするよりはと思い今は柔軟、それと前世で聞きかじった関節の可動域を広げる為の訓練など時間をかけ行なっている。あとはこれこそ眉唾ものだが……
武術や近接格闘の達人は皆口を揃えて言うのは、打撃の威力は筋力ではない。
打撃に限った事ではないがスポーツなどトップアスリート達を見ていると意外と細身だったり中肉中背の者が多かったりするのは、彼らは力を持続させる大きい筋肉は必要とせず適切な脱力状態から刹那のインパクトの瞬間に力を解放するのだという。
一見体格は細く軽々とスイングをするバッターがとんでもない飛距離のホームランを放ったり軽く打ち込んだ拳で大男が立ち上がれなくなる程のパンチを放つ老人などはこういった原理が働いているらしい。
とは言ってもそこらへんの知識など俺にはないので出来ることといえば適切な脱力状態の維持、そしてそこから瞬時に打撃や歩法に繋げる……といった訓練で
師がいるわけでもなく我流の動きには変わらないのだが。
これに意味があるのかは分からない。けど始めて3ヶ月ほどで打ち込みでの拳や蹴りのキレが微妙に増している気がするんだよなぁ……
まぁステータスにはあまり変わりはないが。
そんなメニューを今日もこなしなんとなく自分の中では様になってきたと思い始めていた時、突然頭の中でピコンッという音が鳴り響いた。
以前レベルやスキルレベルが上がった時に似たような音を聞いた為今回もそうかと思い修行を中断しステータスを開いてみるが
(レベル……は変わらず。スキルレベルも特に変わったものはないが……ん?)
スキルの欄に見慣れないスキルが追加され詳細説明へと画面を切り替える。
鬼気雷公:鬼族の異才、チカゲが生み出した戦闘術。
全身の脱力から瞬時に筋力を解放する身体操作を会得することによりステータス以上の威力、速度での戦闘を可能にする。
良かれと思い我流で修行を続けていたがまさかスキルとして習得することになるとは……
(これも混沌神の加護の経験値増加大のおかげなんだろうか)
あれだけ自分とは年齢やレベルもかけ離れた父さんの身体強化のレベルがⅣなのに対し俺はすでにレベルⅡ。単にレベルⅡまでは上がりやすいだけなのかそれとも俺の成長速度が異常なのかは分からないが強くなれている事には変わりがないため深く考えることはせず残りのメニューをこなす為俺は修行を再開したのだった。
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